それでも世界一うまい米を作る

福島の「稲田米」を生産するグループを中心に日本の農業の現状をルポしたノンフィクション。元異端児の農協職員の強いリーダーシップの下に技術力を高めた独自の米作りの挑戦を続ける。日本の食糧自給率は40%を切る中、急速に豊かになり需要を増大させている中国が輸入大国になったとたんに、日本の食糧安保は危機を迎えると警告を発する。戦後補助金付けの政策と、農協の寄生虫体質が高コストを許容してきた。自由化を迎えて急に末端の零細な生産者である農家に経営感覚を求めるのは酷である。国としての作付面積が低下しており自給率を上げることは一朝一夕には行かないが、消費者としては拡大再生産を農家に促すだけの思想的な購買者になることが必要。農業関係には疎いが考えさせられる1冊。1800

  • 雷が豊作をもたらすのは、夕立が田の温度を下げるから。雷は雨に田と書く。
  • 「食という字は人に良い」と書く。食で喜びを与えられるのが農業。
  • 稲作は1年に1回きり。30年農家をやっても30回しか経験がない。データベースの構築が必要。
  • 作物を上手に育てるには、いっぱい足音を聞かせることだ。すなわち労をおしまず手をかけること。
  • 日本の耕作地はカドミウムの濃度が高い。ニッカド電池の影響か?。
  • トマトの大きさは箱によって決められる。流通が生産を制限している本末転倒。

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