2009-01-01から1年間の記事一覧

人を見抜く技術

20年間無敗を誇る雀鬼の作者が人間観察眼を開示するというのが、うたい文句だが内容は至って平凡。常識の範囲を超えない。若い時代から無茶をしてきたと自負する作者の集大成がこれでは期待はずれというもの。麻雀の修羅場から得られた洞察はほとんどなく…

シカン展

国立科学博物館で開催中の「シカン展」を覗く。本来別の目的で上野に降りたのだが会期も残り少ないので急遽変更。結果として面白かった。展示品で目を引いたのは黄金仮面と豪華な輿。埋葬状況や発掘状況を映像や模型で再現。考古学の成果を伝えようとする博…

一生モノの勉強法

副題にあるとおり、人気教授が大人を対象に自らの勉強法を公開する。専門分野の「知識」はもちろん、異分野に積極的にも入り込み優れた点はどん欲に吸収し「教養」としていく。ノートや手帳、デジカメの活用法にも言及。全般に非常に実践的で合理的であるが…

ファスト風土化する日本

ファスト風土=ファースト風土である。画一化された消費文化と郊外化により地方はより疲弊を進めている。がある。地方の青少年犯罪が急激に増加しているのは、急速な発展により社会が崩壊しつつある現象の現れ。かっての緊密な人間関係が薄れる一方で、一次…

M8

東京直下型地震の恐怖を描いた近未来SF。主人公は神戸の大震災を経験し、家族を失ったポスドク。自ら開発したシュミレーターで大地震を予知する。判定委員会はそれなりの兆候をつかんでいるものの東海地震を想定しており、有効な警告を打てない。このあた…

始祖鳥記

池田藩岡山城下で自製の大凧で空を飛んだ男がいた。これが飢饉の続く社会不安時の政権批判ととらえられ所払の刑に。一方江戸では独占された塩の専売に挑む行徳の問屋。意気に感じた備前の廻船船頭がこれに協力する。同乗していた主人公は自らの技量一つで未…

風が強く吹いている

ボロアパートに救う10人の素人集団がわずか1年で選考会を突破し、箱根駅伝の本選でシード権を獲得するまでを描く。中心となるのは4年生の主将と1年生のエース。過去に故障と不祥事で陸上をから離れた経緯がある。他のメンバーは半ば強制されながら主将…

無音潜航

作者得意の軍事物。自衛隊の潜水艦が北朝鮮のテロに巻き込まれるというやや無理のある設定。大連から日本へ向かうが、中国海軍原潜の執拗な追跡に合う。お互い武器は使用せず、操艦技量と神経戦で凌ぎ合う。自衛隊の宣伝小説の様相もするが、エンタメとして…

タイ中進国の模索

タイ現代史の総括。80年代以降一応の民主化を達成した時点から現在までの政治史、社会史をを詳細に解説。この間にバーツ危機があったものの、農業国から工業国に完全に脱皮した。それは必然的にグローバル化にさらされることになり急激に社会構造が変貌しつ…

タイ

安定した政治、不安定な政権 国民の父 仏法と倫理に基づく統治 選挙に基づく政治

沖で待つ

住宅機器メーカに同期で入社した男女。初任地の福岡でそれぞれ激務をこなし成長していく。このあたりは著者の経歴からして実体験に基づくものだろう。その後男性は地元の先輩女性と結婚し、単身赴任中に不慮の死を遂げる。主人公は生前の「協定」に従い彼のH…

肝心の子供

ブッダとその子ラーフラ、さらに孫メッティヤを同時代として描き、悟りへの道を暗示する。「文芸賞」受賞ということだが、抒情的で美しい文書でありながら主題は難解。正直良さがわからない。一般読者の評価は分かれるのでは。1000肝心の子供作者: 磯崎憲一…

金正日隠された戦争

北朝鮮の金正日政権の罪を弾劾する衝撃の書である。その実態は軍事独裁政権であり、権力維持のためには反対勢力は無論、実父である金日成まで謀殺したと断言する。飢餓による数百万の餓死者はまつろわない北東部の住民に対する虐殺であり、金日成は電力政策…

神様がくれた指

天才的なスリの祖父に仕込まれた青年と女装の占い師の不思議な共同生活。それぞれの立場から若者達の暴力的なスリ集団を追いかける。まわりを固める人々も事情を抱えながら好人物。特に病弱ながら芯の強いヒロインがよい。スピード感あふれる展開で読ませる…

これからの優良企業

副題通り、エクセレントカンパニーからグッドカンパニーへの脱皮を図る日本企業の模索を報告する。よく言われるとおりこれからの企業は収益の追求だけでなく、すべてのステークホルダーに対する社会的責務を負う。キーはいかに社会に開かれた会社にするか。…

