2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ともにがんばりましょう

関西の地方紙が舞台。強引な形で組合の教宣委員を押しつけられた主人公が秋季一時金交渉の中で会社との交渉、支部ごとの調整に振り回されながら人間的に成長していく。新聞社という特殊な環境下であるが、右肩下がりの経済状況の中で、年末金の削減と労働強…

太閤暗殺

追い詰められた関白秀次側近による太閤暗殺計画。迷いながらも石川五右衛門一味に暗殺を依頼。石田三成、前田玄以陣営と激しい攻防を繰り広げる。練りに練った五右衛門の計略で事は成就したかに見えたが、最後のどんでん返しは予想外だがややとってつけたよ…

人は自分が期待するほど、自分を見ていてはくれないが、がっかりするほど見ていなくはない。

共著第2談。見城氏が自分の人生観、人生訓を語るのに対し、藤田氏が私見を返信する形式。常に戦闘的で前向きな見城氏と、冷静で客観的な藤田氏の主張がかみ合い面白い。世代を超えて卓越したビジネスリーダーとしてお互い尊敬していることがひしひしと伝わ…

デパートへ行こう

深夜の老舗デパート。自殺死亡の男、復讐を企てる元社長愛人の女子社員、父親が贈収賄事件に絡んだ高校生の家出カップルが、同じ夜に偶然店内に忍び込む。合併がからんだ会社の派閥争い。店を想う老警備員と脇役、プロットとも重厚。ありえない偶然が引きお…

オイアウエ漂流記

トンガ近海で搭乗機が遭難。乗り合わせた日本人が無人島に漂着する。会社の上下関係とスポンサーの御曹司との関係を残したまま、生きるためのサバイバルが始まる。お決まりの男女関係あり、旧日本兵の地方老人、環境保護団体の不良外人ありで、さまざまな人…

孫正義記紀克服の極意

ソフトバンクの後継者育成塾であるアカデミアの講義のエッセンス。過去、現在、未来に渡り危機管理の基本を解説する。突き詰めれば哲学がベースにあり、問題を考え抜き即断する。ソフトバンクの最大の危機は後継者問題だと明言する。原発、エネルギー問題に…

一人の哀しみは世界の終わりに匹敵する

連作。女子校を舞台に少女の成長を通じて聖書の奇蹟を物語る。平易な文体であるが、ある程度の聖書の知識がないと理解は深くならない。正直、私は著者の主題に届かなかった。評価は分かれるだろう。一人の哀しみは世界の終わりに匹敵する作者: 鹿島田真希出…

苦役列車

芥川賞受賞の私小説。性犯罪者を父に持ち、将来への夢を持てず自暴自棄な生活を送る主人公。日雇いの荷役作業で食いつなぐ。同じ職場で親しくなった学生との交友が孤独を癒すが、強引な個性が悪さをして疎遠になる。小説の創作への想いが独自の古風な文体で…

おいで一緒に行こう

福島原発事故により立ち入り禁止になった20キロ圏内に残された犬猫を救うボランティアグループ。ある意味非合法な活動であるが作者は密着取材し、実名で雑誌に掲載した。活動家に共通するのは40歳の女性。キーワードは母性。動物たちにとって過酷な環境…

信長死すべし

本能寺もの。信長の横暴に危機感を抱いた正親町天皇から光秀に密勅が出ていたとするストーリー。朝廷への敬意を持つ光秀には断ることは出来ず謀反に及ぶ。この設定には説得力がある。ただし証拠は残さぬように公家達は巧妙に立ちふるまった。事なった後に天…

日曜日部長は牧師になる。

25年の長きにわたり、サラリーマンと伝道者の2足のわらじを履いてきた著者の自叙伝。普通の企業人と変わらぬ悩みを吐露し、聖書を引用することで自分なりの解を示す。退職にあたっては疎外感をもつなど正直な告白はなかなかできないことだ。積水、交野教…

辺境中毒

エッセイと対談と書評。寄せ集めの感はぬぐえない。ミャンマーのケシ栽培の村で生活し、弟の結婚式のために急きょタイ経由で帰国するまでの顛末がが前半のやま。後半は対談とノンフィクションを中心として書評。提唱する「エンタメノンフ」はいまひとつ浸透…