故林家三平師匠夫人の自叙伝。いきなり夫の浮気話から始まり驚かされる。疎開中に東京空襲で父母姉弟を失い、戦争孤児としての辛酸をなめた後、18歳で結婚。落語の世界で、妻、母、そして一門のおかみさんとしての一生を生粋の江戸っ子らしい歯切れのいい文章で綴る。個性の強い人々の中で苦労の連続であるが、若い頃はお姑さんとの二人三脚で一家を切り盛りする。4人の子供はもちろん、弟子達に慕われ、自ら「情けの貯金をした」と言い切るすばらしい生き方。三平師匠は破天荒なイメージが強いが、自分をしっかり持った才人でまた子煩悩であったとのこと。三平師匠の没後一門の危機に先頭を切って立ち向かい、看板を守りきったところは面目躍如。人間ドックの待ち時間で一気に読破。秀作。
- 作者: 海老名香葉子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/12/01
- メディア: 新書
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