野球

野球短歌

阪神ファンの著者が、突然思い立ち、2022年のシーズン全試合を短歌で詠む。開幕9連敗から奇跡の復活をし、CSまで進出した激動のシーズン。試合終了後5分を目途に吟じるとのことで、臨場感とファン心理がよく出ている。選手の実名も多く出て来て実に愉…

栄光のバックホーム

将来を嘱望されながら、脳腫瘍で現役を引退。引退試合での「奇跡のバックホーム」で周囲を驚かせた阪神の横田慎太郎。本書はその驚きの人生を母親への取材から描いたノンフィクション。名門鹿実のエースで4番。プロ選手だった父親譲りの才能に加え、若いころ…

世界を驚かせたスクラム経営

2019年のラクビーワールドカップ日本大会。その舞台裏で運営に当たった人々のノンフィクション。強豪国以外では初めて、そしてアジアでの開催ということで前例がなく準備は遅々として進まない。国際組織からの要求は高く、そして上納金の義務。唯一の収入は…

森保一の決める技法

日本代表監督として多くの実績を残す森保氏のリーダーシップの源泉を探る。選手としてはエリートでなく、オフトに見出された。視野の広さと献身的な守備でボランチをこなす。選手としてドーハの悲劇を経験。その指導力のベースは人間力。誰にでも誠心誠意向…

RISE

南アフリカラクビー代表の主将を務める著者の自伝。黒人スラムの出身。ラクビーの才能を見出され、奨学金を受けエリート校に転校。プロチームに所属し、南ア代表となる。ポジションはフランカー。若い時は飲酒で悪さもしたが、キリスト教の洗礼を受け、敬虔…

一流の共通点

著者はガンバ大阪のスカウト、育成担当として数多くの選手を育てる。必要なのは技術ではなく人間性。10のカテゴリーに分けるが、如何に素直に他人の意見を聞き、それを継続的に身につけることができるか。傾聴力と主張力も必要。つきつめて言えば、姿勢と心…

春に散る

ボクシング小説。かってとあるジムの四天王と呼ばれたボクサーが、老年になり再集合。「チャンプの家」と名付けたシェアハウスで集合生活をしながら、有望な若手ボクサーを育てる。それぞれの必殺パンチを伝授し、最後は夢の世界チャンピオンを獲得する。引…

アンビシャス

日本ハムの新球場ES CON FIELD建設秘話。日本ハム、北広島市、札幌市。とそれぞれの担当者の苦労と苦悩を描く。ノンフィクション小説。はた目には立派な札幌ドームからの移転の理由が描かれる。自治体同士の誘致合戦。大都市で住民の利害が対立する、札幌を…

悪名

ダルビッシュの実弟による自叙伝。野球エリートの兄と違い、多動性で小学生のころから、ケンカに明け暮れ、羽曳野に名を響かせる。逮捕歴は数えきれないほど、少年院やアメリカの隔離高校を転々とする。家族や周囲に支えられ、現在はようやくおちつき西成で…

明日、野球やめます

現役を引退した著者が、野球と人生への思いを語る。常に冷静でどちらかと言えば不愛想なキャラは、外部との関係を遮断する意図によるもの。強い意志と計画性のなせる業。生活面からすべて緻密に計画され、ストイックでスマート。鉄人と呼ばれたが阪神退団、…

相談される力

副題にあるように著者のリーダーシップ論を55点にまとめる。慶応、東芝、全日本とキャプテンを務めたラクビー界のエリートだが、そのスタイルは話をよく聞き、困っているメンバーがいないかと全体に目配せする。徹底したコミュニケーション。剛腕のエディ_ジ…

奇跡のバックホーム

阪神期待の大型外野手だった著者の闘病記。入団3年目にして開幕スタメンを掴み取る。恵まれた才能はもちろんだが、誰にも負けぬ練習の虫。開花を目前に脳腫瘍に侵される。手術と抗がん剤治療で、病には勝ったが視力が戻らず引退を余儀なくされる。奇跡は引…

あめつちのうた

神整備で名をはせた阪神園芸を舞台にした青春小説。運動音痴の主人公は体育会系の父親と衝突。万能の弟への嫉妬もある。グランドキーパーになるべく阪神園芸に入社。個性の強い先輩たちに囲まれ成長していく。後半はLGBT問題を抱える親友の問題がメインとな…

甲子園の神整備

雨中試合の神整備で名を挙げた阪神園芸。著者はそのチーフグランドキーパー。秘密は冬場の土づくりにある。天地返しで水はけと保水の良いベースを作る。芝は、冬芝と夏芝の2毛作。後半は組織論と人材育成。職人技の世界であるがしっかりと近代化と若手への…

サッカー店長の戦術入門

著者はサッカー観戦オタク。プレーの経験はないがJFLの戦術分析官を務める。ヨーロッパリーグをつぶさに観戦、分析に名将たちの戦術を解析する。大きな流れはポジショナルとストーミング。現代サッカーは組織で戦うことが基本。その中でファンタジスタの位置…

