2015-01-01から1年間の記事一覧

社員を幸せにする会社

表題の通り、社員が喜ぶ3社を紹介。決して大手ではないが、独特の経営哲学で業績は堅調。社員の幸福度は高い。共通するのはノーブルオブラージュ。社会に対する責任をどこにおくかが焦点。経営者のカリスマ性によるところも大きく、哲学が継承されるかが今…

和僑

主人公は地方の町長。大手商社の出身だが、高齢者住宅団地を誘致して赤字だった町を再生する。一次の活況に湧いているが高齢化の進展により二十年先は過剰設備になることが予想される。現況には日本の人口減少がある。より深刻なのは地場産業の農業。後継ぎ…

安売り王一代

ドンキホーテの創業者である著者の自叙伝。ほとんどゼロからの出発で街のディスカウントストアを一大小売り業まで育て上げる。ブルーオーシャンであるナイトマーケットを開拓し、買い物にA(アミューズメント)を取り入れることで、新たな需要を掘り越した。…

花のさくら通り

主人公は零細広告会社の企画担当。経営不振で引っ越した先は寂れた商店街。やがて街の一員となり再生に一役買う。再生への苦闘を縦軸に、若手の恋愛やそれぞれの家族を横軸に物語は展開する。再生を阻むのは旧態依然とした長老連の内部要因。若手は賢明に風…

小説土佐堀川

明治の女性実業家、広岡浅子の生涯を描く。三井家から大阪の豪商加島屋に嫁ぐ。幕末の動乱で傾きかけた身代を才覚で立て直す。炭坑、銀行、保険と次々に起業。時代を見据える確かな眼力とここという時にリスクを取る胆力。その行動力に周囲ははらはらするが…

世界史で学べ地政学

地政学の観点から、現代世界のパワーバランスを解説。歴史的にはシーパワー(米、英、日)とランドオパワー(ソ、中、独)との対決。徹底したリアリストで、各国のエゴとダブルスタンダードは批判する。思想は右寄り。アメリカはすでに斜陽化しており日本と…

幸せの条件

農業小説。中小化学機器メーカーの女性社員が社長の発明したバイオエタノール製造設備の原料確保のため、農村に出される。立ちはだかるコストの壁。ひょんなことから農業法人出向することに。除雪から始めて稲刈りまで農家の生活を体験する。3月に起こった…

アズミハルコは

現代若者小説。高校を卒業した男女がそれぞれさえない生活を送る。平凡なOLのヒロインはある日失踪。一方同級生の男二人は落書きで名を上げる。ハルコの人捜しをモチーフとすることで両サイドが繋がる。地方の小さいコミュニティでありながら人間関係は希…

エヴァンゲリオン化する社会

今も謎の多いアニメ「エヴァ」を題材に、現代の労働環境を語る。作者の主題はもちろん後者にある。登場人物ごとに現代を生きる若者にあてはめてはいるが、後付に過ぎない。これは著者自身も後書きで認めている。使徒を現代社会をつつむ社会不安の象徴とする…

督促OL修行日記

平凡な女子大生がカード会社に就職し配属されたのは、コールセンターの督促部門。気弱な著者は回収の成績が上げられず苦しむ。もともと感情労働で離職率の高い職場。地道に努力をし、先輩方のテクを学んでコミュ力を上げて行く。ユーモアたっうりに書かれて…

移民の宴

日本に長期滞在する外国人の普段の食事を探る。対象はタイ人からイラン、台湾、ロシアと幅広い。特に震災での影響にも触れる。共通するのはコミュニティーを大事にしていることと、日本食は簡単であるという感想。食事から文化の違いが垣間見える良いルポに…

30円のブラックサンダーで100億円企業になった理由。

中小の菓子メーカーであるユウラク。ブラックサンダーの大ヒットで一躍メジャーに。社会現象ともいえる躍進振りをマーケティングや社会学の見地から解析する。基本は高品質のものを低価格で供給する。PRには金をかけず、SNS等で評判になるに任せる。ヴィジ…

与楽の飯

奈良の大仏建立を支えた市井の人々を描く。3年間の使役に徴用された仕丁たち。その食事を一手に担う炊屋の主。工夫をこらし質素な食事にも拘わらず好評をえている。役人との軋轢や望郷の想いなどさまざまなトラブルが起こるが、人脈と機知で解決していく。…

とにかくうちに帰ります

台風で台場(?)に取り残された4人が、大雨の中本土側に向けて橋を渡る。それぞれの事情はあるが、大きなドラマが有るわけでなく細かい心理描写で全編もたせる。どこにでもいそうな一般人の非日常を描く。なんだか不思議な読後感だが悪くはない。とにかく…

ゼロからトースターを作ってみた結果

イギリスの学生が卒業制作として、トースターを原材料から手作りする。市販の一般品でも部品の数は数百点。鉄鉱石から精錬したり、マイカを採掘したりと面白いが、苦戦したのはPP。最後の方は自ら設定したルールを破ることになるが、そこは一興。出来上が…

