オリンピアナチスの森で

1936年開催のベルリンオリンピックナチスプロパガンダとしての歴史的位置づけが定着しているが、そこに参加した多くの選手が、祖国や家族の期待を背負い、自分の人生をかけて競技に挑んだ。本書は丹念な取材と史料の精査によって日本のオリンピック史上黎明期の姿を伝える一級のノンフィクションとなっている。記録映画として名高いレニ女史の2作は彼女の美意識によりドキュメンタリーではなく、ブロマイドとして作成された。撮り直しや編集によるメイキングを見つけていく箇所はスリリングであるが、女史の中では作品の完成度を高めるためには当然の所作であった。

オリンピア―ナチスの森で

オリンピア―ナチスの森で