2019-01-01から1年間の記事一覧

もっと言ってはいけない

続編。テーマは人種と知能。リベラルを自称する著者が、あえてタブーをおかし、真実に迫る。多くの学術誌が引用されるが、客観的に見て統計学としては有意差が出ている。人間の能力は生得的(遺伝によるもの)の方が、環境要因より大きい。人種的には北方の…

東大教授が教えるヤバいマーケティング

行動経済学の入門書。東大での講義をベースに、不合理な人間の経済活動に潜むさまざまな現象を解説する。数多くの文献から実験結果が紹介される。売る側、買う側ともそのメカニズムを利用しているのが現状。内容的には一部を除き極めて平易。逆に言えばあま…

生き物の死にざま

農学者の著者が、29種の動物について最期の迎え方を記述する。圧倒的に多いのは子孫を残す本能。そのために特化し進化したものも多い。生命の偉大さ尊さを考えさせられた。淡々とした記述の中に熱い想いが伝わる好著。 生き物の死にざま 作者: 稲垣栄洋 出…

眠れないほど面白い空海の生涯

巨人空海の生涯を半分小説仕立てで紹介。彼を信仰に導いた導師に尼僧を充てる。ここは著者の創作。圧倒的な語学力で貪欲に知識を吸収。山林修行と唐への留学で密教を極める。先行する最澄との確執に頁が割かれる。後半は朝廷に重用される。周囲を圧倒するオ…

働き方2.0VS4.0

最新の論評。テーマは働き方改革。日本政府主導の改革は2.0に過ぎず、世界の趨勢からは周回遅れである。戸籍やムラ会社の存在する古い社会は束縛が多い。近未来はフリーエージェント化さらにギグ化により、より自由な社会が到来する。会社の存在価値はビジネ…

ニワトリは一度だけ飛べる

企業小説。派閥争いからリストラ部屋に送られた3人組。会社側はさまざまな手で退職に導こうとする。それぞれ家庭の事情は複雑。社内にはオズの魔法使いを名乗る謎の協力者。虚偽表示の不祥事から一気に逆転に持ち込むスリリングな展開。一気に読ませる力は…

トランプに学ぶ現状打破の鉄則

トランプの政治手法を礼賛する。課題の優先順位を決め、揺さぶりをかけることで事態を動かす。悪役は演技の部分が大きい。直接会いギャップを感じさせることで関係を構築する。対極にあるのが、綺麗事に終始する理想主義者。特に学者に代表されるインテリ層…

御苑に近き学び舎に

明治初期の京都。遷都の噂の中、新政府主導で番組ごとに小学校の設立が計画される。主人公である豆腐屋主人はお役人と町衆の板挟み。初めは本人も反対派だったが、使用人の娘の死をきっかけに設立に奔走する。登場人物はほとんどフィクションであるが、作者…

レインツリーの国

純愛小説。ネットの書評で知り合った彼女は、後天性の難聴者でそれがー一因となりややこしい性格の持ち主。関西系の主人公はそれでも惹かれて、想いを伝える。もどかしい恋の行方にハラハラしつつも、ハッピーエンドは予感される。図書館戦争シリーズからの…

サクリファイス

自転車ロードレースを題材にしたフィクション。主人公は期待の新人ではあるが、チーム内の人間関係に取り込まれる。個々の能力より戦略によるところが大きく、如何にエースを勝たせるか、アシスト役の貢献が重要となる。逆にエースはチームの全てを背負い勝…

ど忘れをチャンスに変える思い出す力

軽めのエッセイ。専門である脳科学をベースに新しい人生の過ごし方を提案する。繰り返されるのは5歳児の自分に戻り、やりたいことをもう一度探し出すこと。年齢により物忘れは仕方ないが、思い出す喜びでドーパミンを出す努力をする。一般向けで平易ではあ…

なぜ本屋に行くとアイデアが生まれるのか

本屋好きの著者がその効能を説く一冊。検索ではネットに敵わないが、社会の動きや流行を俯瞰するには定点観測が欠かせない。この点には全く同意。優れた本屋の棚構成には秘めた思いがあり、それにハマるのも一興。本屋ごとの個性を感じる域には残念ながら私…

和の国富論

対談集。林業、漁業、地方、教育、高齢化という日本の社会問題に最前線で取り組む人々と未来を語りあう。高度成長の残滓を追い求める政策から離れ、新しい価値観はすでに若い世代の中では生まれつつある。未来に絶望することなく、解決策をみつけていくのが…

円卓

主人公は小学3年生。公団住宅に両親、祖父母、三つ子の姉と暮らす。独特の感性を持つ、クラスでは少し浮いた感じ。少女の純粋さと自分を取り巻く関係性との折り合いがつかない時期。周囲の登場人物も際立った個性。国際色豊かなクラス構成。関西弁のあけす…

東京のナゾ研究所

軽めのネタを集めたエッセイ。公表された各種データをもとに、意外と知られていない事実を取り上げる。23区の比較など注目を集めやすいものは定番ではあるが興味深い。著者は日経記者。ややタイトル倒れ。まあ繋ぎの一冊。 東京のナゾ研究所 (日経プレミア…

