2024-12-01から1ヶ月間の記事一覧

ホテルローヤル

釧路郊外の鄙びたラブホテルが舞台。心中事件で廃業し廃墟に。時間を遡る構成で、創業までを連作形式で描く。どの章でも男女のなりわいが描かれる。愚かでありながら憎めない登場人物たち。欲望に素直でそれは物悲しい人間の本質に迫るもの。直木賞受賞は頷…

東京藝大で教わる西洋美術の謎解き

続編。藝大での美術史の講義をまとめる。画家がいかに先達の作品を参照にしたかを実例をあげて解説。非常に興味深い。表紙となっているデューラーの重要性がなんども強調される。ハマスホイやシャルフベックなどあまりメジャーでない北欧の画家に焦点をあて…

AFTER2040

著者が15年後の近未来を予測する。豊富な情報量をベースに楽観悲観の両面から予測。章立ては仕事、教育、自然災害、生活、健康(医療)。いずれにせよ技術の進展と多様化により、変化の速度は増す。内容的には驚きは少ないが、解り易い解説はさすが。興味…

ちゃっけがいる移動図書館

犬小説。30代半ばの独身女性。図書館の非正規職員として働く。運に恵まれず、頑なな性格もあって、周囲からは浮き気味。移動中に拾った子犬を預かるうちに、性格が明るくなり、自らのこだわりが氷解していく。一旦里親が決まり、深い喪失感を味わうが、犬が…

六十代と七十代心と体の整え方

高年者(高齢者)の過ごし方の実践書。生老病死は避けられず、いかにQOLを保つか。多くの著書をなす精神医学者がアドバイスする。バランスのいい食事と適度な運動。精神面では刺激を求めて社会との接点をみつける。具体的にはSNSでの発信やボランティア。現…

39歳からのシン教養

作者の実践する情報収集術。既存メディアは厳選し、そこから拾ったキーワードをググることで教養を身に着ける。情報は更新されるので月一程度でアップデートすることが重要。また海外メディアの反応にも目を配るべき。確かに効率は高まり、スピード感も出る…

ソニーxホンダ

日本を代表する企業である、ソニーとホンダがJVを設立。EVの生産を目指す。両社とも創業者のDNAを受け継ぎ、フォロンティア精神は旺盛だが、全社は人命に関わる仕事、後者は孤高主義という不文律を乗り越えた結果。25年アメリカ市場での投入を目指すが、先行…

その気持ちなんて言う

NHKEテレの教養番組。お題(ケース)を設定し、文章のプロたちがその状況での気持ちを表現する。言葉の持つ力と限界を良く理解する回答には、意表をつかれたり、感心させられたりする。古今の文芸作品からも引用。質の高いバラエティである。 その気持ち、な…

大谷翔平のSHOW TIME ENGLISH

エンゼルス時代の大谷の活躍を伝えるTV中継での、実況と解説から英会話を学ぶ企画。 独特のスラング、省略形はあるものの、比較的容易な単語。考えてみればスピードを求められるためでもある。問題はヒアリング。内容とは別だが大谷の凄さをあらためて実感。…

こんなに面白い日本の化学産業

日本の産業構造の中で、重要な位置を占めながら一般にはあまり知られていないわが化学業界。対談形式でそのポテンシャルを丁寧に説明する。注目すべきは中村教授の推進する森林化学。林業の廃材をベースに、セルロースから有機化合物を合成する。実際は古く…

ドン・キホーテ創業者。無頼派のイメージがあるが、慶応大学卒で意外とインテリ。ディスカウントストアに参入し、圧縮展示と深夜営業で勝機をつかむ。本書では個運と集団運について自説を披露。めぐってきた幸運を最大化し、不運は「あなぐま戦法」でやり過…

深掘り日本株本当の話

経済エッセイ。株価変動の裏に潜む事情を解説。日経新聞の連載コラムだけあって図表も豊富で読みやすい。古い部分はデータをアップデートされている。現在の株価は少しバブル気味との評価。 深掘り! 日本株の本当の話 作者:前田 昌孝 日本経済新聞出版 Amazon

白球フロンティア

道東の酪農の町別海。無名の公立高校が甲子園出場を果たすまでを描く。強豪校で夢破れた監督が、弱小校で部員集めから始める。厳しい指導は選手との軋轢を呼ぶが、その人格を慕う協力者も多数。選手との信頼関係も構築し、21世紀枠だが選抜出場を果たす。…

SDGSファイナンス

気候変動に対する国際的な取り組み。それを金融面から支えるシステムを解説する。SDGSに反する企業やプロジェクトには、資金が供給されないようになっている。温暖化だけでなく生物多様性にも同様の機関が存在する。専門用語が多く、学術的で読みにくい割に…

10年後僕たち日本は生き残れるか

著者は会計事務所で、中東系の個人企業を担当。そのつながりで第三世界に通じ、俯瞰的に国際情勢を発信する。BRICSの拡大、急速に進む対米不信。アメリカ一辺倒の日本外交と真実を報じないマスコミを痛烈に批判する。グローバルサウスの日本に対する期待は大…

猫と罰

ファンタジー小説。9度目、最後の生涯を生きる黒猫が行きついたのは魔女が営む古書店。なぜか文豪たちのかっての飼い猫が集められる。黒猫自体は漱石の飼い猫。厳しい前世から人間不信で孤独を好む。一方の魔女は書物の神である魁星。永遠の罰として創作を禁…

ピーナッツ一粒ですべてを変える

舞台は新宿の個人経営理髪店。じり貧の経営状態から著者の分身であるコンサルの指導を受け、復活を図る。売り上げ倍増の目標を達成するまで10年近く。地道な努力で常連客の維持と進化開拓に努める。経営学としては初歩の域を出ないが、物語にすると一気に引…

等身大の定年後

20年にわたる対象者のインタビュー。現役時代から、管理職、定年を迎え、転職、独立、ボランティアとそれぞれの決断とその後の実情を語るノンフィクション。いずれも成功と失敗例が例示され、その原因を探る。総じて組織へのリベンジ等の不純な動機はうま…