社会

特攻服少女と1825日

著者はレディース向け雑誌「ティーンズロード」を創刊。編集長となる。派手な外見だが、投稿ページを充実させ、はみ出した少女たちから絶大な支持を得る。本書はその顛末記と総長たちの後日談を語る。厳しいルールに支配された縦社会。喧嘩や制裁は当たりま…

RISE

南アフリカラクビー代表の主将を務める著者の自伝。黒人スラムの出身。ラクビーの才能を見出され、奨学金を受けエリート校に転校。プロチームに所属し、南ア代表となる。ポジションはフランカー。若い時は飲酒で悪さもしたが、キリスト教の洗礼を受け、敬虔…

自由の丘に小屋を作る

フリーライターの夫婦が、自力で山梨に小屋を建てる。設計士や大工がボランティアで協力。チャレンジに面白がる人たちを巻き込んで3年がかり。途中コロナの影響や自らの著作の入選もあって、遅々として進まない。本書の主題はむしろ娘の成長期。不妊治療の…

エネルギー危機と原発回帰

NHKの重鎮二人がエネルギー危機を理由に急がれる原発再稼働に疑問を呈する。中立であると断ってはいるが、様々な問題点を指摘。老朽化対策と原発のゴミ問題。いずれも見切り発車の状態。根底には関係省庁、電力会社、地方自治体と関係者が多すぎ、変革が進ま…

前人未踏

話題の人二人の対談。山中教授が聞き役となり、藤井名人から話を引き出そうとするのだが、ついつい自らの話になり、7割がたは教授のパーツ。年齢差や人生経験の差からして致し方ない。AIの進化が大きなテーマ。名人も活用しているとのこと。研究や将棋の…

紛争地の看護師

国境なき医師団の看護師の体験記。著者は日本の看護師であり、国際貢献のためにオーストラリアに留学したことにまず驚く。英語を身に着け、17回も戦地に赴く。シリア、イエメン、ガザ。想像以上に悲惨で過酷な状況。安全は考慮されているが、保証は全くな…

シンプルで合理的な人生設計

著者による幸福論。理論と実践に分かれる。3つの資本を活かし如何に満足できる人生を送るか。これまでの著書で述べられた内容が多く、さすがに出版過多のイメージがあり減点対象。ところどころハッとさせられるネタがあるところが著者に魅力ではある。 -幸…

政治はケンカだ

暴言市長として名を馳せ、マスコミの批判を一身に浴びた泉市長。元朝日新聞記者の鮫島氏との対談で、これまでの政治家人生を語る。貧しい漁村に生まれ、弟は障害者。10歳にして市長を志し、市民に優しい政治を目指す。東大時代は学生運動にかかわる。その後N…

かっかどるどるどぅ

4人の恵まれない人々の物語がそれぞれ進む。真面目に生きながらそれぞれ事情があり、破産や自殺の寸前。救世主となる老婆は自宅を開放し、ちゃぶ台で食事を提供する。自らも不運を乗り越え、人の輪を大切にする。最後は大往生。現代の世界情勢や環境問題もま…

2040年の日本

近未来予測。日本の未来は人口減少、高齢化により決して明るくない。成長率は良くて1%。政府試算の2%は現実を隠ぺいするためのまやかしでさる。急激に変貌する社会に対して、デジタル化が急務。それを担う人材が圧倒的に不足している。リスキリングを含め…

硫黄島上陸

太平洋戦争最後の激戦地硫黄島。軍事基地として一般人の上陸は原則禁止。戦死率95%の島にはなお一万以上の遺骨が眠る。著者は新聞記者でありながら自発的に収集団に参加。その現状と謎の解明を本書に託する。様々な神話があるが、外務防衛筋のアメリカに…

言い訳するブッダ

仏教経典の中の、矛盾を「言い訳」としてユーモアたっぷりに解説。ブッタの時代の初期から、現代の各宗派に至るまで、普通では解説できないところに辻褄合わせを行う。著者は浄土宗の僧で高名な仏典の研究者であるが、初心者向けに平易に解説。好感が持てる…

一流の共通点

著者はガンバ大阪のスカウト、育成担当として数多くの選手を育てる。必要なのは技術ではなく人間性。10のカテゴリーに分けるが、如何に素直に他人の意見を聞き、それを継続的に身につけることができるか。傾聴力と主張力も必要。つきつめて言えば、姿勢と心…

あの時やっときゃ良かったという後悔は即忘れよう

サブタイトルの通り、飲み屋のおっさん客113人に聞いた人生訓。気楽に笑える。下ネタが多いのは酒のせいか。つなぎの1冊。たまにはいいか。 「あのときやっときゃ良かった」という後悔は、実際にはやれる可能性などなかったのだからソク忘れよう 作者:「裏…

わからなくなってきました

エッセイ集。著者は劇作家。身の回りに起きた出来事をネタにユーモアあふれる文章で記述。雑誌掲載は90年代半ばで、さすがに世相は異なるが、あまり古さは感じない。年齢的には今の自分に近いせいか。談慶師匠の推薦本。愉しく読めました。 わからなくなっ…

