2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

教養としての投資

著者は農林中金のファンドマネージャー。バフェット流の株式長期保有を基本とする資産運用で成果をあげる。徹底した調査と仮設の検証。優良企業を選定する。繰り返されるのが参入障壁の有無と長期潮流。日本企業には手厳しい。投資というより経営面で参考に…

宇宙の覇者ベゾスVSマスク

今を時めく米のIT長者が宇宙開発に挑む。幼い頃アポロに触発された夢の実現。官僚化したNASAを反面教師とする。技術開発は容易ではなくなんども爆発や失敗に見舞われるが、めげないチャレンジャー精神。アプローチはウサギと亀に例えられるように両極端だが…

美意識の値段

著者はクリスティーズの日本法人代表。数々の美術品取引を手掛ける。父親の影響もあり、若い頃から日本美術の知識を詰め込まれる。ビジネスではなく美術品を継承していくことの重要性を強調。オークションの裏側を描く前半が特に興味深い。後半の日本美術の…

言葉が暴走する時代の処世術

ユニークな対談。繰り返し強調されるのは直接対面しての会話の重要性。言葉と文字は違う。SNS、IT万能の時代に警鐘を鳴らす。山際教授の霊長学、人類学の蘊蓄をわかりやすく引き出す太田氏は見事。 -ゴリラは戦わないが、負けない -ゴリラと人間の違いは問い…

#ゴミ捨てろ

評判のSNSの書籍化。どうしてもゴミを捨てられない夫の所業を、画像でアップ。フォロワーを獲得した。九州弁丸出しで微笑ましい夫婦の生活を描写し笑わせる。まあいろんな人がいるものだ。軽めの娯楽本。 #ゴミ捨てろ うちの旦那はティッシュをゴミ箱に捨て…

美しき愚かものたちのタブロー

松方コレクションを題材にしたフィクション。幸次郎による収集、戦中の疎開、戦後の返還交渉と数奇な運命をたどった稀代の名画たち。日本の美術の発展を願い、死命をかけて守り抜いた人々を描く。会話が多く引き込まれるが、少し欲張りすぎで焦点がぼけた感…

自衛隊は市街戦を戦えるか

長年ソ連を仮想的としてきた陸自は、対テロ戦略等の現代の戦争に備え、新しい体制に組み替える必要がある。著者は連隊長として率先して市街戦訓練を導入。装備や戦略はもちろんだが、まずその組織に染み付いた病理を克服する必要を説く。旧軍の悪弊を引継ぎ…

勿忘草の咲く町で

安曇野の地方病院。風貌は冴えないが真正直な研修医と一本気で溌剌とした看護師の恋物語。周囲の登場人物もそれぞれ個性的。変曲点を迎えつつある老人医療、いかに終末と向き合うかの重いテーマである。花屋の息子である医師はその深い造詣で文字通り物語に…

スーツケースの半分は

連作集。幸せをよぶ青いスーツケース。30前の女友達四人がこれを持ち、それぞれ旅に出て、幸せや新しい生き方を見つける。さらに友人や元の持ち主、製作者まで話を展開。基本ほのぼの系だが、日ごろのしがらみに捕らわれず一歩を踏み出す勇気がテーマ。軽…

アノニム

ジャクソン・ポロックの未発見の大作をモチーフにする。香港でのオークションに出品され、盗賊団と義賊団のコンゲーム。現地の高校生カップルも交えてジェットコースター小説になっている。ポロックはピカソに憧れ、それを乗り越えるために新たな一歩を踏み…

異類婚姻譚

中短編集。日常や夫婦を題材にした不思議な作品が続く。標題作は平凡な夫婦がやがて顔が似ていき、蛇ボールの喩えのようにお互いに食い合うという奇譚。本作で芥川賞受賞。確かに引き込まれる内容だが簡単に主題は読み解けない。嫌いではないが微妙な評価。 …

ベストセラーで読み解く現代アメリカ

タイトル通り洋書の書評集。ベストセラーの要約が凝縮されなかなか面白かった。政治、人種、宗教から性問題と複雑なアメリカ社会の表裏が垣間見える。作者の立ち位置はかなりの左寄り。トランプ政権に厳しい。私にとって興味のある分野とそうでない分野があ…

参謀のホテル

企業小説。再建屋のプロが名門ホテルのGMとして、経営改革にあたる。外部からの素人経営者に抵抗は半端ではない。若手を中心に権限移譲を進め、モチベーションを高める。一方で借金返済にオーナーは売却話を進める。結局M&Aは経理担当の不正をごまかすための…

エンドオブライフ

末期がん患者の在宅治療と看取りをテーマにしたノンフィクション。主人公である看護師が自らすい臓がんを発症。本人は精神的に迷いながら家族や友人に囲まれ最期を迎える。著者の母も難病の末、父親の手厚い介護で旅立つ。人の生死の重いテーマに真正面から…