2022-01-01から1年間の記事一覧

名門再生

一度経営破綻した太平洋クラブの再生物語。新たに株主となったのはパチンコ業界の雄であるマルハン。近代的な経営手法を持ち込む。創業家一族は何かと問題の多いパチンコ業界を若者や女性に支持されるエンタメ企業に変身させた実績がある。顧客第一主義を貫…

普通のサラリーマン、ラジオパーソナリティになる。

著者はテレ東の敏腕プロデューサー。バラエティーで名をはせる。憧れのオールナイトニッポンのパーソナリティーとなりその巧みなトークで好評を博す。やがて退社し独立。本書はそのエッセンスを網羅。計算されたトークだろうがネタにはことかかず、笑わせて…

まなの本棚

自称活字中毒の子役アイドルが、読書遍歴を披露。絵本、児童文学から古典に至るまで対象は広く、深い。発行時中学生と思えない読書量。書評はまあ普通だが純粋で可愛らしいのでOK。山中教授と辻村美月氏との対談も掲載。気に入った本は何度も読み直すそうな…

金利を見れば投資はうまくいく

著者は通りキャリア30年のファンドマネージャー。金利の動きで景気動向を把握する。金利は炭鉱のカナリアと喩える。経済学としては極めて基礎的な話であるが、豊富なデータからなる図表は説得力十分。簡易的なスコアリング手法も示され実践的。現在は明らか…

機関車先生

終戦直後の瀬戸内の小島。臨時教員で赴任した機関車先生は、大柄で剣道の達人だが、しゃべることが出来ない。その人柄と包容力で子供たちはもちろん、島の大人たちを魅了する。様々な問題を解決するが、短期間で別れがやってくる。二十四の瞳へのオマージュ…

妙な線路大研究

東海道、山陽新幹線に焦点をあて、その経路選定の経緯や理由を探る。ベースとなるのはよく知られたように戦前の弾丸列車計画。スピード優先の直線から、変更を余儀なくされた様々な理由。地盤や駅へのアクセス。地下水への影響に及ぶまで様々。意外なことに…

語れるワイン

ワインの蘊蓄本。発祥の地、ジョージアを皮切りに、世界各地の産地を紹介。最後は日本。家飲み用のワインを紹介してうるが、必ずしも安いものばかりでは無い。知識としては既知の事実がほとんど。繰り返されるのはフィロキセラでの壊滅的な欧州の被害。軽め…

中国減速の深層

元日銀マンで中国専門家の著者が、巨大経済の行方を予測する。人口動態と先進国の罠から成長の減速は避けられないが、政府が目標とする2035年のGDP2倍の達成は微妙なところ。デジタル化、カーボンニュートラル、不動産、金融にもリスクはあるが、中国政府は…

トランプ信者潜入一年

2020年のアメリカ大統領選挙を現地で潜入取材。ミシガン州でトランプ陣営のボランティアとして活動。市民権はもちろん身分証明も不要で採用されるところは驚く。支持者はやがて信者となるが、都合の悪いニュースはすべてフェイクで片付け、自らを利する情報…

世界史は化学でできている

表題通り、人類の歴史を化学の発展の面から振り返る。各分野毎に時代を追う形になっており、火の発見から、食料、染料、エネルギー、原子力まで網羅。長い歴史に比べれば、プラは最近のことであることがわかる。進歩に貢献する光の部分と軍事や環境破壊とい…

相談される力

副題にあるように著者のリーダーシップ論を55点にまとめる。慶応、東芝、全日本とキャプテンを務めたラクビー界のエリートだが、そのスタイルは話をよく聞き、困っているメンバーがいないかと全体に目配せする。徹底したコミュニケーション。剛腕のエディ_ジ…

くるまの娘

現代に病む家庭を描く。エリートの父の暴力、母は精神を病み酒に浸る。本人は女子校生だが登校できず、兄は家を出、弟はいじめにあう。祖母の葬儀のため、車で移動するが、何かと諍いが絶えない。結局救いは与えられず、本人は車で寝泊まりすることになる。…

奇跡のバックホーム

阪神期待の大型外野手だった著者の闘病記。入団3年目にして開幕スタメンを掴み取る。恵まれた才能はもちろんだが、誰にも負けぬ練習の虫。開花を目前に脳腫瘍に侵される。手術と抗がん剤治療で、病には勝ったが視力が戻らず引退を余儀なくされる。奇跡は引…

豊田章男の覚悟

巨大企業トヨタを率いるトップの実像に迫る。リーマンショックとリコール騒動を果敢に矢面に立ち乗り切り、カリスマ性を高める。EVと水素の二本立てで将来に備える。日本の電力事情からすると、水素の線も捨てきれない。自らマウタードライバーとしてレース…

逆境を楽しむ力

著者は常勝集団帝京大ラクビー部を率いる。強さの秘訣は一言で言えば選手の自主性を育んだこと。体育会式のピラミッド組織は全否定。フラットな逆ピラミッド組織を作り上げたが、Z世代に合わせて微修正。低迷期を克服する。勉強家で最新の組織論や心理学を取…

