芸能

ブギの女王笠置シヅ子

ブギの女王笠置シヅ子の伝記。SKDのレビュー出身。戦前はスイングの女王として、戦後は「東京ブギウギ」が大ヒットする。喜劇役者としても実力を発揮。ある年齢で歌手から引退、脇役として過ごす。個人としては吉本の御曹司と恋愛、相手の早世により未婚の母…

鞍馬天狗のおじさんは

戦前の大スター嵐寛寿郎の想い出語りを、ルポライター竹中氏がまとめた大作。時代劇、チャンバラ映画の全盛期。興業的には成功であるが、芸術的には一段低く見られ評価されてこなかった。各スターが独自のプロダクションを設立するも、映画業界の資本の論理…

オードリーヘップバーンの言葉

伝説の女優の発言を抽出し、彼女の人生を追う。1929年生まれ、ナチスの時代を生き抜き、バレリーナを目指すが、身長が高すぎて断念。本人はやせぎすの体形にコンプレックスを持っていたようだ。ローマの休日で銀幕デビュー。その後の活躍は知られている…

車のある風景

愛車遍歴エッセイ。編曲家として名を馳せているが稀代のカーマニアでもある。高校生の時に軽免許を取得。以来何十台もの車を乗りこなす。収入の増加に従い、外車にシフト、中でもマニアックな選択が多い。少し庶民とはかけ離れた世界だが、車あるあるはくす…

老いては好きにしたがえ

老境に入った著者の人生実践論。絶頂期にお笑い界から転換。ボクシング、絵画、ヨガをそれぞれ極める。それぞれゼロからのスタートだが、反復練習で頂点をめざす。現在は納得の上離婚。一人暮らしは一日一食の宗教者のような暮らし。決して枯れたわけではな…

凡人が天才に勝つ方法

歌手そしてプロデューサーとしられる著者の人生を切り拓く手法。自らを凡人と位置づけ、たゆまぬ努力と工夫で現在の地位を確保した。内容的には極めて常識的。好きな分野をみつけ、ともかく数多く作品を生み出す。一定の確率でヒットは生まれ、自らは上達す…

おあとがよろしいようで

大学の落研が舞台。新入生の主人公はコミ障で孤独な学生生活を覚悟していた。新歓で誘われた落研に入部。仲間に恵まれ一気に人生が展開していく。特に部長は自分に似た性格の新入生をほっておけず、自らの過去をさらして導く。よくある青春感動モノであるが…

中田敦彦の妻になってわかった自分らしい生き方

芸能人夫婦の子育て記。著者は横浜国大のミスコンからデビュー。そこで知り合った売れっ子芸人のオルラジ中田と結婚。コロナ危機を契機に家族でシンガポールへ移住する。日本での殺人的なスケジュールから解放され、異国で子育て経験することで家族の絆が深…

ひとり趣味入門

人生の後半にかけて趣味開拓の勧め。大上段に振りかぶるのではなく、好きなこと、興味を持ったことから試してみるのが良い。若い時と違い、仲間とワイワイやるのではなく、一人でも楽しめることがポイント。本人も多くの趣味を紹介しているが、魅かれるのは…

前人未踏

話題の人二人の対談。山中教授が聞き役となり、藤井名人から話を引き出そうとするのだが、ついつい自らの話になり、7割がたは教授のパーツ。年齢差や人生経験の差からして致し方ない。AIの進化が大きなテーマ。名人も活用しているとのこと。研究や将棋の…

わからなくなってきました

エッセイ集。著者は劇作家。身の回りに起きた出来事をネタにユーモアあふれる文章で記述。雑誌掲載は90年代半ばで、さすがに世相は異なるが、あまり古さは感じない。年齢的には今の自分に近いせいか。談慶師匠の推薦本。愉しく読めました。 わからなくなっ…

吉本興業の約束

現会長大崎氏の対談をベースとする。ダウンタウンやハイヒールのマネージャーからスタートし、心斎橋2丁目劇場を創設。旧来の同族会社から近代的なエンタメ会社へ脱皮する。極めつけは反社会的勢力から決別するための非上場化。すべてを語られた訳ではないが…

落語で資本論

古典落語を引用し、難解な資本論を解説しようとする意欲的な取り組み。著者は慶応大でマルクス経済学を専攻したいわば専門家。どちらかというと落語の世界、とりわけ師匠である談志の言動にスポットが当たる。なんとなくだがエッセンスは感じられたか。読み…

静夫さんと僕

著者が同居する義理の父親。奄美大島出身の苦労人だが、天真爛漫な生き様。漫才のネタにもされているユニークな生活ぶりだが、なぜか憎めず愛すべき人物像。奥様の両親との同居は気苦労も多いが、親孝行の想いも満たす。文章も簡潔な短編であっという間の読…

誰も知らないジブリアニメの世界

著者による宮崎アニメの解析。子供向けファンタジーの前半、ファミリー志向となった中盤、魔女の宅急便から興業的には成功する。後半は私小説的な要素が強まり、解釈が難しくなる。基本的に宮崎ワールドには好意的。一般に知られていない裏話も満載で愉しく…

