さよなら野口健

不思議な縁で結ばれた二人の男の生き様を描くノンフィクション。まずはアルピニスト野口健。日本とエジプトの混血で両親は離婚。来日後はいじめにあう。最年少で七大陸の最高峰を制覇。登山家としては3.5流であるが、その着想力と実現力で名を成す。代表的なのがエベレストや富士山の清掃活動。一時政治を目指すが断念。著者は野口のマネージャー役。野口の熱さと人間的な魅力の捕らえられるが、個性の強い二人は何度も衝突する。愛憎のなせる業。著者は心身を病み生死の淵から復活し、本書に至る。正に渾身の一冊。抜群ではないがA評価。