2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧

天涯の楽土

豪族たちの争いの絶えない古代九州が舞台。それぞれの部族の命運を背負うことになった少年少女の活躍を描くRPG風ファンタジー小説。あまりない設定と驚かされるプロットで、ぐいぐい物語に引き込まれるが、後半は少し息切れした感じは否めない。次回作に期待…

待ってる

江戸の人情話。料亭「橘屋」を舞台に貧しい人々の生活を描く。美人で厳しくも気っ風のいい仲居頭お加代に主人公の少女が育てられる。他の訳ありの勤め人もさまざまな事情をお加代に救われる。庶民には厳しい時代だが助け合いと思いやりの世界は暖かい。背中…

なぜ阪神はなぜ字回復したのか。

2013年の快進撃を解説。藤浪効果による投手力の整備と、西岡効果による得点力のアップが功をそうした。シーズン途中の著作だが、失速は予測。根本的な問題は生え抜きの主力が育っていないこと。オリックスで苦労したようで愚痴も多い。次期監督には矢野…

光秀の定理

不遇の光秀を助けた剣豪と謎の僧。市井の賭博で日銭を稼ぐが、その裏には確率論と心理学を応用した見事な原理が存在していた。その応用で六角攻めで光秀に大巧をもたらす。本能寺の叛旗については、信長も光秀の才能を認め高く評価していたが、信長の革新性…

一生モノの時間術

人気の鎌田教授が時間の有効活用術を開示する。内容は極めて平凡で当たり前の話が多い。他の著書からの引用も多く、正に本文中で示されたようにフォルダーにため込んでおいた断片から一冊仕上げたというイメージが拭えない。簡単には読めたが期待はずれの一…

駅物語

現業駅員として採用されたヒロイン。弟の死に責任を感じ、東京駅で自身が倒れた時に助けてくれた5人の乗客を捜す。同期や先輩もそれぞれの事情を抱えながら厳しい勤務をこなす。毎日百万人の乗客をこなしながら、定時発車を守る巨大システムは個人の努力に…

私の教え子ベストナイン

現役から監督時代を含めてベストナインを選定する。ヤクルト、南海と自ら指揮したチームから選んでいる。サプライズは投手の伊藤智仁くらい。タイトルに惹かれて手に取ったが、捕手欄には自らの選手経験に長く割き、選手についても自身の指導方法にふれるな…

鉄で海はよみがえる

著者の本業は気仙沼のカキ養殖。豊穣な海の環境を守るため、里山の植林を長年推進する。本書はそのメカニズムを踏み込んだ形で紹介。落葉中のフルボ酸に含まれる鉄が、キレート効果で植物プランクトンに取り込まれ、食物連鎖の出発点となる。河口近くの藻類…

会社の哲学

学問としての哲学から現代の会社を解明したいという著者長年の思いがまとめられた一冊。それこそギリシャ哲学から古今の名著をひもとき法人という実体のない怪物にせまる。テーマとして会社、経営者、国家が取り上げられる。繰り返されるのは株式会社に特有…

最初によむ相続の本

50歳の我々が対象。相続に関する税務の基本知識。平易にまとめられており、一日で通読したが節税対策としては今具体的に出来ることはなさそうだ。少なくとも財産の現況について整理してもらうことが必要。一度実家と相談しよう。 50歳になるあなたが親と相…

老朽マンションの奇跡

吉祥寺の老朽マンションを500万円で購入、200万円でロンドン式フラットに改造した著者の実践記。何が出てくるかわからないリフォームでは信頼できる業者の選定が最重要。作者の奇跡的な成功事例でもかなりの労力を割き、かつ種々のトラブルに見舞われ…

競争力

三木谷親子による対談。父は国際経済学者で米国通。三木谷社長の産業力強化構想に父が理論的なバックアップを与える格好。改革案は徹底的なIT化と国際化で日本の競争力プラットフォームを強化すること。アベノミクスには評価を与える。KPIとして具体的な数値…

みんなの経営学

今ひとつじったいがつかみずらい経営学のエッセンスを平易に解説。代表的な理論を紹介する。モチベーション、リーダーシップ、組織、戦略と日頃の実務でなにかと議論になる項目に焦点を当ててくれるのは有り難い。SWOT、PPM、3Cなどなじみ深い分析法も紹介さ…

ゼツメツ少年

いじめに悩む小中学生の3人組が家出を目論む。それぞれ事情はあるが、家庭にも学校にも居場所の無い彼らはゼツメツの危機に瀕しており、著者の分身である作家に救いを求める手紙を出す。物語の中で過去の代表作の主人公たちが助けに来るが、苦しみを和らげ…

言える化

アイスクリーム専業の赤城乳業。ガリガリ君を軸として「強小企業」として躍進する原動力を探る。すべてにおいてオープンな組織で、若手にも発言の機会を与える「言える化」は、階層の薄い縦軸と、委員会組織の横軸で構成される。何よりもカリスマ社長の社員…

藝人春秋

たけし軍団の一人である著者が、芸人たちの身上と心情に迫ったノンフクション。決して超一流ではないが有名どころの笑いに対する矜恃を描く。身内に不幸やどんな事情があっても舞台に立てば、明るく笑いを取るところはまさにプロ。石倉三郎、稲川淳二のエピ…

犬の伊勢参り

江戸時代には単独で伊勢参りを果たした犬が多数いた。にわかに信じがたい事実を著者は丹念な文献調査で解明する。何かの事情で主人の代参として郷里を出た犬は、宿場ごとに申し送られ伊勢へ送り届けられる。神への信仰と恐れのなせる技であるが、共同体とし…

犬から聞いた素敵な話

14編の短編集。半分は飼主からの残りは飼犬からの視点で描かれる。いずれも人と犬との深い絆を描き、パートナーとしての存在価値を再認識させられる。悲しい時、苦しい時ほど癒してくれる人が大好きな犬たちに感謝。有りがちなエピソードではあるが、全く…

クロネコの恩返し

東日本大震災の直後から、ヤマト運輸が始めた寄付活動。宅急便1個につき、10円を寄付するというアイディアだが、実に年間利益の4割をつぎ込む英断。対象を産業や医療の復興に絞り、スピードと実効性を重視した。選定にはROIを評価するなどまさに民間の発…

破綻

突然破綻し長瀬に買収されたバイオ企業の雄林原。社長の実弟で専務の著者が一連の破綻劇の真相を激白する。帳簿上のミスをつかれ、銀行団主導で行われた更生処理。経営権は剥奪され、個人資産も弁済にあてられた。黒幕は不明だが、個人経営の優良企業が狙わ…