2008-01-01から1年間の記事一覧

本当はちがうんだ日記

作者はサラリーマンで歌人とのこと。日常の生活を題材にした笑わせるエッセイ。極度に内向的な性格で40過ぎまで独身?。女性、対人関係で苦労したネタが自嘲気味に描かれる。同年代の中年男性としては共感する部分も多い。図書館の新刊書コーナーで見かけ…

知事の世界

新書版。当選後多数の著書を出した中の1冊。主として知事に就任後の活動状況を簡潔に報告する。公用車や官舎の問題は表面的な事象に過ぎず、マニュフェストの実現に向けて実際の予算編成で議会や官僚との折衝を巧みにこなす。県職員は非常に優秀であると持…

そうだ葉っぱ売ろう。

徳島県上勝町の成功事例。老人パワーを活用し外食産業用につまものとしての葉っぱを出荷し成功させたビジネスモデル。それを導いた著者の破天荒な半生を自ら綴る。マスコミに取り上げられ一見派手だが意外と地道な本業である野菜や果物があることに納得。老…

ハイヒールと宝石が温暖化をもたらす

「風が吹けば桶屋が儲かる」式の論調で、地球温暖化問題をきわめて平易に解説する啓蒙書。タイトルのわりに中身は充実しており、なかなか問題意識の浸透しない日本人に警鐘をならし身近な問題としてとらえるべきと説く。議論百出の命題にずばりと核心をつく…

プラネタリウムのふたご

評価の難しい一冊。田舎のプラネタリウムに捨てられた双子の不思議な成長を通して、親子、自然、幸福を描く。舞台は無国籍。工場と呪術が同居するなど時代も設定もきわめて不自然なのだが、叙情的な世界に引き込まれる。手品師の一座の生き様がが魅力的。一…

フェルメール展

大雨の週末、上野の都美術館へ。評判の展覧会であるが人混みはおそれていたほどでは無かった。それでも人気の作品の前には人だかり。フェメールを中心に17世紀のオランダ絵画がならぶ。遠近法を駆使した風景画と光に注視した精密画の世界。判りやすい世界…

気がつけば騎手の女房

著者の自叙伝。父親が早世創製し母一人娘一人で育つ。必死の思いで入った外大は学園紛争で失望する。好きになった競馬の世界へ飛び込み、競馬新聞の記者から、やがて子持ちやもめの騎手の女房となる。当時としては(今でもだが)かなり破天荒な人生。男勝り…

流星ワゴン

主人公は38歳の父親。自らのリストラ、妻の不倫、子供の受験失敗と家庭内暴力と最悪の状況に、自殺をも考えていたところに、そのワゴンは現れる。運転するのは交通事故死した親子で成仏できず現世をさまよい、迷える同胞をタイムトリップで過去の分岐点に…

ワルシャワの燕たち

舞台は1990年改革途上ののポーランド。ジャーナリストの恋人を連れ戻しに日本からやってきた中年の主人公は元ラリーレーサー。彼女の部下で日本語の達者な現地の若者と何かと競うことになる。変革の息吹に魅せられポーランドに止まる決意の彼女を残し失…

光の帝国

さまざまな特異能力をもつ人々の集団を描く連作集。作者があとがきで述懐しているように一作ごとが設定がユニークでそれだけで中長編がかけるようなネタであり、それぞれが力作となっている。ありがちなファンタジーではなくむしろその能力いえに社会とは一…

ヤマダ電機

小売業では、イトーヨーカ堂、イオンに次いで第3位。 家電の市場規模は10兆円。ヤマダは約20%のシェア。 チラシの制作費は売り上げの2%=400億。毎週3全部。 大型電気店にとって価格が最大のサービス。

となり町戦争

小さな地方の町が、事業として起こしたとなりまちとの戦争。まったく無関心な市民たちの中で「僕」は偵察員に任命され、役所の担当職員である女性と偽装結婚をし隣町に住むことになる。何のための戦争なのか実態はどうなのか、最後まで説明されることはない…

魚河岸三代目

帰国便も邦画にした。ドタバタ喜劇仕立てだが良くできた作品。荒っぽいが人情あふれる築地の人々にほろりとさせれる。メインもサブの恋愛成就に後半はフォーカス、感情移入させられるのは設計意図通りか。森口瑶子はいい。森下愛子様は久しぶり。 http://www…

漢方小説

主人公は31歳の女性シナリオライター。失恋と仕事のストレスで体調を崩し救急車に乗る騒ぎになるが、通常の病院ではたらい回しの上、原因不明のまま何ら解決しない。最後に頼った漢方医ですてきな医者に巡り会い、心身両面で快方へと向かう。30代女性の厳…

ぼちぼち結論

中央公論連載の評論集。鋭く辛口に社会、世相を切る。教育、政治、経済をばさばさと。表現がアイロニックでくどいのはいつものこと。まとめてみると今ひとつ印象が薄いが、引用は多数。 誤解するのは、誤解する方が損をする。事実誤認は自分の身にふりかかる…

