政治

ラウリクースクを探して

ソ連時代のエストニア。黎明期のパソコンでプログラミングに勤しむ少年二人が主人公。主人公は独特の性格で孤独。唯一の理解者が親友であったが彼はロシア人。やがて革命の波が二人の運命をもてあそぶ。主人公は一時コンピューターから離れるがその後消息不…

Z世代のアメリカ

アメリカ政治のキャスティングボードを握るZ世代。思想は世界的な社会正義を重んじラディカル、既存の政党に囚われない。また現状より貧しくなる可能性がある世代。分離が進むアメリカ社会のあってその重要性はますます増す。本書は様々な問題に焦点をあて…

池上彰の世界の見方フランス

独自の政治、文化を誇るフランス。その内実をわかりやすく解説する。独特の政教分離、植民地からの移民、教育システムとあまり知られていないことが多く興味深い。高校生への事業形式であるが、質疑応答もレベルが高い。シリーズ展開に期待。 -EU本部をブ…

蔡英文自伝

出生から総統就任までの自伝。専攻は法学で米欧へ留学。学者から官僚さらに政治へ転身。自らの分析では内向的とのことだが、常に冷静で長期的なビジョンを見据えて行動する。強い意志と使命感でリーダーシップを発揮する。周囲からの信頼は自ずと巻き起こる…

ザイム真理教

大蔵省、財務省を痛烈に批判する。財政均衡を正とし、緊縮財政と増税で日本経済に深刻なダメージを与えた。多くの政治家を洗脳し信者とする。最たるものは岸田首相。唯一反攻したのが安倍首相だが、森友問題を仕組まれしぶしぶ消費税の引き上げを承認した。…

信長の正体

歴史学上の信長の位置づけを論じる一冊。多角的に史実を積み上げて解析する。戦国時代を終わらせるために時代が要求して出現した変革者との結論。きわめてアカデミックな解析で興味深い。信長だけでなく古代からの日本史の流れをおさらいする。短いが幸著で…

世界を動かした名演説

タイトル通り歴史に残る名演説15編を紹介する。世界情勢を池上氏が、英語表現のレトリックをパックンが解説する。いかに聴衆を引き付け、共感を呼ぶかが最大のポイント。どれも素晴らしいが、レーガンの話術は高評価。最後の女性3人もインパクトが強い。…

心に光を

元ファーストレディの自伝第2段。前作より自己の成長、内面に踏み込んだ内容。黒人女性で長身であることが、トラウマになり、なかなか積極的になれない。そこを振り切って自分の世界を広げていく。オバマと出会い、家庭を持ってからは積極的にサポート。ホ…

エネルギー危機と原発回帰

NHKの重鎮二人がエネルギー危機を理由に急がれる原発再稼働に疑問を呈する。中立であると断ってはいるが、様々な問題点を指摘。老朽化対策と原発のゴミ問題。いずれも見切り発車の状態。根底には関係省庁、電力会社、地方自治体と関係者が多すぎ、変革が進ま…

紛争地の看護師

国境なき医師団の看護師の体験記。著者は日本の看護師であり、国際貢献のためにオーストラリアに留学したことにまず驚く。英語を身に着け、17回も戦地に赴く。シリア、イエメン、ガザ。想像以上に悲惨で過酷な状況。安全は考慮されているが、保証は全くな…

政治はケンカだ

暴言市長として名を馳せ、マスコミの批判を一身に浴びた泉市長。元朝日新聞記者の鮫島氏との対談で、これまでの政治家人生を語る。貧しい漁村に生まれ、弟は障害者。10歳にして市長を志し、市民に優しい政治を目指す。東大時代は学生運動にかかわる。その後N…

安倍晋三実録

NHKの番記者として、長年安倍氏に張り付いた著者。没後にその実績、魅力を普段表面には出ない裏の部分まで踏み込んで記録。基本はシンパ。最大の功績は地球儀を俯瞰する外交。誰に対しても物おじせず、堂々と日本の国益を主張する。海外首脳と個人的なネット…

ほんとうの豊かさってなんですか

「世界で一番貧しい大統領」として時の人であったウルグアイのムヒカ大統領。前半を対談、後半を池上氏の解説でまとめる。温和な人柄に見えるが、もともとテロ組織の闘士であり、長年の投獄も経験する。富の偏在、格差を憂い、政治による変革を求める。特に…

それからの帝国

著者のモスクワ留学時代の親友であるロジア人エリートの数奇な運命をたどるノンフィクション。学生時代は反体制運動に参加、ラトビアに逃れ独立運動をサポートするが、反政府主義者として、国外追放となる。現在はプーチンのブレーンとしてウクライナ侵攻を…

笑って人類

近未来SF大作。世界の大国とテロ組織の平和会議当日に、テロ組織の代表が自爆テロを敢行。残されたうら若き女性補佐官と日本の能無し首相があきらめず平和条約の締結に挑む。終盤にかけ、過去の謀略や経緯さらにはどんでん返しが明らかになってくる。未来の…