アトリエの巨匠に会いに行く

写真家の著者が名だたる芸術家のアトリエを訪問。その製作風景をカメラに納める。写真集自身は80年に新人賞を受賞。ミロやシャガールなど今は亡き巨匠の姿もある。癖のある画家達に対して粘り強い交渉と人間性で取材を勝ち取る。やはり本著の神髄はその写…

アマルフィ

イタリアを舞台に日本人少女の誘拐に挑む特命規格外外交官。子供の安全を第一に考える気の強いシングルマザーと事なかれ主義の大使館、縄張り意識の強い地元警察の板挟みにあいながら、犯行の裏に隠された複雑なテロ計画を暴く。映画のプロット用に書き下ろ…

ハードボイルドエッグ

フィリップ・マーローに憧れるしがない探偵が、やとった秘書は齢80歳のやたら元気な老婆。二人の奇妙なコンビがドタバタの中で、動物を巻き込んだ難事件を解決していく。軽快な読み筋のなかに、しっかりドンデン返しとペーソスを盛り込むのは作者の真骨頂…

敗者のゲーム

これも勝間女史の推薦本。アメリカで再版を続ける投資の古典。過去の株式市場を徹底的に解析。株式市場は長期で見れば5%程度の収益が見込める。最良の方法は長期でインデックスファンドを保有すべしということ。市場はすでにプロ(機関投資家)が合意を形成…

OKストア

スーパーOKストア。総経費率を15%に抑制する。他の大手は20%台。イオン、ヨーカ堂はビジネスモデルが違う。目標はウォールマートし、毎日が特売日。チラシを打たず広告費抑制。HPもなし。客に損をさせない正直経営は客をファンとして固定する。

女子大生会計士はじめました

「さおだけ屋」の会計士作家のシリーズ本。好評を博したので初期の作品をかき集めたようだ。女子大生の美人会計士と部下の語り手が、監査業務を通じて粉飾や横領という犯罪と対決する。コミック調で読みやすいが、小説としては拙いのも事実。会計士にこれ以…

染付

今回の特別展は実質2本立て。元代の景徳鎭から日本の伊万里、鍋島まで地域と時代を俯瞰する。大阪の東洋青磁博物館をはじめ、国内の所蔵品がほとんど。ベトナム、朝鮮のものが独自の発展を遂げ興味深い。中国ではやはり元代、明代初期の方が形式化せず良い…

伊勢神宮と神々の美術

遷宮を記念しての美術展。実はあまり期待せず義務感から見ておくかというつもりで行ったの、前半は予想通り文献や遺物で退屈。後半の奉納される神宝に圧倒される。20年ごとに新造される刀剣、服飾、はまさに日本工芸の最高峰。皇室の財力ひいては権力の象…

日本の素材力

著者は最古参の半導体記者。21世紀の日本産業は素材の強みを発揮すべきとする。キーは太陽電池、海水淡水化(水ビジネス)、ナノテク等。取り上げた企業は先端というよりはオールドエコノミーの部類に入る。長期スパンの粘り強く繊細な基礎研究と高品質追…

ジム・クレイマーの株式投資大作戦

全米No.1の投資指南役がその手法を惜しまず公開。基本戦略は「buy&homework」。自ら保有する個別株については、最低週1時間をかけるべし。ポートフォリオの20%は投機的な運用に回し、資産の倍増を図る。市場のサイクルにあわして保有株を入れ替え、運用益を…

おたくの起源

1950年代後半から現代までの「おたく」の歴史をひもとく。SF、マンガ、アニメ等のイマジナリー文化の発展とマニアからオタクへの変遷史。政治の季節を経験した理論的な世代から、即物的、刹那的な現世代への過渡の様相もある。エポックメーキングな作品は…

すごいぞ日本人

続編。今回も世界各地の16都市を取り上げ、最初にこの地を訪れた日本人が紹介される。やはり江戸末期から明治初期のケースがほとんだが、その目的や理由はさまざまである。現在より海外渡航がはるかに困難な時代に、夢を追いあるいは使命感に駆られて雄飛…

お金の学校

勝間様の対談集。ちょうど市場がサブプライムで壊滅的な打撃を受けた去年秋の収録でタイムリーな1冊となっている。内容的には初心者向けで、従来の主張を踏襲。長期投資に対する啓蒙書の位置づけ。金融、投信、株式と来た後にCSRで1章設けていたところが目…

普通のサラリーマンが2年でシングルになるための18の練習法

著者は57歳にしてハンディキャップシングル8を維持。その練習法を惜しみなく開示する。きわめて科学的で実践的だが、一日100パットするなど結構時間はかけているようだ。肉体改造からパットまで18ホールにわたるレッスン。参考にいたしましょう。 ス…

魔王

国民的な支持をバックに憲法改正を目論むカリスマ首相と、不思議な能力を有しそれに対峙しようとする兄弟。兄は演説会場で「腹話術」を使用しようとするが同じ能力を有するシンパに阻止される。弟はじっくりと資金の確保から始める。兄弟そろっての思いは自…