2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧

江戸のハローワーク

表題通りの内容。各種の職業を簡単に照会する。落語への造詣が深いのかエピソードをそれぞれに紹介。食糧に関するものが半分以上を占める。網羅的であり内容的には退屈。繋ぎのつもりが読破にエネルギーを要した。江戸のハローワーク (双葉新書)作者: 山本眞…

傍聞き

短編集。表題作を含め4編。いずれも事案自体は小さいが、現代の社会問題を題材にしている。ラストは想定の範囲内ながら少し驚かされる。それが逆に心地よい。登場人物やその心情が丁寧に描きこまれ質の高い作品に仕上がっている。私としては救急隊を描いた…

ブラックペアン1988

80年代の大学医局が舞台。絶対王制を敷く教授とあらたに送り込まれた講師との対決。外科手術の技量と新開発の機器とのせめぎ合いでもある。教授の過去の医療ミスが暴かれようとした瞬間、意外な事実がまきおこる。専門用語が飛び交うが不思議とその世界に…

命をつないだ道

三陸海岸を貫く国道45号線。震災直後からその復旧にまさに命をかけた男達。国道管理事務所の職員と請負業者。官制の作戦ではなく、自発的に瓦礫の除去に取りかかる。被災者達を救うのは自分たちが通す道路だとの強い思い。残念ながら地名はよくわからず、…

カンナ飛鳥の光臨

伊賀忍者の末裔であり、神社の跡取り息子である主人公が、現代の殺人事件と歴史ミステリーの2重の謎に挑む。長大なシリーズの第一作で今回は失われた蘇我氏の文書が焦点。聖徳太子は実在せず、複数の人間をモデルに作り上げた偶像でさらに進めると蘇我氏3…

白銀ジャック

シーズン真っ盛りのスキーリゾートに届けられた脅迫状。ゲレンデに爆弾をしかけたとの内容で数度にわたり金銭の支払いがなされる。犯人側に振り回されるスキー場側。経営を第一に考える社長以下と安全を優先したい現場の葛藤。過去の衝突事故で母親を亡くし…

猫と針

著者初の戯曲。旧友の葬儀に集まったかっての映研の同窓生が喪服姿で登場し語り合う。それぞれの苦境や悩みが吐露される。友人の不審な死とかっての不可解な事件が謎として示される。演劇らしく明解な解決はなく、それぞれ考えなさいとの結末。90分ほどの…

アメリカに頼れない時代

みずほ総研のエコノミストによる経済予測。キーワードはJapanization。総じて悲観的。アメリカはバブル崩壊のバランス調整時期にありその脱却期には時間を要する。ヨーロッパはソブリン危機に苦しむ。新興国も影響を受け総じて景気は後退傾向。日本はそれに…

アラブの春は終わらない

著者はモロッコ出身のフランス人作家。チュニジアに始まったアラブの春を物語風に描く、きっかけは警官の不条理な賄賂要求に抗議した純真な若者の焼身自殺。権力側は封じ込めにやっきになったが、ネット社会の情報の広がりに流れは止められなかった。エジプ…

どうせ死ぬ身の一踊り

芥川賞作家の私小説。世に知られていない大正時代の作家である藤澤清造に傾倒し、私費を投じて全集の発刊に挑む作者。菩提寺を訪ねて縁の下にうち捨てられていた木の墓標を持ち帰ったり、初刊本を額縁に入れたりと同棲する女性の稼ぎをつぎ込む。一旦はより…

思考の整理学

コンピューター化の進む80年代。タイトル通りいかに思考を整理するかについてまとめられた評論。学校教育で受けたグライダー的な知識の習得から、自らエンジンを持つ飛行機への脱皮を読者に求める。自らの整理法としてメモからノートさらにメタノートとテ…

ショートソング

二人の若手歌人。チェリーボーイとプレーボーイ。間に入る女性歌人達。恋愛やセックスを題材に次々と現代和歌が詠まれていく。ストーリーより数多くの秀歌を紹介するのがこの作品の最大の目的であろう。若い才能に刺激され、畏れる中堅の心情は理解できる。…

成功は一日にして捨て去れ

著者は大成功を収め一旦会長に退いたが、自社の大企業病を警戒し社長に復帰し第二の創業を目指す。外部から招聘した役員クラスはすべて退社したとのこと。急成長の弊害か。現在の課題は積極的なM&Aとグローバル化。ドラッガーと松下幸之助を信奉する。自…

ほんまもんでいきなはれ

京都逢坂山、月心寺の庵主である著者の自伝。9歳で寺に入り仏法を学んだ後に出家したが、師匠との確執、恋愛問題などで出奔を繰り返し、ついには仏籍剥奪まで受ける波乱の人生を赤裸々に語る。言わば純粋培養された女性が、世間を知る中で道に迷い苦しむ姿…

メルトダウン

福島原発事故の現実を追ったドキュメント。菅政権、経産省、それに東電がそれぞれの思惑で迷走する。緊迫した事故現場の記述は前半の1章のみで、後半は東京での権力闘争。事故直後は東電も保安院も全く打つ手がなく、連絡体制の悪さもあって、対応は現地任…

中国なんて二度と行くかボケ

元引きこもり青年の中国貧乏お笑い旅行記。バスと鉄道を乗り継いで北京を目指す。実はこれは完結編でアフリカから旅を続けているという。三国志の史跡をバイクタクシーで訪ねたり、少林寺の付近で武道の体験訓練を受けたりと普通の観光客ではあり得ないエピ…

「できません」と云うな

オムロン(立石電機)の創業者、立石一真氏の伝記。一代でオートメーションの雄を築きあげたカリスマ経営者である。苦学しほんとうの町工場から今日の隆盛を導いたのは先見の明とチャレンジ精神。いかなる客先の要求にもスピード感を持って応え、信頼を勝ち…

就活に「日経」はいらない

著者が一人娘と就活に挑む。ラクロスの部活で出遅れた愛娘は父親のDNAを引き継ぎ、打たれ強いしっかりした性格のようだ。就活のマニュアル本は否定し、如何に独自色を出し目立つことが出来るかがKFS。企業選びからエントリーシート、最終面接まで我々のころ…

官僚に学ぶ仕事術

著者は内閣府に勤める若手官僚。ケンブリッジに留学経験あり。多忙な業務をこなすため最小のインプットで最大のアウトプットを生み出す仕事術を推奨する。その手法は読書や人脈の活用、効率的な時間管理など優秀なサラリーマンとほとんど変わらない。新世代…

鉄子の全国鉄道ものがたり

女流鉄道フォトライターのエッセイ集。朝日新聞の連載だけに広く浅く鉄道世界を紹介する入門版だが鉄道への想いは優しく伝わる。クオリティの高い写真はさすが。廃線になった距離は長いが、全国で保存の動きは感じられる。有名どころはおさえているが、北海…