2022-01-01から1年間の記事一覧

日本株を動かす外国人投資家の思考法と投資戦略

最新の外国人機関投資家の動向を解説。籍は海外法人だが実際の運用は日本人が担当しているケースもある。最大の問題は下向きの国勢により、投資対象となっていないこと。巨大ファンドの運用額から見れば日本株の比率は数%に過ぎず、さらに減少傾向とのこと…

夕映え天使

短編集。全6篇。人情とペーソスをベースにするが、必ずしもハッピーエンドではなく、意外な結末が待っているものが多い。設定から導入まで思わず引き込まれるあたりは流石である。十分に愉しめた。 夕映え天使(新潮文庫) 作者:浅田次郎 新潮社 Amazon

JAPAN TRANSFORMATION

楽天三木谷氏の率いる新経済連盟。デジタル企業のトップが日本の未来のために提言、活動を行う。錚々のメンバーだけに発言力は大きい。本書は結成から10年を機に現時点での問題意識を対談形式で世に問う形。徹底した規制改革と人材の流動化。後者には移民…

美術の物語

古代からポストモダンまで美術史を俯瞰する大著。この分野では圧倒的に支持されるバイブル的な存在。美術の流れを時代別に追う。建築、絵画、彫刻の分野を網羅。美術が過去を参考にしつつ、新しい流れに乗り発展していった変遷が良く理解できる。有名な作例…

東京のぼる坂くだる坂

幼い時に自分と母を残して家を出た父。転居を繰り返し名のある坂に住むというこだわりの変人。中年を迎えた主人公がその坂を訪ね、父との関係と隠された家族の謎を探る構成。一応家族関係が主題だが、むしろ東京の坂道のガイドブック的な要素が強い。そこに…

パンデミックなき未来へ僕たちにできること

自らの財団を通じて、長年保健医療に貢献してきた著者が、コロナとの闘いを評価、解析する。満点ではないが、短期間でワクチンの開発ができ、一定規模で押さえこめたことは一定の評価。国ごとの格差の問題は大きく、死者は貧しい国々に集中している。今回学…

長寿と画家

東西の著名な画家の代表作と遺作を通じて、その生涯と芸術性を解明する。文章は適度な長さで印象的なエピソードを紹介。図版も良いがもう少し点数が欲しいところ。画家たちに共通するのは年齢とともに衰える肉体、特に視力の低下に苦しみながら最後まで求め…

撤退戦

近代戦史の中から9例を精査。最も困難を極める撤退戦の成功と失敗の実例を考察する。どうしても組織の各レベルで判断は遅れがちで状況を悪くする。筋の通った命令系統が必要。現場は正確な状況報告、トップ側は部下を慮ることなく冷徹な判断が求められる。…

2040年の未来予測

タイトル通り、20年先の未来を予測する。著者はテクノロジーの信奉者で明るい未来を予測してきた。5G,6Gにより完全なIT,自動化社会が到来し、生活は一変する。日本は高齢少子化で衰退モードが避けられない。さらに温暖化による災害の発生は予測しようがない…

シュウマイの本

餃子におされ今一つメジャーになれないシュウマイ愛好家の著者が、その歴史と現在の展開を記述する。中華料理の点心が始まりで、街中華に広まり、冷凍食品により家庭に浸透した。世代分類では現在は第七代。各代個性を発揮し現存だが、コロナの影響もあり、…

世界の賢人12人が見たウクライナの未来プーチンの運命

タイトル通りの内容。様々な分野の著名人が寄稿したもの。2月の開戦直後の論評が多く、最近の戦況は考慮されていない。立場は様々だが、ロシア帝国復活を狙うプーチンの狙い、世界大戦の危機感などは共通。西側の論評なので民主主義を守るために立ち上がるべ…

WHYから始めよ

アメリカで評判のリーダー論。3層構造のメガホンを提唱する。WHY=ミッション。企業家には最上部に明確なミッションが必要。HOW(手法)、WHAT(成果)はその後についてくる。成功例としてはアップルやサウスウエスト航空さらにはキング牧師による公民権運…

データドリブン思考

経営にビックデータを活かすための啓蒙書。著者はこの分野の草分け的存在で、大阪ガスから滋賀大学の教授に転身。データ活用については組織の壁に苦労したようだ。まず強調されるのは問題解決のための課題の抽出。このステップが極めて重要だが、日本人の不…

桑田佳祐論

デビューから現在までの1000曲以上の中から、26曲を厳選。その歌詞を解析、解説する。メロディが先行し、付属品的な扱いを受ける歌詞だが、その含意は深遠で含蓄に富む。コメディソングからメッセージソングまで、ロックの魂として自由に表現する。戦…

家計簿から見る中国今ほんとうの姿

中国の中流家庭に焦点をあて、その家計と生活ぶりを浮き彫りにする。国全体といしては豊かになっているが、教育費が高騰し、二人目は望めない。このままでは少子化、高齢化がかなりのスピードで進行する。一人っ子は皇帝化し、月光族となる。稼いだ金は使い…

