技術

SFプロトタイピング

最近流行の未来予測手法。SFからのバックキャストだが、プロのクリエーターが物語を描き説得力を持つ。現状の価値観に囚われずななめ上の未来を想像、創造する。官庁や企業ですでに実用化されている。本書は対談と解説で構成。概要を知るには良い。今のとこ…

DXとは何か

学界の大御所がDXを平易に解説する。技術的なことよりコンセプトや社会にもたらすインパクトについて頁を割く。繰り返されるのは何事も絶対的な正解はなく「程度の問題」。最適な解を目指して社会の妥協と納得が必要。日本は保守的で抵抗が強く、欧米やアジ…

リープフロッグ

タイトルは文字通り蛙飛び。後から来たものが先行者を一気に追い抜き経済的な勝者となる。現代では中国とアイルランドが好例。単なるキャッチアップとは異なり、技術変革と社会組織が時代に合致することが条件。過去の中華帝国や西欧の歴史も振り返る。日本…

読まなくてもいい本の読書案内

最新の社会、自然科学の進化を豊富な読書から抜粋する。章立てのテーマは、複雑系、進化論、ゲーム理論、脳科学、功利主義。ベースとなるのは進化論でこれに最近の統計学、コンピューターが進歩を加速させた。若者向けにかなりかみ砕いて書かれているが、概…

英龍伝

江川英龍が主人公の幕末歴史小説。世襲の韮山代官の次男に生まれ、兄の早世で職を継ぐ。開明的で博学、海外の事情にも精通。西洋式の測量と砲術で頭角を現す。私生活は清廉潔白。倹約を旨とする。幕府内では代表される守旧派との闘い、来るべき時代を予見、…

木のストロー

住宅建設会社アキュラホームの女性広報担当者が、木のストローを開発するノンフィクション。間伐材を利用し、シルバー世代の手作業で実現する。SDGSの流れに乗り、G20で使われ一気にブレーク。社内外からの抵抗に全力で立ち向かい、ひとつひとつ問題を解決。…

地下鉄の駅はものすごい

マニア向けの一冊。東京の地下鉄路線と駅を網羅。それぞれの歴史と特色を紹介する。工法や設計など知らない事実が多い。路線の建設時期により、意味づけは変わる。昭和初期からの交通事情の変遷は興味深い。古い路線も近年はリニューアルが進む。読む側とし…

はやぶさ2最強ミッションの真実

はやぶさ2のプロマネ自ら、10年にわたるミッションのすべてを語る。初代に比べて非常にスムースに思えるが、立ちはだかるのは小惑星リュウグウの厳しい地形。先端技術と柔軟な対応で、高精度のタッチダウンを2度成功させる。宇宙研と民間企業からなるプ…

ニューノーマル時代の構想力

BBTでの講義集。大前氏の主張は従前どおり、教育改革と道州制。いつまでも動かない日本の政治にいら立ちを隠さない。AIの第一人者松尾教授と建築家安藤忠雄氏の講演が目新しい。時代の変わり目で将来への構想力が問われる。 大前研一 ニューノーマル時代の「…

小さな宇宙ベンチャーが起こしたキセキ

著者は三井物産のエースだったが、退社し独立。世界初の宇宙商社を設立。短期間でJAXA初の民間参入を果たす。圧倒的な人間力をベースにしたネットワークの構築。何事にも真正面から取り組む熱情は周囲の人間を取り込んでいく。世界各地を飛びあるくフットワ…

羊と鋼の森

ピアノ調教師を題材とした小説。北海道の田舎育ちの青年が、高校時代に出会った天才的調律師に憧れ、その道を目指す。地元の小さな楽器店に就職し腕を磨く。それぞれ癖のある先輩たちと、様々な客先。双子の女子高校生が重要な役割を担う。ピアノは演奏者だ…

三体

中国のSF大作。主人公の女性天文学者は両親を文革で失い、この世に絶望していた。地球外生物とのコンタクトに成功。彼らからの征服を招くことになる。その謎を追う主人公はタイトルとなるゲームで彼らの文明を垣間見る。3体の球体の運動は解けないことが証…

むちゃぶりで日本一

三重伊賀の中小メーカー。ベアリング部品を製造。これはと見込んだ若手に仕事を任せ、大きく育てる。ドイツ製大型機器の導入、新規製造技術の開発、タイへの進出と社運をかけたプロジェクトをむちゃぶりで任せる。当然ながら全社をあげてのサポートも万全に…

