2020-01-01から1年間の記事一覧

街場の親子論

内田樹、るん親子の往復書簡集。これまでの親子関係や人生観を披露しあう。若くして離婚し、父子家庭であっただけに、その距離感は微妙。また娘は高校卒業後独自の道を歩む。考えはリベラル。考えてみれば親子関係は難しい。互いをわかっているようで本当に…

はい泳げません

金槌の中年男が、スイミングスクールへ。見事泳げる人になるまでの奮闘記。コーチの女傑がなかなかユニークで、次々進化をとげていく。生徒たちはおばちゃんは個性豊かで、口さがない。泳ぐことを人に教えること、また文章にすることの難しさ。コミカルに描…

HRプロファイリング

企業人事を科学的に進める手法。個人の本質はヒューマンコアに形成されこれは後天的には変質しない。上層の知識やスキルは教育により育成する。如何にコアを見極め、採用や配置に活かすかが課題となる。一方で企業としては望まれる人財モデルを定義する必要…

だし再発見のブランド戦略

著者は元禄からつづく老舗にんべんの13代当主。歴代の家業を振り返り、将来を見据える。鰹節の卸問屋だが、斬新な改革で成長。現金取引の導入。商品券の発行など。一方で品質にこだわり、良品廉価をモットーとする。安易な安売りはしない。戦後の発展はフ…

戦略読書

経営コンサルである著者は、稀代の読書家でもある。その遍歴と他と差をつける戦略を伝授。ジャンルと難易度でポートフォリオを形成。自らの成長に合わせて意識して変化させていく。自分の専門分野に集中させないことがキー。納得できるがあくまで若者向き。…

サガレン

著者によるサハリン旅行記。前半は鉄道紀行風。後半は戦前にこの地を訪ねた宮沢賢治の魂の遍歴を追う文学的な旅となる。妹を亡くした後、最果てまでの旅で生きるためのの回答を得る。その明らかな変化は詩に残されている。残念ながら完全には理解できず、雰…

守教

九州久留米藩の隠れキリシタンを題材にする歴史小説。大友宗麟の家臣が引退、大庄屋となり彼の子孫が代々、信仰を守り抜く。禁教の時代も、現実的な対応で踏み絵は踏み、心の中の信仰を守り続ける。一方で献身的な聖職者の姿も描かれる。その遥かな旅路と歩…

経済学を味わう

東大経済学部の教授陣が、教養生向けに行った講義がベース。最新の経済学のエッセンスが専門別に解説される。マクロ/ミクロから会計/ファイナンスまで。内容構成、難易度も様々。数式が入ると途端に難しくなるのは仕方ないところ。経済学の本来の目的は社…

国立西洋美術館名画の見かた

現役のキュレーターが所蔵品を中心に名画鑑賞法を伝授。ジャンルごとに解説するのは意外と目新しい。物語画をトップとするヒエラルキーは時代とともに解消していく。カラーの図録も豊富で極めて分かりやすい内容。後半は楽屋ネタのギャラリートークだがここ…

東京発半日徒歩旅行

タイトル通り、首都圏軽めのお出かけ案内。実際に著者の体験による。意外と範囲は広く、首都圏3県から山梨まで浸食。徒歩は2-3時間だが、アクセスにそれ以上かかる計算。結局は1日仕事になる。内容は簡潔で文章も巧み。旅心をくすぐられるのは確か。地…

企画書は手描き1枚

広告業界、プランニング。如何に相手に想いを伝えるか。方眼紙への手描き資料を推奨する。表面的なプレゼン技術ではなく、如何に案を練り、一枚に簡潔にまとめるか。基本とすべきは感動である。文字通り平易にまとめられており、理解しやすく参考になった。 …

知略の本質

戦史から学ぶ戦略、組織運営論。4つの闘いを解析。独ソ戦、バトルオブブリテン。ベトナム戦争、イラク戦争。特に印象的なのはベトナム。ホーチミンの指導の下、フランス、アメリカを退ける。機動戦と持久戦の二項動態の中で最適点をみつけることが重要。物…

トラックドライバーにも言わせて

日本の物流を担うトラック輸送。元女性ドライバーの著者がその実情を解説する。一見マナーが悪く、さまざまな問題を起こしているが、そこにはドライバーたちの止むにやまれぬ事情が存在する。圧倒的に強い立場の荷主は、定時配達に加え荷役作業も強要する。…

海のまほろば

戦艦大和4代艦長。森下信衛の闘いを描く。操艦の神様と呼ばれる。沖縄特攻では参謀長として参戦、上級将官として唯一生き残る。人格高邁、人間愛にあふれ部下から慕われる。熱い漢である。森下家に居候し、最後の従兵となった若者が語り部。最後の別れの敬…

共感経営

日本企業は、本社部門の官僚化により、分析、計画、法令順守の3つが過剰となる三大疾病で身動きの取れない状態。ここからの脱却には共感からなる真のイノベーションが必要。成功事例の紹介と経済学的な解説を加える。経営陣の務めはいかに未来を予測し、跳…

