2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ねこのばば

病弱な大店の若旦那が江戸の町におこる不可解な事件を解決するシリーズもの。全五編を収録。周囲を守る気のよいもののけたちに守られてのファンタジックミステリー。よく練られた構成で安心して読めるが、予想を超えるものでない。シリーズ3作目なそうだが…

皇室の至宝

会社を早退して上野へ。1期目を鑑賞。まさに至宝であった。中でも目玉は人気の若沖。代表作には人だかり。それだけ人を引きつけるモノはある。酒井抱一の「花鳥十二ヶ月図」も王道で洗練されている。後半は明治以降の帝室技芸員の作品群。こちらも一級品揃…

佐藤可士和の超整理術

稀代のアートディレクターが自らの整理術を明らかにする。その対象は空間、情報、思考の順に高度化する。アプローチは基本的に共通で、対象と向かい合いかつ多面的に見つめることでその本質を引き出す。彼の生み出す様々なデザインは、技術やセンスだけでな…

アンノウン

空自のレーダー基地で盗聴器が発見された。調査にあたったのは防諜を担当する調査部のエリートと現場の若手三曹。結果は出世争いに端を発する内部犯行という落ちで尻切れトンボの印象はぬぐえない。もっとも本書のテーマは謎解きではなく、自衛隊の存在意義…

「残業ゼロ」の仕事力

著者はトリンプの元社長。外資系の勤務経験。フランス人を妻に持つ。残業を禁止しながら社長時代に生産性を5倍以上に高めた。その改革手法は表層的なものではなく日本のホワイトカラーの生産性の低さを徹底的に解析し根本から改善したもの。具体的な方策は…

エミレーツのビジネス

注意点 スリッパなし ジャケットは着陸後に返却 スリーパー用マット有。使うと楽。

武士道シックスティーン

高校の名門剣道部で巡り会った二人の少女。タイプのちがう天才剣士。一人は宮本武蔵を崇拝する求道者タイプ。対するは日舞から転身した自然派。性格や考え方の違いから衝突し競い合いながら、友情を深めていくというほのぼの青春物。全体のプロット、キャラ…

水曜の朝、午前三時

名作である。思わず引き込まれてしまった。45歳で急逝した才女が愛娘に残したテープ。そこに残されていたのは大阪万博のホステスとして働いた時に巡り会った一夏の激しい恋。結局男性が在日だとわかって破局を迎えるのだが、どうしても伝えなければならな…

豪快リーダーシップ

著者は技術者派遣会社であるメイテックの創業者であるが、社長在任中に取締役会で電撃解任された経歴を持つ。尼崎の貧しい家庭に育ち、起業と挫折を繰り返した。その経験に裏打ちされた処世論、リーダーシップ論であるが、神髄は自ら振り返る波瀾万丈の来し…

会社は誰のために

キャノン御手洗。伊藤忠丹羽の両総帥が自らの経験を元に経営を語る。章ごとのテーマを拾うと改革、組織、教育=人材育成、経営、日本の将来となる。メーカーと商社の差はあるが、共通しているのは日本企業が生き残っていくためには唯一の資源である人材の活用…

リーダーは半歩前を歩け

迷える時代のリーダー論。副題にあるように理想とするモデルは著者が尊敬してやまない金大中元大統領。いくたびの死線を乗り越え、民衆の半歩前を歩くことで混迷する時代アジアを代表する指導者となった。3度熟考して決断する基本思想は「歴史と勝負する」…

八月の路上に捨てる

清涼飲料を自動販売機に配達する二人組。離婚を決めた男と、離婚歴があり再婚のため今日が最後となる女。車中や仕事中の会話からそれぞれの事情が語られる。若いカップルの不安定さ。少しの行き違いが修羅場となり破局を迎える。一貫して男言葉で語られてい…

勝間和代の日本を変えよう

2大テーマは男女共同参画とワーキングプア。前者は西原理恵子、後者は雨宮処凛との対談をベースに改革への提言をまとめる。マッキンザー式のリアリストとして数値化されたデータで問題の根深さを浮き彫りにし、対談では意図的に立場の違いを明確にすること…