ウクライナ戦争はなぜ終わらないのか

膠着状態となったウクライナ戦争の帰結をその原因分析から紐解く。この戦争は旧ソ連圏の再生を目指すロシアと西欧側への参加を目指すウクライナの互いのアイデンティティを賭けた闘いであり、妥協の余地は少ない。ロシアが開戦に踏み切った理由には、資源高…

カメラを止めて書きます

著者は在日朝鮮2世。映画監督として家族の歴史をドキュメンタリー作品に残す。父は朝鮮総連の幹部で自らの息子3人を帰国事業で北朝鮮に返す。母も気丈な人で子や孫に物資を送り続ける。これにより在北の一族はある意味豊かな生活を送れているようだ。映像作…

2035年の中国

著者は外交官。元中国大使。3期目に入った習近平体制を論評する。戦後の共産党政治は毛沢東、鄧小平の時代から、政治と経済の間でジグザグの歴史を繰り返してきた。習体制はどちらかと言えば政治寄りだが、経済の発展無くして体制は維持できない。民度の上…

南風に乗る

沖縄の戦後史を描く歴史小説。主人公は二人、詩人の山之口獏氏と政治家の瀬長亀次郎氏。日本の講和条約から切り離され、長く続く米軍の占領統治の実態。日本人を見下した植民地感覚。沖縄の民衆の苦しみは本土には届かずやがて不満は爆発する。72年の復帰…

第4の波

現在進行中の第4の波についての解説。乗り遅れた日本に警鐘を鳴らす。セミナーとこれまでの著書からの抜粋。AI&スマホで社会が大きく変わる。日本の政財界は未だに工業化社会(第2の波)の好結果が忘れられず、ケインズ経済学の呪縛にとらわれている。アベ…

橋下徹の研究

著者による橋下氏の弾劾書。ウクライナ紛争でロシア寄り、さらには中国寄りの発言を繰り返す橋本氏を批判。しつこいほどの攻撃的なツイッター投稿は確かに常軌を逸している。名誉毀損を恐れて明確には書いてないが、中国との関係を示唆。終盤では病的欠陥、…

予言された世界

落合親子による共著。動転する世界情勢がテーマ。信彦氏はオバマ、トランプによるアメリカの劣化と、プーチン、習近平の独裁体制の領土拡大の野望から、世界大戦まで予想。陽一氏はネット世代による新しい価値観の創造を期待する。タイトルは父世代の予言が…

吉村洋文の言葉101

今や維新の顔となった吉村府知事の実像にせまる。普段は気さくな大阪の兄ちゃんだが、一本筋の通った政策と実行力。弁護士時代に見いだされ橋下氏の懐刀的な存在。著者はTVプロデューサーとして近くから見ており、その成長を目の当たりにしてきた。党の主張…

人口戦略法案

日本の国難である人口減少問題の解決策を提案。柱となる財源問題は保険方式で、国民全体に将来社会への投資を要請する。ライフプランの啓蒙と出会の場の創設が他の二本柱。野党からは国家統制によるセクハラ法案との反発必至。介護保険のように国民的議論が…

ダビテの星をみつめて

ユダヤネットワークの力の根源を解析する。歴史上幾たび絶滅の危機を経験したユダヤ民族は、世界中で経済、政治をコントロールする。根本の行動原理は高付加価値主義と国際主義である。ソ連の崩壊に伴い、東欧から新たな移民がイスラエルに流れた。現在は、…

日中友好侵略史

国交正常化から50年。中国のしたたかな対日工作を明らかにする。文化大革命で疲弊した中国は必死で正常化を望み、台湾を国際社会から排斥した。本書のクライマックスは田中訪中と椎名訪台である。日本は性善説で初心であり、当時から軽くあしらわれている…

集中講義ニッポンの大問題

インフルエンサー二人(成田悠輔、ひろゆき)氏による政治家との対談、Youtubeで配信したものを書籍化。菅総理、猪口邦子、玉木雄一郎、片山さつき、泉健太。忖度のない切り口に、政治家の資質が明らかになる。評価の高いのは玉木、菅、片山。個別の政策につ…

流山がすごい

著者は日経記者だが、自ら住民として流山市の発展を体験してきた。TXの開通がターニングポイントだが、住民出身の市長の大胆な政策。マーケティング機能の導入により、街をブランド化、子育て世代を魅了し、人口増加に結びつけた。立地を生かしたECの物流拠…

アメリカ分断の淵をゆく

病めるアメリカの実像に迫るルポ。全10篇。薬物、移民、銃規制、BLMなど問題の最前線に危険を顧みず取材を敢行。アメリカ人は総じてオープンで率直に答えている。深刻な分断はトランプ政権により明らかに深まったとして厳しく批判。アメリカ人の明るさが問…

足利義満消された日本国王

足利三代将軍義満の晩年に迫る。明と外交を通じ、日本国王の称号を受ける。これが天皇を蔑ろにした行為であると、皇国史観論者から批判の対象になる。著者は実力的にはむしろ、天皇家は眼中になく、東アジア全体を見据えた大きな構想を持っていたのではない…