プラネタリウムのふたご

評価の難しい一冊。田舎のプラネタリウムに捨てられた双子の不思議な成長を通して、親子、自然、幸福を描く。舞台は無国籍。工場と呪術が同居するなど時代も設定もきわめて不自然なのだが、叙情的な世界に引き込まれる。手品師の一座の生き様がが魅力的。一流の手品と心のこもった星の解説には人の心を癒す不思議な力がある。悲劇的な結末は腑に落ちない。久しぶりにプラネタリウムを観たくなった。

プラネタリウムのふたご (講談社文庫)

プラネタリウムのふたご (講談社文庫)