2014-12-01から1ヶ月間の記事一覧

肥満

稀代の梟雄安禄山の物語。異民族の出身で商人から身を起こし、その才覚で唐の官位をのし上がる。若い時は人格で、後半はゾロアスター教徒を中心とする財力をバックに、賄賂を使いネットワークを広げる。玄宗皇帝と楊貴妃に気に入られるが、最後は反乱を起こ…

かみつく二人

J-WAVEで放送された二人の対談。才気あふれる二人が毎回会話のバトルで楽しませる。日常的な話題から舞台や映画の話までネタはつきない。十分笑わせてもらったが、ボリュームがあり、意外と読破には力が要った。これが3作目ということのようだが、前作をす…

独走

エッセイ集。女芸人から太田光夫人そしてプロダクション会社社長、ウワバミとしても名をはせる。ユーモアたっぷりの軽めの内容ではあるが、全編を通して夫への信頼と愛情が感じられ好感。同世代と言うこともあり、子供時代の思い出には共感出来る部分も多い…

野球の定石

急逝した高校野球の監督である著者が、選手達に残したメモ。メンタルから始まり、ポジションや状況別にあらゆる戦術が詳細に記される。ある意味内容は常識的なもので、意外性は少ない。著者は早稲田の野球部出身。指導者としての野球人生を歩むが、自殺した…

池田屋乱刃

幕末の池田屋騒動を討ち取られた志士の側から描く異色作。5人の主役の当日の動きとこれまでの活動を平行して描く。あまり一般には知られていない人物像を明らかにする。中でも宮部鼎三と吉田松陰の友情。下級武士であった英才吉田稔麿の苦しみ。そして当日…

自分へのごほうび

エッセイ。NHKを退職しフリーアナになった頃の著書。まずその文章力に驚かされる。本人はカナダ育ちの帰国子女。好奇心旺盛でかつ度胸がありどちらかというと男っぽい。人気アナであった時期に退職したのも自分の可能性を探るため。軽めの話題から人生論…

ライツオン

明治初期のお抱えイギリス人技師。日本各地に灯台を立てる。ここまでは史実に基づく。ハーフの青年が通訳として雇われ、彼の視点から一家と日本人の交流を描く。初め日本人を野蛮人と馬鹿にしていた技師もその技術と文化の高さに瞠目し、やがて互いに尊敬す…

東京ポロロッカ

多摩川をアマゾンのようなポロロッカが襲う。噂は憶測を呼び周辺住民を巻き込んでいく。7編からなる短編連作集。語られるのは下流から上流にかけての家族の物語。それぞれ抱える家庭の事情が良い方向で解決していき、さわやかな読後感を呼ぶ。主題は大切な…

イベリコ豚を買いに

食肉流通には素人の著者が、本物のイベリコ豚の味に魅せられ、スペインから輸入新製品であるスモークハムを開発、販売するまでのルポ。これまでのネットワークを活かし、有名シェフの慣習で本来生ハムになる部位をスモークする。生ハムは塩漬けの乾燥のみで…

漁港の肉子ちゃん

さびれた漁港の焼き肉屋に住み込みで働く母娘。底抜けに明るい太めの母親と思春期の入口に差し掛かった小5の娘。何度も男に騙されながら流れ着いた母親は、天真爛漫というか天然で廻りの人気者になる。娘はクラスの派閥争いや淡い初恋に悩まされながらやが…

家康の子

徳川家康の次男。結城秀康を主人公とした時代小説。豊臣秀吉に人質として預けられ、両雄の一字ずつをその名に持つが、歴史上はあまり知られていない。本作はその生き様にスポットをあて、父に見捨てられた悲しみと、両家の絆として奔走する姿を主題に描く。…

風のマジム

秀作。那覇の派遣社員OLが社内企業コンテストに応募。南大東島でのラム醸造に挑む。社内の思惑や法規制、保守的な島民の反対を押し切ったのは女系家族の支えと、なんと言っても自分が選んだ道への熱い思い。マジムとは沖縄弁で真心。誠意あふれる対応が周…

ジャパンディグニティ

津軽漆が題材。家業の漆は衰退の一途。母親は離婚し家出。弟はおかまのディトレーダー。主人公のヒロインは内気で何をやってもうまくいかない。レジうちのパートを辞めて父につき漆職人を目指す。当然簡単では無いが、オランダの展示会に出したピアノが評判…

ドックテールズ

犬に関する中編が5作。ファンタジーあり、ドラマチックなものありと犬好きを唸らせる一冊。あまり擬人化せず人間からの視点で詳細に犬の姿を描写する。トラウマに陥った訓練士の復活劇を描いた「向い風」が秀作。犬は本当に人間にとって良きパートナーであ…

六三四に挑む

東京スカイツリーの建設を描く技術系ノンフィクション。それぞれの分野の一流企業が総力をあげて未知の世界に挑む。設計から現場施工まで最新技術を取り入れてミリ単位の精度で築き上げた。共通するのは利益を度外視して、社員のモチベーションという目に見…