動物

ゴリラ裁判の日

主人公はカメルーンで育ったメスゴリラ。母親とともに研究者に手話を教えられ、人間並みの知性を有する。アメリカオハイオの動物園であやまって落ちた人間の子供を助けるために、夫ゴリラが射殺されてしまう。謝罪と賠償を求めて2度の裁判。人間の定義が争点…

寿命ハック

医科学エッセイ。目指すはテーマは不老不死。最新の分子生物学の知見をユーモアをこめて描く。急速に発展しており、人類の寿命は伸びていく可能性がある。知らなかった科学的事実も多いが、後半はやや平凡に思える。著者はデンマークの大学院生。翻訳の常だ…

みんな元気だ

世界各地を旅した著者が出会った野性動物を綴ったショートエッセイに、和田誠氏が挿絵をつかた大人用の絵本。エッセイ2ページにイラスト2ページの構成となっている。あとがきに記されているが、当時の写真をベースにする。面白いエピソード満載の文章と、…

相棒は秋田県

著者は篠笛奏者。かねてからの憧れであった秋田犬を家族で育てる。狼に近い純粋な日本犬で、力強い大型犬であり、売られた喧嘩はほとんど勝つ。非常に聡明で家族には忠実、自分の役割を果たそうとする。10年弱の生涯であるが、家族が愛情を注ぎ、また返し…

グレイがまっているから

画家とその家族とシベリアンハスキーの日々。わずか5歳で昇天するので、後半は闘病日記。やんちゃで好奇心旺盛な性格だが、家族には甘え、周囲を明るくする犬の力。文章も巧みだが、画家本来の挿絵とスケッチで読みやすい構成。本書は愛蔵版と銘打ち、いく…

日本人はどう死ぬべきか

大物二人の対談。テーマは死生観であるはずだが、頻繁に脱線。互いの専門分野、文化論、人物評と話題にはことかかないく、愉しい内容となっている。実は年代は違うが神奈川栄光学園の同窓。独自のキリスト教教育を受け、それぞれ東大で道を究める。コロナ下…

犬部

北里大学獣医学部の動物愛護サークルを描くノンフィクション。捨てられた犬猫を保護し、里親を見つける活動を続ける。その実態は生半可なものではなく、自らの生活を犠牲にしての闘いが続く。メンバーは獣医師の卵であり、意識は高いが葛藤は続く。一時廃部…

少年と犬

連作集。一匹の旅する犬と関わりあう人たち。決して幸福な生活ではないが、賢い犬との生活でそれぞれに癒されていく、しかい最後はなぜか死の影がつきまとう。犬は被災地岩手で飼い主を失い、友である子供を探して九州に向かう。最後は巡り合える奇跡。結末…

その犬の名を誰も知らない

南極観測史上誰もが知るタロウ、ジロウの物語。実はもう一匹、第3の犬がいた。第一次越冬隊の唯一の生き残りで、当時の犬係である北村氏の記憶をたどるノンフィクション。当時の犬ぞりによる冒険は迫力十分。犬たちのサバイバルについては、50年の時を超…

言葉が暴走する時代の処世術

ユニークな対談。繰り返し強調されるのは直接対面しての会話の重要性。言葉と文字は違う。SNS、IT万能の時代に警鐘を鳴らす。山際教授の霊長学、人類学の蘊蓄をわかりやすく引き出す太田氏は見事。 -ゴリラは戦わないが、負けない -ゴリラと人間の違いは問い…

絶滅の人類史

猿人類から現在の我々まで。人類の進化を科学的に辿る。700万年の間に多くの種が発生し絶命していった。生物考古学的な論争は数多いが大体の道筋は明らか。2足歩行の人類は、大きな脳を持つことができ、食物を運搬、共同社会で子育てをし、厳しい競争を生き…

バッタを倒しにアフリカへ

昆虫学者を目指すポスドクが、アフリカモーリタニアでフィールドワーク。大量発生するバッタのメカニズムを探り、撲滅へのヒントを探る。異文化の中での研究生活の実態が面白おかしく描かれる。京大の白眉研究者に選ばれるなどユニークで優秀なのだが、肝心…

平成犬バカ編集部

日本犬をフューチャーする雑誌Shi-ba。創刊から今日にいたるまでの歴史を面白おかしく描くノンフィクション小説。名物編集長を筆頭に犬バカのスタッフたちが、飼い犬とともに大騒ぎで雑誌を作る。大胆な記事は読者の圧倒的な支持を得て名物雑誌に。主題はむ…

盲導犬の子犬と暮らした358日

パピーウォーカー体験記。写真日記形式で「Yang」との1年を記録する。臆病で慎重な子犬が成長にともない好奇心が強く逞しく育っていく姿は微笑ましい。自然豊かな山形鶴岡で伸び伸び育つ。つい自分たちの経験と照らし合わせてしまうが、肯ける部分は多い。…

私コスモの目になる。

舞台は青森の農業高校。盲目の馬と女子部員の心の交流。大学の馬術部の花形で女王と呼ばれた名馬は、盲いてもなおプライド高く容易に人を寄せ付けない。新入部員の主人公は辛抱強く世話をするが、怖々と接しているうちは馬も敏感にそれを感じ取る。ある日ふ…

涙ぽろり

盲導犬パピーウォーカーの手記。徳島ですでに5匹を育て上げたベテランさん。我が子のように愛しみ、大切に育てた子をやがて手放さねばならない寂しさ。その子が見事に盲導犬となった時の喜び。文章は決して上手くはないが、こちらも経験者だけによく伝わる…

さよなら、盲導犬ミッキー

TBSの「どうぶつ奇想天外」のディレクターの取材記。勤めを引退した盲導犬が老犬ホームで最期を迎える。ユーザー、パピーウォーカー。センターの人々と出会いと別れを繰り返し、たくさんの幸せを振りまいてきた一生。内容がわかっていても涙してしまう。レト…

ダメ犬グー

作詞家で詩人でもある著者が愛犬グーとの思い出をイラストエッセイで綴る。出会い、成長、大病とそこからの復活、そして最期の別れを短い詩編でしかし暖かく描く。甘えたでこわがりのグーはまさに家族の一員であり、共に過ごした11年はお互いにとってかけ…