2010-05-01から1ヶ月間の記事一覧

永遠のゼロ

現代に生きる姉弟が実の祖父が零戦のパイロットであり、終戦間際に特攻で戦死したことを知り、戦友を訪ね証言を聞くことでその実像に迫る。操練からのたたき上げの特務士官であった祖父は真珠湾から沖縄戦まで生き抜いたエースの一人であるが、愛する妻子の…

サラリーマンの神様

野球や歴史を引き合いに出し、いかに八百万の神々に祝福されるかを説く。編集者との対話形式で一気にそつなくまとめられてはいるが、よく知られたエピソードが中心で常識の範囲内。不遇なときほどくさらず努力、勉強しチャンスに備えよというところが大意。 …

追伸

二組の夫婦の往復書簡で構成される。離婚の危機にある現代のカップルとその妻の祖父母。いずれも互いの秘密が徐々に明らかにされる構成。不倫と信頼。時代は変わってもいくつになっても男女の仲は不可思議。人間ドックの待ち時間で読破。追伸 (文春文庫)作者…

ちょんまげプリン

現代のシングルマザー家庭に舞い降りたのは江戸時代からタイムスリップしてきた小普請組の侍。初めはドタバタで笑わせるが、家事を担当するうち菓子作りに才能を発揮し、一気に有名人となる。その反面醸成された母子との絆は薄らいでいく。最後はややほろ苦…

江戸城を歩く

現代に残る大江戸城の遺構を紹介する。外堀から始め、内堀、本丸へと探訪する構成。城郭本来の目的である防御を重視し、考え抜かれた設計であったこと。利根川を流れを付け替えた大きな都市構想であったことを紹介。前半は堀と石垣でやや単調。新旧の地図と…

虚像の砦

東京キーの民放が舞台。すべての系列の過去に起こした事件がネタ元になる。イラクでの人質事件をメインに、さまざまな圧力屈せず報道に殉じようとするディレクターが主人公。監督官庁である総務省、政治家、内部の人事抗争や派閥争いと外乱には事欠かない。…

ユビュおやじの再生

仕事の合間に汐留パナソニックミュージアムへ。所蔵するルオーの作品を観に行く。ちょうど特別展として挿絵の版画展をやっていたので興味深かった。宗教画のイメージが強いルオーだが、社会派的な風刺画も手がけていたようだ。出光美術館に下絵の所蔵が多い…

不機嫌な職場

現代日本の会社社会に巣くう不毛な人間関係を社会心理学的に解明する。現状分析としては?専門の細分化=たくつぼ化、?評判情報の流通機能の低下。?インセンティブ構造の変化により、組織内の協力関係の構築、維持が阻害されている。それらを克服した成功例と…

翳りゆく夏

20年前の誘拐事件の犯人の娘が一流新聞社の記者に内定。週刊誌の暴露記事を発端に、新聞社独自の内部調査が開始される。取材しながら誘拐現場となった病院、身代金受け渡し当日の状況を克明に再現する。事件は時効が成立しており、新聞社、警察の証言も内…

考えよ

ワールドカップに臨む日本代表への提言。現役の岡田体制に遠慮しつつも積極的な提言。リスクを犯さない日本人選手には苦言を呈する。不満はあるもののこの大会は中村俊輔のチーム。「新しい井戸は掘るべきではない」キーはCollectiveとDisipline。まずは自ら…

トヨタショック

2009年2月の出版。09年度の営業赤字転落が喫緊の話題であった時点でのレポートをまとめたもの。井上氏は朝日新聞のトヨタ担当。全体の予想は非常にネガティブ。リーマンショックが引き金になったものの、北米偏重、利益率の高い大型車重視の経営方針が衝撃を…

告白

担任する生徒に4歳の愛娘を殺された女性教師。入念な復習が始まる。主犯、従犯、同級生や家族と視点を変えてその後を追う連作方式だが、衝撃は第一章と最終章に集約される。スリリングで一気に読破。大賞受賞はうなずけるが、誇張はあるにせよ現実味を否定…

グリーン資本主義

計量経済学の立場から、地球温暖化問題を論じる。立場は明確で石油と自動車の20世紀は終焉し、21世紀は先進国は人口減少により既存分野の伸びは見込めず。エコ対策の新産業を興すしか経済発展の道はない。グローバルケインズ主義に基づき発展途上国と強…

ボストン美術館展

フレックスを使い鑑賞。中規模だが印象派を中心に中身の濃い内容に満足して帰る。目玉はゴッホの晩年の風景画だが、モネのコレクションもいい作品が多い。ピサロも新鮮だった。森アートギャラリーは初めてだがロッカー等の設備が今ひとつ。もう少しいいとこ…

北朝鮮を見る、聞く、歩く

ほとんど一般には知られていない北朝鮮の文化を紹介する。文学、音楽から映画、マスゲームまで、ほとんどが金正日体制を賛美する内容のものだが、作者はその芸術的完成度は評価している。読む側は実物にふれる機会がないため何とも判断できず、むしろ退屈。…

親の品格

幼少時から老後まで自らの経験をふまえて子育て論を展開する。内容はきわめて常識的。万人がうなづく内容だが、新鮮味は乏しい。安心できる優等生の理想論である。PHPらしいと言えばそれまで。親の品格 (PHP新書)作者: 坂東眞理子出版社/メーカー: PHP研究所…

儒教と負け犬

韓国、中国に取材し独身女性の現状をレポートする。それぞれ負け犬は「老処女」「余女」と呼ばれ、プレッシャーにさらされている。共通のバックボーンして儒教をすえるが、お国事情によりずいぶん個人の考え方には差が見られる。性的にずいぶんオープンにな…

ルノアール展

出張で空いた時間で鑑賞。個人的なあまり好きな画家ではなく大きな期待をしてはいなかったが、正直予想通りの内容ではあった。肖像画と静物画はいい。中でも看板の「可愛いイレーヌ」は一見の価値あり。各地から一級品を集めてはいるが、国内出品も多い。特…

東京バンドワゴン

東京の下町、老舗の古書店が舞台。4世代の大家族がおりなすファミリードラマ。他界したオカミサン(大祖母)ガ語り手を務める。書物にからむ小さなミステリーを絡めて、家族それぞれの恋愛事情を醸し出す。単純に楽しめたが、逆に言えば他愛ない。シリーズ…

インパラの朝

684日にわたるユーラシア大陸大旅行記。アジアから中東を経てアフリカと決して安全でない現地の社会へ飛び込み、豊かな感性で生の小さな声を拾い上げる。当然ながら旅の中に生活があり、一か所ので滞在は長くなるが、各地での率直な想いが簡潔にまとめられて…

黄金旅風

江戸初期の長崎。貿易商であり代官を務める末次平左衛門が主人公。強欲な長崎奉行竹中重義との対決を軸に、アジアへの雄飛のから鎖国への時代の流れを追う。史実に忠実なようだ。主人公は若い時は悪童として名をはせたが、マニラ制服を狙う竹中家の目論みに…