世界の潮流2022-23

シリーズの最新版。トップはウクライナ。日本では西側の報道が主流だが、ロシア側の視点を紹介。一定の理解はできる。中国の台湾進攻は無いと断言。次いでコロナ対応。立ち遅れた日本の対策に批判。これを機にデジタル化、地方への権限移管を進めるべきとは…

ウクライナ戦争は世界をどう変えたか

タイトル通りの時事評論。海外情報を網羅し多面的に状況を分析する。この戦争は第二次大戦の東部戦線の延長線上にあると指摘。ロシアから見れば、ナチスから欧州を解放したのは自分たちであり、西側がNATO拡大により領土を拡大してくるのは裏切り行為としか…

失敗の本質を語る

著者の自叙伝。種本は私の履歴書。名著「失敗の本質」からその後の研究人生を振り返る。組織論、知識創造論。を極め独自のSECIモデルを展開。米海兵隊を自己変革する理想のモデルとする。私も考えたら結構読んではいる。特に後半生は哲学的要素も加わり、抽…

陸・海・空 軍人によるウクライナ侵攻分析

ロシアのウクライナ侵攻の実情を、自衛隊大物OBたちが解説。専門家の目から見て戦況を冷静に分析する。互いの対空ミサイルが有効で本格的な制空戦闘は行われていない。ロシアのキエフ侵攻は政権転覆を狙った神経戦で占領の意図はない。撃沈された軍艦モス…

餃子のおんがえし

料理エッセイ。著者は料理人で主婦。これまでの人生での種々の料理の関わりをレシピとともに公開。コミカルなタッチだが、父親との確執や一度目の結婚の失敗など、辛い経験もさらっと盛り込む。これが初めての著書とのことだが、文才豊か。軽めの内容で愉し…

円空を旅する

売れっ子漫画家である著者が、円空仏を訪ねる。生誕地岐阜を起点に、東北、北海道、三重志摩、愛知と巡り、終焉の地岐阜に戻る。円空の作順とも合致し、作風の変化を追う旅でもある。徹底したデフォルメと簡易化、それでいて人の心に寄りそう諸仏は、心温ま…

経営は焚き火のように

創業家の3代目、女性社長の著書。アウトドアでのブランド力を活かし、事業を多角化。急成長を遂げる。源泉はわかりやすいミッションと社員のモチベーション。コアなファン層との距離感も近い。本人はかなりアグレッシブで、社長指名の理由となる。社員の評…

サバカン

時代は昭和、舞台は長崎。著者がモデルの小学生男子が主人公。貧しい友達との冒険と別れ、純情な体躯教師の恋愛、弟の手術と連作3部の構成。今から思えば野卑だが、大らかで素朴な時代。人と人とがしっかり繋がっているのが実感できる。著者はお笑い芸人か…

考えて生きる

連載のシリーズ対談。時事問題を中心に二人が自由に語る。歯に衣を着せぬ物言いで、話題が脱線することもしばしばであるが、二人とも何事にも好奇心旺盛に知的な情報収集をしていることはよくわかる。目新しいのは核融合技術の実現と次世代自民党議員のクオ…

飛び立つ季節

国内旅行エッセイ。「つばくろ」シリーズのこれが第2段。コロナの制限がある中、国内の各地を訪ねる。旅先はマイナーな場所が多い。16歳で著者初めての一人旅である東北地方を再訪するノスタルジックな部分がテーマとなる。50年を経て大きく変貌してい…

円安が日本を滅ぼす

タイトルの円安は現在の話ではなく、日本が凋落を始めた90年代。躍進する中国との競争のために円安を誘導し、製造業をそのままの姿で生きながらえてしまった。本来やるべきは韓国や台湾のように技術を高度化し、世界との水平分業を確立すること。近い将来日…

線路つまみ食い散歩

鉄道つたい歩きの第2段。ローカル線に沿ってブラブラ歩く。下調べは無し、現地でもGPSは極力使わず、偶然の出会いを大切にする。ローカルな食堂でのB級グルメにビール。のんびり旅情をかき立てる。鉄道の脇を歩くのは意外と難しい。明らかにされるのは地方…

ズラシ戦略

企業の新規事業開発の指南本。その名の通り、マーケットあるいはスキルアセットを少しずらして、新たな分野を開拓する。まあ良く言われる戦略ではある。具体例を挙げ解り易く説明。キーはそれぞれの企業が持つ本質的なアセット(強み)を活かすこと。一気に…

東京裏返し

東京の北東部に焦点を当て、その歴史的価値を再評価し、将来の展望を探る。東京は家康、明治維新、終戦と3度の占領を経て、中心部が北東部の台地から南西部に移った。今後は時間軸を再考し、トラムと水運の時速10km強のスロー化を提案する。具体案はトラムの…

遊戯神通

絵師若冲を題材にした歴史小説。明治期にその子孫である芸妓がいたことからストーリを展開。生涯独身であった若冲に妻と子供の存在を見る。主人公はこちらは末弟の妻となる美形の女性。末弟は実は若冲の実子なのだが、若くして謎の死を遂げる。ヒロインは若…