2024-08-01から1ヶ月間の記事一覧
歴史小説。舞台は戦国末期の天草。島内で豪族5家が派遣を争うが、時代に取り残されていく。その中で男勝りの美貌の姫と、布教のために日本語辞書を作成する信者とそれを守る女性が主人公。最後は豊臣の全国制覇に飲み込まれ、やがて禁教の嵐が吹き荒れるが…
近未来を予測する。圧倒的な数学的能力を持つ少数者が、先端テクノロジーで社会を変革する。代表例はイーロンマスクとピーターティールだが、それに続く第二世代も生まれつつある。特徴はEQは高いがSQは低く、家系には自閉症の確率も高い。人の痛みが理解で…
旅の記録。韓国台湾からインドまでアジアをめぐる。どちらかと言えばバックパッカー。LCCで飛び、安宿に泊まり、地元メシを堪能する。文化人であるので時々贅沢。基本は現地の貨幣価値での生活に重きを置く。おいしいもの満載。旅情あふれる好著。 アジア多…
犬小説。事故で両親を亡くした主人公は、叔父夫妻に引き取られるが、今一つ家族になじめないでいる。訓練士の従妹が連れて来た元警察犬のシェパードを預かることに。目下に見られなかなか言うことを聞かないが、やがて信頼関係が醸成されていく。途中でしり…
人類学大家二人の対談。霊長類学と考古学の直近の成果から、日本文化の源流と、今後の展開を語る。京大では今西学と西田哲学は外せない。ロゴスとレンマ、西洋と東洋の哲学思考の違いは一神教とアミニズムの差でもある。対談だけに難解な部分は少ないが、今…
女性シンガーソングライターの冒険記。順調な人生に疑問を感じて、本屋の立ち読みで見つけたニューギニア探検隊の募集に応募。これが無謀な計画で、ヨットで太平洋を渡り、ボートで河を遡上。未踏の高山に登るというもの。ほぼ素人の彼女は苦戦するが、何と…
高校野球を題材にしたフィクション。父を亡くし母と二人暮らしの少年は、リトルリーグで名を馳せ、大阪の新興高校にスカウトされる。母も横浜から居を移すが、息子は寮暮らし。待っていたのは厳しい父母会の掟。理不尽な仕打ちに悩まされる前半。息子は肘を…
著者は鎌倉投信のトップ。自ら率いるファンドを通して、社会貢献を目指す。具体的には利益ではなく、社会の改革を目指す会社を選んで投資。個人の資金と人類の未来を結びつける。数字に頼るのではなく、訪問、面談をベースとした徹底した調査。熱い想いは本…
ボクシングノンフィクション。年齢制限のため引退のせまるB級ボクサーの闘いを描く。奇跡のマッチメークでアジア太平洋ランキングに入り、世界10位の強者と対戦する。完全アウェーの噛ませ犬状態ながら、見事に善戦。あわやと思わせるシーンも生まれる。朴…
世界に冠たる化学者であり、ノーベル賞学者である大村教授の伝記。決してエリートではなく山梨大学を卒業後は、夜間高校の教師。昼間北里研究所で勤めたことから、同研究所のトップまで上り詰める。アメリカに留学し広いネットワークを持つ。自然の細菌類か…
アフガニスタン、アメリカ陸軍前哨での戦い。タリバンの猛攻にさらされた14時間を軍曹が克明に描く。圧倒的な兵力差と緻密に計画された敵の攻撃を、火力と航空支援で乗り切るが、所属小隊からは8名の犠牲が出る。遺体を含めて戦友を助けようとする姿勢は…
写真エッセイ。これが第2談。世界各地を旅し、印象的な風景を切り取っていく。表面的な美しさに止まらず、そこで暮らす人々の心情まで踏み込み旅情を深める。世界の旅人である著者の面目躍如。雑誌への連載。 心の窓 (幻冬舎単行本) 作者:沢木耕太郎 幻冬舎…
終戦直後の朝鮮半島。南北分断の混乱の中で、日本人はまさに難民の境遇となる。ここで立ち上がった主人公は、持ち前の行動力で、ソ連や北朝鮮と交渉。非公式な黙認を取り付け、6万人の同胞をを38度線を超え帰国への道筋をつける。陸路、海路とも想像を絶…
化学製品をキーに人類の歴史を大観する。スケールの大きなノンフィクション。何よりの特徴は構造式が詳細に明示されること。化学屋の端くれとしては一気に理解が進む。知らない事実も多い。天然成分の活用から始まり、その単離、同定。一方で合成による量産…
エッセイ集。舞台は熊本。友人の写真家との共作。題材は主として家族の歴史。幼い時に母が蒸発。祖父母に育てられる。複雑な家庭であるがやがて祖父母、父母と順に見送る。本人は喫茶店を営み、やがて本屋も開業。文章力は評判通りで抒情的な雰囲気のある作…
旅行記第3作。ロシアから東欧、中南欧となかなか個人旅行が難しい地域を巡る。シベリア鉄道での過ごし方、ビザなしでの国境越え等、かなりリスクのある旅は作者ならでは。またロシアの覇権主義により紛争の多い地域である。旅自体はコロナ、ウクライナ侵攻前…
歴史学者によるエッセイ。専門んは日本中世史。意外と知らない室町時代のエピソードがユーモアを交えて紹介される。この時代は文献も少なく、研究者の多くない。終章は歴史学者の実相を吐露。情熱と文献読解さらに時代を見る目のバランスが必要とのこと。週…
経営者のための学問と一般に思われている経営学を、身近な実例を挙げて平易に解説。供給側だけでなく消費者側からも経営の観点が必要と説く。すべての事象には判断がつきまとうのである意味当然の話ではある。本書は入門書との位置づけ。出張帰路の新幹線で…
著者の持論である動的平衡。生物の細胞は常に入れ替わっており、その集合体はいわば蚊柱。本書ではその概念を各界の碩学と対談する。話はそれぞれの専門分野にとどまらず、人生論や哲学にまで及ぶ。平易な表現で理解が進む。本編も読むべきか。 -判断基準は…
日本国内の著名な観光地を訪ね、そこに暮らす人々を描くルポ。北は知床から南は竹富島まで。いずれも一時の勢いはなく、そこはかとなく哀愁が漂う。著者の特徴は人と会い、その生業を描くこと。どちらかといえば中高年が多いが、それだけに味はある。丹念な…