[書評][美術]宮大工棟梁・西岡常一
昭和の名工、希代の宮大工である西岡棟梁。前半は「私の自叙伝」。後半は関係者の対談。祖父の教育方針により、農学校に通い米作りから学ぶ。宮大工は本来仕事のあるときのみの日当制であり不安定な身分であった。戦争中は応召され看護兵として従軍。法隆寺の大修理、薬師寺伽藍の再興と大仕事をなしとげる。棟梁としては細かい指示はせず部下に考えさえ教育する厳しいが気配りの人であった。西岡家代々に伝わる口伝が紹介される。一部はすでにかなり有名。
- 仏法を知らずして堂塔伽藍を論ずべからず
- 天地地祇を拝さずして宮を口にすべからず
- 堂塔の建立には木を買わず山を買え
- 堂塔の木組みは木の癖組み
- 木の癖組みは工人等の心組み
- 工人等の心組みは匠長が工人等への思いやり。
- 百工あれば百念あり一つに統ぶるが匠長の器量なり
- 一つに止めるの器量なきは謹みおそれ匠長の座を去れ。
- 諸々の技法は一日にして成らず祖神達の徳恵なり。
- 作者: 西岡常一,西岡常一棟梁の遺徳を語り継ぐ会
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2005/04/02
- メディア: 単行本
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