震度0

阪神大震災の発生した当日、N県警の警務課長が失踪する。県警トップは情報範囲を限定しを必死に行方を追うが、それぞれが個人の思惑とセクショナリズムに阻まれ進展しない。キャリアとノンキャリアの対立、元婦警の奥方たちの暗闘。閉ざされた社会の中で正…

向日葵の咲かない夏

不条理ミステリー。主人公は小学4年生だが、終業式に友達の自殺死体に遭遇する。学校に戻り担任に急を知らせる間に死体が消失していたという設定。謎ときの相棒はなんと死んだ友達が転生したクモ。誰もが怪しく、誰もが真実を語らない。それぞれの抱える暗…

残業をゼロにする「ビジネス時間簿」

著者のオリジナル「時間簿」の活用による時間管理を提唱。原理は単純で時間軸にそって、仕事を分類=複数の車線ごとにを整理し、徹底して無駄を省くというもの。子育てに追われる主婦業の経験から生まれた。エッセンスはザッピングによる集中した時間帯の効…

赤めだか

17才で立川談志に入門。天才にありがちな揺らぐ師匠の下で修業にはげみ見事真打になるまで自らの半生を描く。大部分が談志師匠の奔放な生き方と独特な弟子の教育方針に費やされる。年功序列の協会と異なり、50作の古典を身につけること等、明確な二つ目…

三匹のおっさん

初老の3人組が町内を犯罪から守る。剣道、柔道の達人とメカ担当の強力タッグ。生意気だが純粋な孫と年の離れた可憐な娘との淡い初恋も絡めて一気に読ませる。対処する犯罪は痴漢、いじめ、睡眠商法と世相を反映しているが単純な勧善懲悪ではなく、矛盾した…

人はなぜ裏切るのか

副題通り「ナポレオン帝国の組織心理学」。稀代の英雄に心酔し支えながら最後の局面で裏切った7人の男達の心理を探る。コルシカの貧乏貴族の出であったナポレオンは戦争で勝ち続けるしか、その権力基盤を維持することは出来なかった。一方将軍や側近達はあ…

疾風ガール

弱小芸能プロの冴えないスカウトが発掘した天才ロック少女。不幸な境遇にもめげず天真爛漫、多感な感性の持ち主。自らの想いに正直なところが魅力的。本人は気づいていないが恵まれすぎた才能は周囲のそうでない人々を傷つけている。彼女が焦がれる所属バン…

楽隊のうさぎ

いじめられていた気弱な少年が名門の吹奏楽部に入部。成長していく姿を描く。パートはパーカッション。最後はティンパニーを任される。中学生の世界とは言え立派な人間関係や多感な悩みが存在する。一曲を仕上げて行くのは石から彫刻を削りだしていく作業に…

凡人起業

プロフィールによると作者は阪大卒。丸紅で繊維関係を担当した後、独立し貿易商を営むが失敗。再就職の後税理士として再度独立した経歴を持つ。自らをきわめて一般的なサラリーマンと位置づけ、起業にあこがれる読者に自らの経験を披露する。成功している起…

俺は中小企業のおやじ

一代にしてスズキを世界企業に育てた著書の自伝。2輪から軽自動車さらに普通車と町工場から世界企業へ。カリスマのイメージが強いが婿養子として一族に入り、当初社内の風当たりは強かったようだ。製造も営業も徹底した現場主義。トップダウンの即断で世界…

人を見抜く技術

20年間無敗を誇る雀鬼の作者が人間観察眼を開示するというのが、うたい文句だが内容は至って平凡。常識の範囲を超えない。若い時代から無茶をしてきたと自負する作者の集大成がこれでは期待はずれというもの。麻雀の修羅場から得られた洞察はほとんどなく…

シカン展

国立科学博物館で開催中の「シカン展」を覗く。本来別の目的で上野に降りたのだが会期も残り少ないので急遽変更。結果として面白かった。展示品で目を引いたのは黄金仮面と豪華な輿。埋葬状況や発掘状況を映像や模型で再現。考古学の成果を伝えようとする博…