2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

Suicaが世界を制覇する

クレジットカード業界に詳しい著者が、Suicaの開発、展開の経緯とこれからの世界戦略を解説する。世界規格に合わずガラパゴス化で苦しんだが、Iphoneに搭載されたことで急速に進捗している。背景にはカード界の盟主であるVisaとアップルの覇権争いがある。い…

未来の仕事の作り方

武蔵野美大での私設講義集。各界の著名人を招いて片山教授が対談する。ゲストは芸能界やクリエーターが多い。手の届かない存在ではなく、それぞれもがき苦しみながら成長し、今の成功をつかんだ経緯が、著者が学生たちに伝えたいところ。結局は経験値の広さ…

森の人が食べるブドウの味

エッセイ集。取材旅行で訪れた僻地や生まれ育った八王子がネタになる。世界各地を訪ね現地のモノを食べ、現地人の視点にできる限り近づこうとする。作家や学者仲間との対談は創作や女流としての立ち場に言及。好きな作家の一人だがエッセイは初めて、さすが…

超世界史日本史

思想史学者である著者が大学入試の記述問題に答える形で、歴史の問題とその背景を解説する。大学ごとに問題の傾向があり、結構きわどいテーマからの出題もあり興味深い。解説はまあ常識の範囲だが、中には新たな視点もあった。 中国の歴史は中原(黄河)と江…

デトロイト美術館の奇跡

アメリカ随一の印象派のコレクションを誇るデトロイト美術館(DIA)。市の財政危機の穴埋めに閉鎖、収蔵品の売却の危機に瀕した。一般市民や職員の努力により多額の寄付を集め、独立法人となる奇跡を物語仕立てで語る。バックにセザンヌの代表作である「夫人…

大予言

社会学の権威が、古今の歴史の周期について考察。自説の25周年周期説を解説する。世代間の交代であり、倍の50年はインフラの寿命である。学説の紹介や解説が長く、完全に理解はできないが、現在が長短のスパンで視ても変曲点であるとの主張は興味深い。…

データ競争力を上げる上司、下げる上司

データリテラシーの入門書。部下のつくる資料を見極める力をマネージャーに問う。インプット、分析、アウトプットとそれぞれに解説。いかに目的にあった解析を行うかが重要。恣意的なデータ操作は厳禁であることは言うまでもない。平易な内容だが理系として…

ワタミの失敗

過労社員の自殺をきっかけに、ブラック企業批判で炎上し経営危機に陥ったワタミ。実際の経緯を解析することで、一般企業の持つリスクを開設する。原因をつきつめると渡邊氏の強力なリーダーシップといい人集団の従業員に甘えすぎ、やるべき対応を怠ったこと…

団塊の後

2026年。今から10年後を想定した近未来小説。日本は長引く不況と加速する高齢化にあえいでいた。連立政権の3世首相(小泉?)は年頭から大胆な改革を提案。著者がかねてから主張する道州制への移行。東京の一極集中から地方へ権限¥を委譲し、新たな産業を…

日本の工芸を元気にする

著者は300年続いた奈良晒の老舗の当主。自社のSPAモデルを確立し、品質を武器に直販マーケットへ参入ブランドを再生。タイトルである「日本の工芸を元気にする」を旗印に各地の中小企業とタックを組む。その取り組みは評価され知名度は上がっていく。各企…

アサヒビール30年目の逆襲

スーパードライの躍進でシャアトップに立ったアサヒビール。ブランドを聖域とすることでヒットが出ず、一本足打法に頼り勝ちながらも弱くなる状態が続いていた。トップの決断により、聖域をエクステンション。組織横断的なマーケティングとイノベーションに…

エッセイ

ロンドンブーチとして一時お笑い界を席巻した著者のエッセイー。子供のころから型にはまるのを嫌い、とんがって生きてきた。同調圧力と承認要求に負けて画一化、均質化する日本人特に若者に警鐘を発する。語り口は平易だがやや底は浅い。TVに飽き足らず次…

ウニはすごい、バッタもすごい

生物学の大家が、東工大での講義をまとめる。生物の進化と機能。昆虫からウニ、ヒトデなどの下等生物も環境に適合した見事なシステムを作り上げ生存する。個別の話はすごく面白いのだが、細論にはいるとこちらがついていけず退屈。出張持参には重い内容でし…

孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきたすごいPDCA

ソフトバンクグループで実践されている高速PDCAを解説。Pには時間をかけず、Dは複数を並行に実施し最適解を求める。Cは可能な限り数値化。これを細分化し、一日単位で回す。言われてみれば極めて単純な話。茶者は現在は独立しているが孫社長の腹心で信者。AD…

組織の不条理

不条理の権化のように評される帝国陸軍の行動原理を最新の新制度経学から分析する。個人、組織とも神ではなく完全合理性には到達しておらず、限定合理性の中での判断ではありうる選択と位置付ける。さらに現代の日本企業にも理論をあてはめ興味深い。既存の…

[書評}日本博物館事始め

明治維新直後。薩摩藩出身の町田久成は外交官を首になり、内務省で博物館の建設に意欲を燃やす。西洋化や廃仏毀釈により打ち壊される日本の貴重な文化財の保存にすべてをかける。政治に左右されるが初志を貫徹。帝室博物館として竣工。その後潔く後進に道を…

アメリカに喧嘩を売る国

フィリピンのドゥテルテ大統領の実像を国の歴史からひもとく。トランプと比較されるが、最大の違いは政治手腕の実績。ダバオ市長として麻薬対策を強行。治安を劇的に改善し圧倒的な支持を誇る。強気の発言と周到な交渉で各国から経済援助を引き出す。アメリ…

離婚してインド

旅行作家である著者は7年間連れ添った夫に離婚を告げられる。妻が個人の夢を追い求めるあまり、未来が共有できなくなったというのがその理由。苦しみながら一念発起してインドの放浪の旅へ。西海岸を北上し聖地を巡る。人と触れ合い、自然に接し、大泣きし…

第4次産業革命。日本経済をこう変える。

現在進行形の産業革命。Uberに代表されるようにネットワーク産業が業界地図を一変する。日本は周回遅れだが選択の余地はない。邪魔になる規制を改変し、チャンスを活かすべしとの積極論。特に人材の流動性を促し、オールドエコノミーから働き手を移す必要が…

世の中それほど不公平じゃない

週刊プレイボーイでの連載。著者と若手の編集者が読者からの人生相談に答える。自衛隊をはじめ多くの人生経験を持ち、稀代の読書家である茶者の言葉には含蓄がある。回答は極めて常識的、不満の多い若者には短期の成果を追わず、現状で踏ん張り改善する努力…

籠の鸚鵡

和歌山を舞台にしたヤクザの抗争とそれを取り巻く男女の人間模様。ヒットマンに仕立て上げられた小組の若頭の犯行と逃走劇。関係していた人間はこの機を利用しようとそれぞれの思惑で動く。結局はタイトルにあるように閉塞感のあるそれぞれの結末。テンポは…