螺鈿迷宮

医療ミステリーシリーズ3作目。麻雀の借金をかたに留年医学生がスパイとして送り込まれた桜宮病院。一族経営であるが、終末医療と検死医として大学病院の影の部分を担ってきた。新たな取り組みとして、入院患者自身がケア要員として働いていたのだが、次々と死亡し疑惑を呼ぶ。裏では完璧な自殺幇助のシステムが機能していた。白鳥調査官とその部下の姫宮嬢の活躍で謎は解かれていくが、白鳥と老練な院長との対決が終章。院長一族の不幸な過去に結びつけた動機と結末はやや単純で食い足りない。現在の死因判定はほとんど外見と経験に頼っており、必ずしも科学的でないと主張する。相変わらずテンポの良いストーリテラーだが読む側が贅沢になっている。

螺鈿迷宮

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