タイ現代史の総括。80年代以降一応の民主化を達成した時点から現在までの政治史、社会史をを詳細に解説。この間にバーツ危機があったものの、農業国から工業国に完全に脱皮した。それは必然的にグローバル化にさらされることになり急激に社会構造が変貌しつつある。政治面ではかっては王政への絶対的な信頼感から政権は変われども政治自体はは安定していたが、近年その根幹が揺らぎつつある。タクシンは現代化を急ぎすぎたが、旧弊の官僚組織を破壊し、企業家として国の現代化を目指したと一定の評価をしている。タブーである王政の領域に早急に踏み込んだために失脚した。今後については柔軟性に富む国民が、伝統的な「社会公正の道=足るを知る経済」と「現代化への道」にどうのようなバランス感覚を見せるかが注目される。タイ関係者には必読の一冊。
- 作者: 末廣昭
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/08/20
- メディア: 新書
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タイの国旗
- 民族
- 宗教
- 国王
タイの政治を構成する3層構造
- 国民の父=国王(徳による統治)
- 仏法と倫理に基づく統治
- 選挙に基づく政治
タクシン政権は3/2を支配し、1に力を及ぼそうとした。(p16)