イソップ株式会社

夏休み祖母の元で暮らす、しっかり者の姉と腕白な弟。母親を亡くし、出版社の社長で海外出張中の父親からは毎日物語が届くという設定。父親の再婚相手の素敵な編集者の存在がちらつく。やがて物語と現実が交差していく。和田誠のイラストが毎編を彩る。読売…

ロストトレイン

廃線ミステリー。若いカップルが行先不明となった初老の鉄道ファンを探す。戦中に短期間営業した、軽便鉄道の廃線跡がキー。これを全線踏破した者には異世界への入口が開かれるというファンタジー設定。本物の鉄道ファンからは全く評価されないだろうが、ミ…

民王シベリアの陰謀

コミカル政治エンタメの続編。シベリアの凍土で発見されたウィルスが日本で蔓延。政府は対策に奔走する。主人公である首相ジュニアが問題解決に挑む。結局、利益を求めた海外資本の陰謀だったことが判り勧善懲悪。策動された反対勢力には真っ向から会話の力…

東大生も学ぶAI経営の教科書

AI経営導入の指南書。ほとんどの日本企業が必要を感じながらも対応は立ち遅れている。当社もしかり。必要なのはグランドデザイン=ロードマップ。エクスペリエンスがベースだが具体的に何を目指すのかを見極める必要がある。トップダウンの強い方針明示も必…

ヤマザキマリの世界逍遥録

漫画家であり文筆家である著者の旅行エッセイ。国際結婚そして子育てと海外生活の長い合間に、世界各地を訪れる。美術や歴史にも造詣が深く、独特の感覚を披露する。挿絵はお手の物。jAL、ANAの機内誌のエッセイ。軽めの内容だが、旅心をくすぐられる。 ヤ…

頭のうちどころが悪かった熊の話

大人のための童話集。メルヘンではなく人生を考えさせる動物寓話が7編。少しシニカルな視点。独特な世界、微妙な読後感。 頭のうちどころが悪かった熊の話 (新潮文庫) 作者:みきえ, 安東 新潮社 Amazon

宗歩の角行

将棋ミステリー。江戸末期の天才棋士天野宗歩がモデル。謎の死を遂げた彼の生涯を追って、対戦相手や関係者に聞き取りにより、その人物像を明らかにしていく。定石を無視した火のような攻めと、生活能力は破綻。酒の力によりようやくコミュニケーションが取…

アメリカの高校生が学んでいる経済の教科書

タイトル通りの内容。極めて単純なモデル化で経済から財政、金融までその仕組みと政策を平易に解説。内容的には大学教養レベルか。さすがに既知の事実が多いが、おさらいにはもってこい。挿絵や図表も多く理解が進む構成。 アメリカの高校生が学んでいる経済…

古代中国の24時間

秦漢の時代。中国人の生活を一日24時間を追う形で記述。脚注にまとめられているが膨大な資料からの抽出。現代の視点から見て変わった点と意外と変わらない点がある。個人的には後者の方が多い。皇帝の絶対権力、男女の格差はさすがにどうしようもないが、…

ドリフターズとその時代

戦後日本の笑いの雄であるドリフターズを取り上げる。コミックバンドからスタートし、全員集合でスターダムへ。計算された台本と徹底した稽古で笑いを取る。50%超えの視聴率は伝説。芸風はある意味古臭くマンネリ。コント55号やひょうきん族といった強…

あめつちのうた

神整備で名をはせた阪神園芸を舞台にした青春小説。運動音痴の主人公は体育会系の父親と衝突。万能の弟への嫉妬もある。グランドキーパーになるべく阪神園芸に入社。個性の強い先輩たちに囲まれ成長していく。後半はLGBT問題を抱える親友の問題がメインとな…

アートの島犬島へ

岡山の小島犬島。かっては銅精錬所があり栄えたが、戦後は衰退の一途。福武財団によりアートの島としてよみがえる。精錬所は美術館に、古民家は再建してギャラリーとする。瀬戸内美術蔡ではおおくの観客が集まる。著者は港で商店を経営しながら、島の情報を…

習近平帝国の暗号2035

習近平政権の内情と目指す姿を描く。著者は日経記者で北京駐在。ちょうど5年前の党大会。2期目を目指す人事抗争。腐敗撲滅を武器に軍部を含めた反対勢力を無力化していく。経済発展と軍備拡張により2035年に米国を凌駕することが野望。そのために今は雌伏…

黛家の兄弟

舞台は江戸中期の架空の小藩。家老の息子として生まれた三兄弟。末弟は大目付の家に婿入り。遊び人の次男が次席家老との権力争いに巻き込まれ、切腹させられることになる。十数年を経て再燃する政争に、見事な策略で挑む。ここまで白黒をつけるとは想定以上…

世界2.0

メタバースがもたらす新たな世界を予測、解説する。ネットの3D化はの技術は革新的で世界を一変させる可能性がある。いわく「神の民主化」により世界を創造する。ルネッサンスの再来とも表現。ゲームが入り口になるので日本にはチャンスがある。第三章が本書…