いつの空にも橋が出ていた

プロ野球横浜のファンが織りなす4篇の物語。本当の主人公はチームそのものかも知れない。実在の選手たちは歴代を網羅。奇跡の優勝と長い低迷。さらに近年の復活。変わらず応援するファンたちにとって人生の一部というよりさらに重い部分を占める。最後のダ…

はい泳げません

金槌の中年男が、スイミングスクールへ。見事泳げる人になるまでの奮闘記。コーチの女傑がなかなかユニークで、次々進化をとげていく。生徒たちはおばちゃんは個性豊かで、口さがない。泳ぐことを人に教えること、また文章にすることの難しさ。コミカルに描…

ラクビー知的観戦のすすめ

ワールドカップの直前。元日本代表のキャプテンがラクビーの魅力を語る。初心者向けに最新のルールと戦術を解説。競技の歴史にも触れ、サッカーとの分岐、ホーム&アウエー方式など興味深いポイントが明らかになる。全員で国歌を歌うスクラムユニゾンを主導…

森保ジャパン世界で勝つための条件

森保ジャパン 世界で勝つための条件: 日本代表監督論 (NHK出版新書) 作者:健生, 後藤 発売日: 2019/11/11 メディア: 単行本 ベテランサッカージャーナリストが、歴代の日本代表監督を評価する。オフトから始まり、現在の森保まで、悲願のWカップ出場から、決…

だから何

最新エッセイ集。本人はコラムニストを自称。映画評論がメインだが、政治から芸能、相撲まで幅広く世相を斬る。立ち位置は極めて常識的だがポーズはシニカル。世代的には少し上だが、ネタは共有できる。文章も巧みで愉しく読めました。サンデー毎日への連載…

覚悟の競馬論

現役の調教師が、日本の競馬会の現状を解説。普通には聞けない内幕話があり興味深い。戦績が西高東低なのはトレセンの差。最大の問題は除外馬。出走を実力でなく抽選で決めているとのこと。JRAの将来を問う提言で説得力がある。統一された思想はホースファー…

CHANGE僕たちは変われる

五輪メダリストである著者は、若くしてフェンシング協会の理事、さらに会長として協会の改革と競技の普及に努める。圧倒的な知名度とネットワークで外部の血を積極的に導入。大きな成果を上げる。ビジョンを明確にし、末端まで浸透を図る。それはまさにビジ…

なでしこの告白

未だに記憶に残るなでしこの快挙。ドイツワールドカップの優勝直後に専門誌に連載されたインタビュー記事。全21選手を網羅。誰もが強調するのは一体感と団結力。強豪との勝負は紙一重。澤の存在感の大きさが奇跡を呼び込んだか。今読んでも感動がよみがえ…

リスタート

1964年の東京オリンピックを題材とした短編集。市井の女性の生活、人生に与えた影響を短編にして描く。まだまだ女性の地位は低く、結婚して専業主婦になることが当たり前だった時代。自立を模索し力強く前を向く彼女たちを生き生きと登場させる。なかな…

サクリファイス

自転車ロードレースを題材にしたフィクション。主人公は期待の新人ではあるが、チーム内の人間関係に取り込まれる。個々の能力より戦略によるところが大きく、如何にエースを勝たせるか、アシスト役の貢献が重要となる。逆にエースはチームの全てを背負い勝…

友情2

続編。親友山中教授は今回は編集者の役割。天才ラガー平尾氏への追悼文集となっている。チームメートや後輩、教え子、ビジネスパートナーから家族まで、誰もが人柄に魅せられ、早すぎる別れを惜しむ。難局に立ち向かうレジリエンス。塞翁が馬の精神で後悔せ…

魔法をかける

青学を箱根駅伝制覇に導いた監督の回顧録。現役時代は不遇で、中国電力では指導者と対立陸上部から退部を余儀なくされる。お荷物扱いとなった営業部で一念発起、トップの成績を上げる。退路を断って挑んだ監督業では、苦労するが選手の自主性を重んじ、営業…

通訳日記

著者は日本代表のザッケローニ監督の秘書としてチームに帯同。就任からブラジルW杯までの4年間の詳細な記録を残す。選手の選考とシステムで葛藤を繰り返す。監督が選手に求めたのはintensity。特にオフボールでの運動を強く求める。方針は決してぶれないが…

君は山口高志を見たか

阪急の全盛を支えた豪腕投手の記録。160cm台の身長のハンディをダイナミックなフォームで乗り越え、高めのストレート一本で勝負した。腰を痛め全盛期は短いが、広島、巨人を倒した日本シリーズでの輝きは鮮明に記憶に残る。時代が違うとは言え、大学、…

野球の定石

急逝した高校野球の監督である著者が、選手達に残したメモ。メンタルから始まり、ポジションや状況別にあらゆる戦術が詳細に記される。ある意味内容は常識的なもので、意外性は少ない。著者は早稲田の野球部出身。指導者としての野球人生を歩むが、自殺した…