はやぶさ

惑星探査衛星「はやぶさ」。小惑星イトカワ」への着陸を成功する。本書はそのプロジェクトを描く科学ドキュメントであり糸川英雄博士による戦後の宇宙開発のモニュメントである。一般には日本の宇宙開発は米ソに比べて大きく遅れているように思われているが、固体燃料ロケットや無人探査衛星では、独自の技術により一目置かれる存在となっている。その基礎を気づいたのが糸川イズムであり、敗戦後の厳しい時代に先を見据え、まさに逆転の発でで将来の技術と人材を育成した。研究開発に従事する者としては学ぶべき点が多い。あとがきにあるように全体に意識して技術用語を避け、平易に解説されており、宇宙技術入門書としても良い。

  • 志は高く、予算は低く
  • 逆境こそが人間を飛躍させる
  • ペンシルロケットの水平発射こそ逆転の発想=開発の父の真髄
  • 批判するよりも批判される仕事をする人間の側に立ちたい。
  • 俺たちは実際に試したことだけで話をする=気迫あふれる精神
  • ペアシステム。理学と工学の融合。異分野の共同作業。

はやぶさ―不死身の探査機と宇宙研の物語 (幻冬舎新書)

はやぶさ―不死身の探査機と宇宙研の物語 (幻冬舎新書)