ソウルフードを食べに行く

日本全国のB級グルメを食べ歩くガイド本。帯広の豚丼から沖縄そばまで、旨そうな店が写真入りで紹介。食べたいものが目白押し。手元に置きたい一冊。日本全国 ソウルフードを食べにいく (文春文庫 い 96-1)作者: 飯窪敏彦出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: …

なきむし姫

些細なことですぐ泣く妻を残して神戸に単身赴任する若い夫。心配でしょうがないが、仕事を優先し帰れない日々が続く。そこへ現れたのが幼なじみのバツイチ男。破天荒な性格で周囲を巻き込んで行くが、その中で状況が変わっていく。ラストは娘を再婚する妻に…

絶筆で人間を読む

表題通り画家の絶筆を紹介し、その生き様と作品群を振り返る。イタリアルネッサンスから、印象派まで、時代順だが、神、王家、民と鑑賞者すなわち画家の対象が変遷してきた歴史でもある。遺作を取り上げるのは目新しいが、代表作やエピソードはよく知られた…

スポーツアナウンサー

著者はNHKを勇退したが、サッカーを中心にした落ち着いた実況には定評があった。スポーツ中継の舞台裏をあますとこなく伝え、その真髄に迫る。要は顧客である視聴者にいかに満足してもらうか。プレーヤーと解説者を含めて複雑な構図を意識する。準備を周…

武士道ジェネレーション

女子高生剣士3部作の続編にして完結編。香織と早苗の大学卒業からそれぞれの進路と結婚を描く。香織は道場を継ぐ師範となるため裏の奥義を学ぶ。それはまさに生死を駈けた格闘技。これが結局彼女の剣を一段高めることになる。脚を痛め一線から遠ざかってい…

ホンダジェット

いよいよ本格生産が始めるホンダジェット。開発開始から30年にわたる苦闘の歴史をたどるノンフィクション。主翼の上にエンジンを配する業界でのタブーにあえて挑戦することでブレークスルーを果たした。本田宗一郎の挑戦を続けるDNAが生き続ける。それでも…

最弱ナイン

千葉県の通信制高校。不登校児や問題児を受け入れる。熱血教師が教育の一環として野球部を創設。グランドの開墾から文字通り一からのスタート。一般的な高校野球の概念からはほど遠く、叱ると来なくなる部員達を相手に奮闘。問題は続出、試合には敗れ続ける…

盲導犬の子犬と暮らした358日

パピーウォーカー体験記。写真日記形式で「Yang」との1年を記録する。臆病で慎重な子犬が成長にともない好奇心が強く逞しく育っていく姿は微笑ましい。自然豊かな山形鶴岡で伸び伸び育つ。つい自分たちの経験と照らし合わせてしまうが、肯ける部分は多い。…

アグルーカの行方

北極探検記。19世紀半ば英海軍フランクリン隊は北西航路の探索に赴いたが、全員死亡という悲惨な結果に。最後は飢えに苦しみカニバリズムが伝えられる。謎の多いこの探検路に作者が挑む。100日、1000Km以上結氷を橇を曳き踏破。前半は乱氷、後半は雪解…

ヤンキー社長

ここでのヤンキーは広義。信念を持って創業した経営者を指す。学歴不問、恵まれない環境の中から、アイディアと行動力で注目される企業を創る。9例が紹介されるが、いずれも規模は大きくない。共通するのは独断的とも言えるトップダウン。社長の信念が部下…

女神のタクト

神戸の貧乏オーケストラが舞台。主人公は傷心旅行中にふとしたことから運営に関わることななる。気弱なマエストロを連れ戻し、曲者の事務総長とやりあいながら持ち前のバイタリティーで定期公演にむけて全力疾走する。実は指揮者はオーナーは孫であり、余命…

悲しみのそこで猫が教えてくれた大切なこと

主要登場人物は3人。パチンコ店員、なんでも屋、お節介な主婦。ぱっとしない3人だが平常な日々を送っている。パチンコ屋に置いた拾い猫情報ノートからさまざまな騒動が発展する。やがてそれは各人の重い過去にリンクしていく。よくあるほのぼの系ファンタ…

十三億分の一の男

現在の中国国家主席である習近平の権力闘争に焦点を当てる。江沢民と胡錦涛の争いの結果として、中南海生まれの2世。本命李克強に対してダークホース的に実権を握ったが、まさに命がけの闘争を勝ち抜いたしたたかさを持つ。繰り返されるのは共産党幹部のす…

インダストリー4.0

第4次産業革命が現在進行中。ドイツとアメリカが主導権争いをしているが、協力、融合を目指している。共通するのはIOT,IOS(Service)での生産革新。単なるFAではなく目指すのは究極のオーダーメード社会。効果として在宅勤務、高齢者の活用、環境保護と社会…

さよならサイレントネイビー

オウム地下鉄事件の実行犯である豊田死刑囚。著者は東大物理学科で同窓の親友。頭脳明晰であった彼がなぜオウムの信者となり、大罪を犯したかを問い続ける。遠因は東大の教育システム。修士まで他人の理論のフォローでオリジナリティが発揮できない。迷った…