吉本興業の約束

現会長大崎氏の対談をベースとする。ダウンタウンやハイヒールのマネージャーからスタートし、心斎橋2丁目劇場を創設。旧来の同族会社から近代的なエンタメ会社へ脱皮する。極めつけは反社会的勢力から決別するための非上場化。すべてを語られた訳ではないが…

安倍晋三実録

NHKの番記者として、長年安倍氏に張り付いた著者。没後にその実績、魅力を普段表面には出ない裏の部分まで踏み込んで記録。基本はシンパ。最大の功績は地球儀を俯瞰する外交。誰に対しても物おじせず、堂々と日本の国益を主張する。海外首脳と個人的なネット…

自然、文化、そして不平等

講演をまとめたもの。経済史上の格差問題について豊富なデータを基に平易に解説。各国ともに累進課税がその対策の中心となるが、レーガノミクスで緩和したアメリカを中心に格差が拡大する方向にある。より深刻なのは環境負荷で、富裕層の使用分がCO2放出の過…

ほんとうの豊かさってなんですか

「世界で一番貧しい大統領」として時の人であったウルグアイのムヒカ大統領。前半を対談、後半を池上氏の解説でまとめる。温和な人柄に見えるが、もともとテロ組織の闘士であり、長年の投獄も経験する。富の偏在、格差を憂い、政治による変革を求める。特に…

60歳から幸せが続く人の共通点

共著。老人学と幸福学を専攻とする著者らによる老年幸福学。豊富な統計データから結論を導く。第2の人生では発想の転換が必要。特に男性の場合、難易度が高いケースがある。内容的には良く言われるケースで、地域で新たなネットワークを構築し、多少なりと…

静夫さんと僕

著者が同居する義理の父親。奄美大島出身の苦労人だが、天真爛漫な生き様。漫才のネタにもされているユニークな生活ぶりだが、なぜか憎めず愛すべき人物像。奥様の両親との同居は気苦労も多いが、親孝行の想いも満たす。文章も簡潔な短編であっという間の読…

ドーキンス博士が教える「世界の秘密」 

若者向け科学読本。本業の生物学から最新の分子物理、化学、天文学まで幅広く科学の基礎を解説。各章神話と実際の世界を対比させて平易に解説する。素晴らしいのはグラフィックでより理解が進む構成。9割がたは知識として常識の範囲だが、あらためて目を開か…

RICE IS COMEDY

琵琶湖北岸、現在は長浜市だがかっての西新井町。人口4000だがご他聞にもれず過疎に悩む。中学同窓5人組が地域おこしに立ち上がる。キーとなるのはコメ作り。自慢の米を羽釜で炊いて配るパフォーマス。その名もゲリラ炊飯。リーダーとなる清水氏の熱量…

解剖京都力

読売新聞の地方版連載。観光だけでは無い京都の潜在力をルポする。キーワードは企業、老舗、大学、宗教、ソフトパワー。ユニークな組織が多く、魅力的な人材も多数存在するが、総じて右肩下がりなのも事実。人口減少がベースにある。特に伝統産業の衰退は深…

いつか王子駅で

抒情的な純文学。王子、尾久、荒川沿いが舞台。作者の分身である私が日常の中で文学や競馬などを回顧しながら物語は進む。馴染みのある風景が描かれて親しみが湧く。文体は古風であるが、慣れてくると読むづらくは無い。2001年の作品だが、あまり変わってい…

いつか王子駅で

抒情的な純文学。王子、尾久、荒川沿いが舞台。作者の分身である私が日常の中で文学や競馬などを回顧しながら物語は進む。馴染みのある風景が描かれて親しみが湧く。文体は古風であるが、慣れてくると読むづらくは無い。2001年の作品だが、あまり変わってい…

海の見える無人駅

最初に定義は、駅のホームから海が望め、かつ無人駅であること。当然地方のローカル線が主となり、廃線、廃駅の危機が迫るケースが多い。駅からの眺望や設備だけでは、ネタが足らず、周辺を巡ることになる。得意とするのは無人島の探訪。さらに文学や戦跡、…

この夏の星を見る

コロナ禍の学校生活。多くの行事が中止となり、部活も制限される。感染の拡大により、家業や家庭への影響も出る。中高の天文学部がひょんなことから繋がりそれぞれ自作の望遠鏡を製作、スターキャッチのコンテストを開催。各校ごとのドラマが展開される。巧…

天才読書

マスク、ベゾス、ゲイツと言わずも知れた起業家にして成功モデル。彼らは稀代の読書家として知られる。それぞれが推薦する古今の名著を紹介。そのエッセンスを要約する。幅広いジャンルから選ばれているが、SF好き、歴史好きのところが共通点か。読んでみた…

夢と金

自己実現のためには資金が必要。現代社会に即して手法を伝授する。モノがあり余る時代、いかに付加価値をつけるか、「機能」でなく「意味」を売る。いわゆるファン経済を分かり易く解説する。行きつくところはNFTの活用。あえての上から目線は気になるが若者…