2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

暗い夜、星を数えて

著者の実体験をベースとしたルポ。一人旅の常磐線の車内で震災にあう。危機一髪で津波から逃れ、避難所で知り合った女性の自宅で一夜を過ごす。翌日には原発が爆発。あの震災のすべてを自ら体験することになる。後日被災地を訪問、お世話になった人々と温か…

東京笑芸ざんまい

著者が、お笑い芸能ネタをベースに書いたエッセイ。週刊誌への連載。少し世代は上だが懐かしい芸人たちをそのネタやヒット曲とともに振り返る。作者も古希を迎え、どうしても自分の来歴の自慢が入るのはご愛敬。芸人の評価としては三木のり平とビートたけし…

天切り松闇がたり初湯千両

シリーズ第3作。抜けていたので補完。6作の構成、大正デモクラシーの時代、義賊一味の活躍ぶりが描かれる。今回は人情物が多く、ほろりとさせられる。いずれもセリフが格好いい。森鴎外や竹久夢二も登場させるサービスぶり。若干パターン化しているが、安…

コイツらのゼニ儲け

左翼系の雑誌への連載。各界の著名な資産家の儲けの手口をえぐる。眉唾な裏情報も多い。実業界だけでなくスポーツや芸能まで幅広くカバー。サッカーフリークの一面も。経営側としては距離を置きたいところだが、読み物としては面白い。 コイツらのゼニ儲け …

一分間だけ

犬もの恋愛小説。敏腕女性編集者の主人公は、恋人と西東京でゴールデンと共に暮らす。忙しさに負けて、犬の世話が負担になり、やがて些細な食い違いから破局を迎える。上昇志向の彼女とのんびりした彼との価値観の差。互いに惹かれる第3者の存在。愛犬は二…

サイロエフェクト

平たく言えばたこつぼ化のこと。高度に専門化した組織は、自らのサイロ内を正とし、情報交換が阻害される。失敗例としてソニーがまっさきに挙げられる。他はUBSとイギリスの経済学者。逆に成功例はフェイスブックとシカゴ警察。意図的な人事交流とITによる障…

令和を生きる

二大ジャーナリストの対談で、平成30年を振り返る。どちらかというと池上氏が聞き役と解説。見た目平和な時代だったが、政治の劣化、災害対応、さらにバブルの後遺症で日本は二流国に転落してしまった。ネット社会は右傾化しやすく、反動勢力の台頭に警鐘…

味の素残業ゼロ改革

味の素で行われた働き方改革。労働時間を2000時間から1800時間まで一気に削減する。人事部出身の西井社長のトップダウンで抵抗勢力を排する。世界と伍するためには生産性を上げ、世界標準で有能な人材を確保することが不可欠。決め手はペーパレスと…

枝野家のひみつ

著者は立憲民主党の党首である枝野氏の奥方。CAから見合いで結婚。政治には素人だったが代議士で生活力のない夫を助ける。不妊治療で双子を出産。うち一人には軽い障害がある。夫人はかなりポジティブな性格で、積極的に人生を乗り切る姿勢には好感。前半は…

社長って何だ

近著。伊藤忠の社長時代の考え方と覚悟を語る。一気に不良債権を処理。V字回復を成し遂げたる。前例や慣習にとらわれず、清く正しく美しくがモットー。若い時からある意味暴れん坊で、胆力を養う。欠かさぬのは読書と散歩の習慣。部下への目配りも忘れない。…

住友を破壊した男

住友の中高の祖、伊庭貞剛の伝記小説。近江の武家の出身。若い頃から有能で清廉潔白な人柄。国を想い討幕の志士となるが、維新後は司法の道へ。出世は果たすが官に飽き足らず、叔父広瀬に請われて住友に入る。別子銅山の改革で苦労。地道な努力は末端まで共…

地図帳の深読み

地図マニアの著者が、戦前から最新の地図帳を参照し、日本及び世界の社会の動きを洞察する。高校生用のカラー版の地図が掲載され、なかなか愉しい一冊。地図は時代を反映し、多くの情報を与えてくれる。平成の大合併により歴史ある地名が消失したことは極め…

中国人は見ている

食事や人間関係など身近な話題から、日中のギャップを考察する。お互いにステレオタイプの先入観が根強いが、特に日本サイドは身につまされる。中国は急速に変化しており、いい方向に向かえば有り難いところ。読み物としてはなかなか興味深いが、文化論とし…