忠臣蔵の決算書

大石内蔵助が残した金銀受払帳を基に、刃傷から討ち入りまでを紐解く。浅野家の残した残高をやりくりし、プロジェクトを遂行する。初期残高は約8千万円影響。これをほぼ使い切り、決行はギリギリのタイミングであった。内訳は交通費と工作費、志士の生活補…

八九六四

天安門事件から30年。当事者たちの現在を追跡したルポ。当時の大学生はインテリで超エリート。社会、政治に対しては純朴で理想主義であった。日本では報道されてない弾圧の惨劇は今でも生々しい。その後の中国の経済的成功で正当化され、一般人の記憶は薄…

未来の稼ぎ方

これからの20年を、年表と業界を立横軸にして予測する。著者は調達を主とする経営コンサルタント。統計的データをベースにするので説得力に富む。内容的には興味深いのだが、やや各章が長い。もう少しコンパクトにまとめてもらいたかった。未来を予測する…

この制御不能な時代を生き抜く経済学

経済時評。豊富な知見とネットワークを活かし、最新の情報を紹介し、解析する。アベノミクスには好意的。ただし消費増税には反対。悪影響を危惧する。日本への提言は、IT化に備えた積極投資と人材の再構築。ベーシックインカムも見据える。徹底した国際主義…

友情2

続編。親友山中教授は今回は編集者の役割。天才ラガー平尾氏への追悼文集となっている。チームメートや後輩、教え子、ビジネスパートナーから家族まで、誰もが人柄に魅せられ、早すぎる別れを惜しむ。難局に立ち向かうレジリエンス。塞翁が馬の精神で後悔せ…

なぜ必敗の戦争を始めたのか

偕行社で行われた、旧陸軍エリートたちの座談会。著者が新たに解説と補足を加えた形式。世にゆう陸軍悪玉論を否定。三国同盟は松岡外相の独走。南部仏印進駐は海軍強硬派の暴走とする。海軍はすでに出師にかかっており、米による石油禁輸は即開戦を意味して…

国家を食べる

食を導入に各国の政情や世相に切り込むルポ。著者は元朝日新聞の中東アフリカ支局長。美味そうな料理と厳しい現実の対比は見事なキレ。日本から距離感の遠い地域の事情をある意味命がけの取材で紹介する。記者らしく文章は簡潔でかつ重い。国民の安全を保証…

世界の中心でAIをさけぶ

著者とカメラマンのコンビ(実際は6名)が西海岸ワシントン州を旅したブログがベース。IT産業の中心であるアメリカ社会を通して近未来に思いを馳せる。既存の国家と民主主義は行き詰まり、ITジャイアントが主導する新体制が生まれる。ほとんどの人間は…

俺たちはどう生きるか

エッセイ集。齢70歳の著者が、若いころの思い出、近況を語り、世相を風刺する。名門高校を出ながら、大学には行かずかなり無茶をした破天荒な人生。失敗の数が現在の芸風を確立。明確な立ち位置の反骨精神には脱帽。常の一般民衆の側にある。感心するのは…

翼を下さい

開戦直前、初の世界一周を果たした「ニッポン号」の物語。毎日新聞社の出資であるが機体は96陸攻。そこにアメリカ人の前年に太平洋上で失踪した女性パイロットが乗り込んでいたというフィクション。実際に失踪事件は米軍によるスパイ容疑もあったとの種本…

記憶屋

都市伝説の記憶屋。人の記憶を消してくれる謎の人物。主人公の大学生の周囲で被害者が相次ぎ、本人も知らぬ間に一部であるが記憶が飛ぶ。途中でやや見えるが、身近な人物が疑わしい。残念ながら予測は外れしてやられた感が残る。ホラーまではいかない良く出…

人質オペラ

フィクション。中東で日本人女性が人質になる。日本側の主役は女性官房長官。そのうち財務大臣の息子も人質になるとの続報。その後政局をにらんだ駆け引き。最後は米軍の爆撃を許容し、見捨てた形。だがどんでん返しはしっかり用意されていた。なかなか楽し…

バルミューダ熱狂を生む反常識の哲学

次々にヒットを飛ばす家電メーカーバルミューダ。創業者社長である寺尾玄氏へのインタビューから。その経営、人生哲学を浮き彫りにする。かなりのカリスマで社員は信奉者がほとんど。その生き方の根本は非常にまっすぐで熱い。参考にしたい点多数。好著であ…

0才から100才の広告コピー

タイトル通り人生のそれぞれに年齢にフィットするコピーを紹介。よくできた構成だが、出典にはやや偏りがある。前半は育児、恋愛系、後半は葬祭系が多いのは致し方ない。汐留の本屋で見かけて存在を知った。これも地域性。 ずっと読みたい0才から100才の広告…

言い訳

著者はナイツのボケ担当。M-1では準優勝にとどまるが、今や東の大関クラスに君臨。現在の東西の漫才界を俯瞰する。M-1自体が吉本主催で大阪のしゃべくり漫才が王道。スタートが不利だが幾多の才能が挑み、スターダムにのし上がる。笑いの内情と推移が…