未来への大分岐

世界的に著名な政治学者、哲学者、経済ジャーナリストとの対談を通じて、ポスト資本主義を予測、準備すべ点を明らかにする。ITの発展により、限界効用が上がり、人類は労働から解放されるが、利益は生じなくなる。またプラットフォーマーによる寡占、SNSによ…

2030年の世界地図帳

SDGsの解説書。17の課題に対する現状認識と克服への処方箋を示す。国連として数値目標を明確にしたことには高評価。各国の事情に配慮して最大公約数となっていることはある意味仕方がない。アメリカ(情報)と中国(工業)の覇権争いにあってヨーロッパは…

戦略の創造学

ドラッガーの経営学とアメリカ最新のデザイン思考の融合。未来へ向けての企業戦略を創造する。キーとなるのは「すでに起こった未来」と顧客との共感。前者は人口動静と環境問題を挙げる。後者ではペルソナ分析。世代間格差は無視できず、ステレオタイプから…

地名崩壊

平成の大合併により失われた歴史ある地名。影響は市町村名から町名までに及ぶ。地名の変更は時代を映す妙薬のように処方されてきた。地図マニアである著者はその名を惜しみ、復活を期待する。懐古趣味だけでは実利を伴わないので容易ではない。博識ぶりは披…

スパイの妻

舞台は戦前の神戸。貿易商を営む正義感の強い夫とその美しい妻。商用で訪れた満州で知った細菌部隊の非人間性に憤慨した夫は、その事実を米国に知らせようとする。結果として妻を囮に利用した形。それも彼女を安全圏に残す彼なりの愛情。ジェトコースターノ…

テクノロジーの未来が腹落ちする25のヒント

副題にあるように「シンギュラリィティーにっぽん」と題した新聞連載。AIの発展による来るべき未来を予測する。決してバラ色ではなく、独裁の危険性と個人情報の濫用が危惧される。冒頭の引用が素晴らしかっただけに、内容的にはやや平凡で不満が残る。朝…

移動革命

近未来の交通うぃ変えるMaaS Caseを解説する。MaaSは特に公共交通機関が核となる。都市部にすむ鉄オタとしては、あまりメリットを感じないが、地方、高齢化社会には有効か。目的を持った移動のように如何に付加価値をつけるかが鍵だろう。総研の解説書だけに…

絵を見る技術

プロの名画鑑賞法を伝授する。フォーカルポイント、経路、バランス、色、構造の5点。当然ながら画家たちは十分計算して、名画を製作している。観る側としては、知識として知っていれば、見方を広げることができるだろう。カラー図版を多用し、しかも同じ作…

大阪の逆襲

2025年の万博を契機に関西の復権を図る。その先の高齢化社会へ向けてのコンセプト作りが重要。強みは商人としてのリアリスト気質と圧倒的なコミュニケーション力。これで何か新しい起業が育つ土壌を育成。目指すは多世代循環型の命輝く未来社会。具体案…

一日一生

比叡山で2回の千日回峰行を成し遂げた大阿闍梨である著者の人生哲学、信条を聞き取りで書き留める。貧しく厳しい子供時代、妻を自死で無くすなど不幸な前半世から、お山にこもり悟りを開くまでを、淡々と話される。繰り返されるのは一日を一生ととらえ、日…

大空に夢を求めて

日経の「私の履歴書」。満州から命からがら引き上げ。慶応から全日空へ。会社の発展とともに要職を歴任。生え抜きの社長となる。国際化を進め、黒字化。目指すはアジアNo.1。トップとしては組織へのビジョンの浸透に心を砕く。茶目っ気のある気さくな人柄だ…

イスラム2.0

衝撃の内容である。2.0とはSNSで直接、啓示の書であるコーラン、経典に接した一般大衆が、原理主義化していくこと。最終目標は異教の打破、世界のイスラム化である。アラーの神の教えは絶対で、西欧社会のルールとは相いれない。人口の増加も相まって静か…

達人かく語りき

著者の対談集、吉本隆明から羽生善治まで計10人。巧みな会話で互いに自分をさらけ出し、その仕事や生き方の神髄にせまる。総じて内容的には硬派な感じ。相手によって使い分ける。女性との対話は優しく興味深い。著者自身の成長の記録でもある。週末にバタ…

新聞記者

著者は東京新聞社会部の女性記者。菅官房長官の会見で歯に衣を着せぬ質問で名をあげる。貫いているのは社会的な正義感と入社以来現場で鍛えられてきた記者魂。政権におもねり予定調和で済ます記者クラブ体質にも一石を投じる。本人も自覚しているが熱しやす…

人の名前が出てこなくなったときに読む本

自覚しているが、名前が出てこないのは認知症の初期症状。脳は着実に老化している証。大敵は糖尿病と高血圧症。対策は運動と食事の順番。何よりも実践と継続を強く推奨。シンプルな内容であるが、意識して気をつけたい。 健康長寿の医者が教える 人の名前が…