字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ

著者はベテランの字幕専門の翻訳家。限られた秒数で観衆に読んでもらうために、台詞を直訳でなく要約する技量が要求される。また登場人物のキャラをきめることも重要。映画を通して最近の日本での教養、文化度の低下を嘆く。全体にコミカルに書かれているが、映画に対する思い入れと言葉を大切にするプロの意識がにじみ出る。配給会社に対して弱い立場だが、厳しい仕事をささえているのはその矜持か。この世界もコストダウンにより後継者が育たず厳しくなっているとのこと。手がけた作品は20年間で1000作というから、年間50作。大変な世界である。

  • 日本語を書く上で一番一番難しいのは性別や年齢の違いを表す言葉の使い分け。
  • 外国人でもっとも日本語がうまいのは力士。やはり日本語にまみれること。
  • 「アラー」は普通名詞。キリスト教徒のアラブ人も神はアラーである。

字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ (光文社新書)

字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ (光文社新書)