オリンピアナチスの森で

1936年開催のベルリンオリンピック。ナチスのプロパガンダとしての歴史的位置づけが定着しているが、そこに参加した多くの選手が、祖国や家族の期待を背負い、自分の人生をかけて競技に挑んだ。本書は丹念な取材と史料の精査によって日本のオリンピック史上…

警視庁科学特捜班

科学捜査のために設置されたタスクフォース。異能の専門家の集団が叩き上げの刑事たちが主流の捜査本部とぶつかりながら、一見単純に見える連続殺人の裏に潜む巨悪を暴く。正直退屈はしなかったが、登場人物があまりにステレオタイプで全体としての深みにか…

目にあまる英語バカ

世に氾濫する英語を話せる人間に対する憧れ、しゃべれる人間の思い上がりを痛烈に批判する。曰く大多数の日本人に取って英語を話す必要性は低い。学校英語が不十分であるのは本人の努力が足りない。小学生からの英語教育は無意味。結局は本人の地道な努力し…

涼宮ハルヒの憂鬱

人気アニメの原作本。つい逆流してしまった。アニメが原作にナレーションを含めて非常に忠実であった。それはとりもなおさずこの原作の完成度が高いことを示す。良くできた設定と構成。ヒロインに引きずり廻される相手役のキョンが一人称で語るスタイルも同…

阪急電車

宝塚/西宮北口を往復する間に描かれる恋愛短編集。出会、破局、報復などをテーマに一駅ごとに展開されるが、基本的には女性の凛とした生き方への応援歌がほのぼのと描かれが読後感は爽快。上り下りには6ヶ月の時差を設けて、後日談を披露する構成。軽くさ…

クアトロラガッツィ

天正の遣欧少年使節。一般の日本人には史実として知識はあるがその詳細は知られていない。本書は東西の歴史の転換点にある4人の若者とそれを取り巻く人々の一大ページェントである。丹念に一級史料を調査し、戦国時代末期での日本のキリシタンの状況を様々…

レアメタル

「カンブリア宮殿」。世界を飛び回る専門商社のトップ。元蝶理で孫悟空と呼ばれた暴れん坊。現代の山師だが人好きのする好漢。村上龍のイメージはマリオ。世界を飛び跳ねコインを探し出す。 3現主義 = 現場/現物/現実 商売は笑売 = 作り笑いは世界共通で…

スリランカ

金曜日の夕方時間が空いたので、上野の国立博物館で始まったばかりの「スリランカ展」に立ち寄る。表慶館での開催ということで、規模と人気のほどは推し量れる。個人的には期待以上のものだった。ほとんど知られていないスリランカの美術史が、時代順に展示…

メジャーリーグで覚えた僕の英語勉強法

大リーグへの挑戦は、異文化で家族共々新たな生活基盤を構えることであった。自らの貴重な経験から有効な学習法を解説する。英会話のヒント自体ははまあ常識の範囲内。むしろ旺盛な好奇心とあらゆる機会を捉えての学習意欲には感心する。モチベーションの高…

クイールを育てた訓練士

盲導犬を育てるカリスマ訓練士である多和田氏。犬の気持ちがわかる現代のドリトル先生と絶賛される。本書は自らの手記と、彼のキャリアを描いた記者のルポ。それに犬たちとの写真という構成。訓練士の社会的地位は昔から高くなく、経済的には困窮するが、社…

あほらし屋の鐘がなる。

すでに休刊になった女性誌に連載された辛口エッセイ集。前半は世の中年男性の生態を、後半はメジャーな女性誌を辛辣に批評する。読者が同性ということもあり遠慮のない筆運びだが、ウィットに富み笑わせる。男性から見ればわずかに残っていた若い女性へのか…

球形の季節

舞台は東北の小都市。題材は神隠し。主人公は地元の高校生たち。よくある噂話の究明から謎解きが始まる。この町は昔から異界と繋がっていた。ここでの異界は決しておどろしいものではなく現実世界と近い存在であり、人類の進化の可能性を暗示する場所として…

仰天中国

今は無きJASの機内誌への掲載。中国各地を写真入りの紀行文で訪ねる。肩のこらないエッセイだが鋭い観察眼は健在。通り一遍のガイドででは無く地元の人々の生活にずかずかと入り込み取材する。このあたりは著者の面目躍如。面白いのはやはり情報が少ない雲南…

涙ぽろり

盲導犬パピーウォーカーの手記。徳島ですでに5匹を育て上げたベテランさん。我が子のように愛しみ、大切に育てた子をやがて手放さねばならない寂しさ。その子が見事に盲導犬となった時の喜び。文章は決して上手くはないが、こちらも経験者だけによく伝わる…

エーゲ海の頂に立つ

NHKの番組でギリシャ、クレタ島を訪ねた紀行。「ホワイトアウト」や「黄金の島」でアウトドア派のイメージがある作者だが、実は胃弱で泳ぎも出来ないとのこと。書斎から解放され、日本を遠く離れたトレッキングは苦しくも楽しい。登山はやはり日頃の生活や、…