2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

絵画の言い分

西洋美術史家の著者による入門編通史。ギリシャ彫刻から印象派までを一気に駆け抜けて解説する。現代人の感性で美術をとらえようとするのは誤りで、歴史、宗教的背景を知識として理解した上で作品に込められたメッセージを受け止める必要があるとする。本書…

ヒュンダイシステムの研究

著者は韓国出身の経済学者。学位論文テーマとしてヒュンダイシステムに長年取り組む。企業内部にまで入り込んだフィールドワークで急発展したメーカーの内情に挑む。度重なる労働争議と財閥解体で経営実態は必ずしもバラ色ではない。これまでは量の拡大で利…

THEハプスブルグ

金曜の夕方の割には空いていて拍子抜け。じっくり観れた。王家の所蔵だけに一級品の大作がずらずら並ぶ。玉玉混合だがむろん優劣はある。時代的には15世紀から18世紀あたりまで、国別の展示はすっきり整理されていて見やすい。王室の肖像画がやはり有名…

金のゆりかご

幼児英才教育を題材にした科学ミステリー。幼児の脳に特殊な刺激を与えることで、ハードウエアを改質し天才を育てるGCSシステム=金のゆりかご。主人公はそのシステムの発明者の息子であり、かっては成功実例として天才少年ともてはやされたが、やがてメッキ…

哄う合戦屋

設定は戦国時代、中信濃の小豪族遠藤家に部名高い浪人石堂一徹が投宿する。彼は武勇に優れるだけでなく、稀代の戦略家であった。内政に優れ人望高い当主を助け、自らの夢である天下取りを実現しようとする。一段高い視点と孤高の生き方は家臣団に理解されず…

うなぎ丸の航海

本書で初めて知ったのだがうなぎの生態は意外と解明されていない。特にニホンウナギの産卵場所の特定は東大海洋研の塚本研究室の30年にわたるライフワークであり悲願であった。著者は取材名目でなかば強引にうなぎ丸こと海洋調査船白鳳丸に乗り込み研究生…

呼人

理不尽な両親の人体実験で12歳で成長の止まった少年を主人公とする近未来SF。小学校時代の親友は一人は自衛隊のレンジャーとして北朝鮮で負傷。一人はアメリカの金融業界で不正操作を指摘され服役。マドンナは不倫相手とやっと結婚したがやがて別れると…

武士道セブンティーン

シリーズ第2作。横浜と福岡に別れた香織と早苗。それぞれ新たな後輩やライバルとの関係に悩みながら成長を遂げていく。物理的、心理的な距離が有りながら二人の絆はむしろ深くなっていく。福岡の強豪校のスポーツ剣道になじめない早苗が、武士道とは何かと…

龍馬の黒幕

英国諜報部すなわちフリーメーソンが明治維新の黒幕であったという新説。坂本龍馬は土佐藩と英国のダブルエージェントであり、武力革命を推進したい勢力に暗殺されたとする。フリーメーソンはその理想とする自由、平等の思想から各国の革命を影で操っており…

国産エコ技術の突破力

日本発のエコ技術の開発を取材し紹介。世界が注目する日本企業の成功事例8例。いずれも一流企業の一流エンジニアの手によるものであるが、そこに共通するのは技術者の情熱と執念。企業というより技術に対するあくなき探求心がブレークスルーを産む。ポジテ…

エコノミストを格付けする

内外のエコノミストをその論文、主張をトレースすることで格付けする。リーマンショックを境に未曾有の危機を迎えているが、その中で変節し一貫性のない論者には手厳しい評価になっている。特にアメリカの金融経済を信奉しに構造改革路線を進めた竹中氏への…

国立中央博物館

帰国日に探訪。実質滞在可能時間は1時間ほどだったので、最上階の仏教彫刻と陶磁器のみ見て回る。広々とした常設展示室に土曜日の早朝のまばらな観覧者。彫刻は丈六クラスの石像や鐵像。あまり展示数は多くない。菩薩思惟像だけは個室を与えられ別格扱い。…

兵士に告ぐ

一般にはあまり知られていないが、九州長崎にナンバーを持たない連隊がある。西部方面普通科連隊。緊張を増す西南諸島の防衛にあたるレンジャーに匹敵する精鋭部隊。自衛隊の現場に密着する「兵士」シリーズの最新作4作目。はソ連崩壊後、大きく変貌する自…

紅葉狩り

連休の谷間を利用して紅葉狩りに。湯の山温泉からロープウエィで往復。植生のため全山紅葉とはいかないが楽しめるレベル。 山頂は寒いくらいだが眺望は良し。もっとゆっくり紅葉を満喫したい向きは登山道を行くべし。

金色のゆりかご

18歳の女子高生が妊娠。誰にも相談できず臨月を迎えコンビニで倒れてしまう。偶然彼女を助けた研修医の主人公だが、「望まない出産」の背後に控える社会問題に直面することになる。世間体と娘の将来を思う母親は、出産後うまれた子供を養子斡旋業者の手で…

りかさん

小学生のようこが祖母かもらった人形りか。人間の言葉を解し、人と心を通わせる能力を持つ。それぞれの持ち主の想いを受け継いだひとがたである人形たちを二人は理解し、癒していく。最大のみせばは戦前に親善大使として来日しながら、戦時中に敵性として焼…