のっけから失礼します。

エッセイ集。女性ファッション雑誌への連載で巻頭に収録されたとのこと。自らの私生活ネタが中心であり、中年の女流作家の実情をユーモアたっぷりに記す。多分にデフォルメされている部分もあるだろう。家族も個性がたちユニークで笑わせてくれる。自身はE…

すべてのことはメッセージ

荒井由実の伝記小説。幼少期からデビューまでを描く。八王子の資産家の家に生まれ、恵まれた環境で育つ。母親が当時としては時代の先を行く積極的なタイプ。本人は成績優秀、何をしても才能を発揮。立教女学院で自由奔放に青春を謳歌。GSや洋楽に触れていく…

20歳のソウル

20歳で早世した市立船橋高校OBのトロンボーン奏者。野球部の応援曲をこの世に残す。高校時代のほとんどをブラバン活動にかけた彼の葬儀には多くのOBが駆け付け、演奏で見送った。本書は葬儀の5日前からの動きと並行して、彼の生き様、闘病生活、恋愛を描…

ことばがひらかれるとき

自ら難聴、聾唖の生涯を克服した著者は、演出家、教育者としての道を進む。その実践で学んだ理論を本書でまとめる。主題は「からだ」と「ことば」の関係。如何に自然で、無理ない体勢を取るかが重要。発声はそれにより驚くほど変化する。障害児の教育にも極…

人間ってなんだ

エッセイ集。雑誌の連載からの傑作選で3本立ての構成。演劇関係のネタが多いが、題材は幅広く、文章も巧みで飽きさせない。軽めの内容で万人向け。愉しめる内容。 人間ってなんだ (講談社+α新書) 作者:鴻上尚史 講談社 Amazon

桑田佳祐論

デビューから現在までの1000曲以上の中から、26曲を厳選。その歌詞を解析、解説する。メロディが先行し、付属品的な扱いを受ける歌詞だが、その含意は深遠で含蓄に富む。コメディソングからメッセージソングまで、ロックの魂として自由に表現する。戦…

普通のサラリーマン、ラジオパーソナリティになる。

著者はテレ東の敏腕プロデューサー。バラエティーで名をはせる。憧れのオールナイトニッポンのパーソナリティーとなりその巧みなトークで好評を博す。やがて退社し独立。本書はそのエッセンスを網羅。計算されたトークだろうがネタにはことかかず、笑わせて…

宗歩の角行

将棋ミステリー。江戸末期の天才棋士天野宗歩がモデル。謎の死を遂げた彼の生涯を追って、対戦相手や関係者に聞き取りにより、その人物像を明らかにしていく。定石を無視した火のような攻めと、生活能力は破綻。酒の力によりようやくコミュニケーションが取…

ドリフターズとその時代

戦後日本の笑いの雄であるドリフターズを取り上げる。コミックバンドからスタートし、全員集合でスターダムへ。計算された台本と徹底した稽古で笑いを取る。50%超えの視聴率は伝説。芸風はある意味古臭くマンネリ。コント55号やひょうきん族といった強…

書評集

書評集。2005年から10年間、読売新聞の読書委員を務める。すこぶる好評で長く続けることになった。イメージと異なりアイドル時代から読書家。結婚、離婚を経て中年女性の視点から人生を見つめる。小説の類が多いが、詩歌や漫画まで幅広い。軽妙でウイ…

渚のリーチ

女流雀士の自伝的小説。愛称は強運のビーナス。門前での手作りを重視し、トップリーグで活躍する。手作りの迷いや好不調の波は人生と同じ。チーム戦ではバラバラだった曲者たちが最後は一つになる。久々の麻雀小説はかの麻雀放浪記を彷彿とさせる。エンタメ…

日本アニメ史

戦前から現代まで、アニメ史を俯瞰する。あとがきにあるように監督論、作品論である。全体を11章に分割。キーとなるのは鉄腕アトムでありジブリ、エヴァ、そして新海作品。納得できる評価。全体として子供向けから、大人向けへのシフト。そして世界展開。…

ない仕事の作り方

著者のユニークな仕事術を紹介。人と異なるこだわりから生まれた数々のマイブーム。意図的な部分はあるが本人が愉しんでいるようにも見える。ゆるきゃら、ボブディラン、仏像とその守備範囲は広い。糸井重里が世に出してくれた恩人。対談を巻末につける。期…

脳から見るミュージアム

対談。脳科学者と博物学者。どちらかと言えば博物館への誘い、啓蒙書。博物館の歴史、バックヤードの事情なども紹介。博物館の価値は表の展示ではなく、裏の所蔵品、公式には博物館資料にある。欧米中心の価値観には疑問も呈する。人類にとってかけがえにな…

宝塚歌劇団の経営学

宝塚歌劇の優良な経営モデルを経営学的に解析する。小林翁の創設から営々と培ったビジネスモデル。格好いい言葉にすると垂直統合=自前主義とファンとの価値共創。品質とコストで戦えるモデルは終焉した。歌劇団とは組織上独立しているファンクラブの存在が…