人類を救う哲学

両巨頭による対談。これが3作目だそうだ。両氏とも人類の行く末に大きな不安を抱いており次世代に警告を発する。進歩を前提としたアメリカ主導の現代文明はやがて崩壊すると予言。人類は仏教の教えにあるように足りたるを知り、成長第一主義から訣別するべきで、哲学者はともかく企業家からこの種の発言があるのは確かに勇気の要ることである。具体策として世界政府の樹立、江戸時代の道徳社会への回帰と主張は予測していたがやや現実性には疑問符がつく。EUになぞらえてAUからというあたりは面白いが理想論にすぎるか。まあPHPですから。両氏に共通するのは独特の宗教感であり、サムシンググレートに導かれて成功を重ねてきたとそれぞれの人生を語る。若い頃は梅原氏の日本史へ挑戦的な著作に飛びついていたが最近は疎遠になっていた。ご高齢にもかかわらず結果を考えずに今回の主張をされる姿勢には敬意を表したい。それだけ危機が深刻ということ。

人類を救う哲学

人類を救う哲学