バルミューダ熱狂を生む反常識の哲学

次々にヒットを飛ばす家電メーカーバルミューダ。創業者社長である寺尾玄氏へのインタビューから。その経営、人生哲学を浮き彫りにする。かなりのカリスマで社員は信奉者がほとんど。その生き方の根本は非常にまっすぐで熱い。参考にしたい点多数。好著であ…

科学する心

著者による科学エッセイ。もともと理系の学生だったとのことで感覚は高い。多くの関連書籍を紹介して引用。生物、博物誌関係のネタが多い。人知がコントロールできない原発には厳しい。予想に反してやや硬めの文章。 科学する心 作者: 池澤夏樹 出版社/メー…

理系の企画力

企画開発について9つの法則を上げる。優良企業の成功事例の具体例をあげ理解を深める構成。サントリーの伊右衛門やコマツのダントツなど良く知られた事例。目新しいのは安川電機の「外専内標」。2009年版なので、少し危惧したがあまり古さは感じなかっ…

ねじとねじ回し

過去1000年に発明された最も価値ある道具を探る。結論はネジ。螺旋構造自体はアルキメデスを父とするが、工具として実用化されたのは15世紀ごろ。武器の発達が契機となる。幅広い技術史の探訪は知的興奮を呼ぶが、翻訳だけにやや読みずらい部分もあったの…

マナベの標語100

著者は建築学者。長年東京理科大で教鞭を取る。主として研究室での学業、生活のためのルールを標語の形でまとめる。要は好奇心を持つこと、論理的であること。正しい分類と言葉遣い。ある意味で理系の研究者にとっては当たり前の原則。分類学者だけあって手…

ホンダジェット

いよいよ本格生産が始めるホンダジェット。開発開始から30年にわたる苦闘の歴史をたどるノンフィクション。主翼の上にエンジンを配する業界でのタブーにあえて挑戦することでブレークスルーを果たした。本田宗一郎の挑戦を続けるDNAが生き続ける。それでも…

純米酒

著者は元財務官僚。技師として長年造酒屋の指導にあたる。戦後の三倍醸造の不幸な時期に歪められた日本酒産業を憂い、本来の純米酒での再生を訴える。平易に書いていると本人は言うモノの、技術論は専門用語が氾濫し素人には難解。原料の米、水の大事さと発…

夢をまことに

主人公は近江国友村の鉄砲鍛冶。村の公事で江戸に出た機会を利用し、諸藩の技術者と交流、最新の西洋技術に接する。工夫に工夫を重ね、空気銃や万年筆さらに天体望遠鏡を完成させる。火縄銃の生産が減少した村の事情はあるものの、技術屋としての飽くなき探…

メガ

著者が巨大技術の現場を訪ねる理系エッセイ。大規模なインフラから先端の加速器による科学研究まで、写真入りで浅く広く紹介。巨大でありながら精密な日本の工学技術を賞賛する。特に興味が深いのは核融合レーザーを見据えた浜松ホトニクス。目先の利益には…

儲けたいなら科学なんじゃないの

異色の対談。最先端の科学技術とその応用がテーマ。共に経営の一線を退いた後、豊富な資金を利用してホリエモンは宇宙開発。成毛氏は科学ベンチャー投資に入れ込む。テーマは宇宙、医療、農業、エネルギーと幅広い。ホリエモンはすべてにおいて相変わらずの…

六三四に挑む

東京スカイツリーの建設を描く技術系ノンフィクション。それぞれの分野の一流企業が総力をあげて未知の世界に挑む。設計から現場施工まで最新技術を取り入れてミリ単位の精度で築き上げた。共通するのは利益を度外視して、社員のモチベーションという目に見…

生命の未来を変えた男

NHK特集の取材記。記者の共著の形を取る。京大で新説研究所を率いる山中教授の周辺を徹底取材。これまでの輝かしい成果と今後の課題をわかりやくまとめる。皮膚細胞から遺伝子操作によりリセットされた万能細胞はどのような細胞にも分化できると同時に基礎医…

マグネシウム文明論

東工大矢部研究室の成果を紹介する入門書。次世代のエネルギー源として海水に多く含まれるマグネシウムを利用する。太陽光から発生させるレーザーによる溶融精製でリサイクルループを形成し、化石燃料に取って変わる。すでに実証実験の段階にあるが、机上の…

ここまで来たナノテクノロジー

図書館の新刊本で見つけてお勉強。広く浅くの内容で技術屋としては常識的な部分が大半であるが、参考になる部分も多い。特に電機電子分野ではナノと言うには疑問があるが、 微細加工技術はかなりのレベルまで到達しているのが実感。素材は遅れている。 青の…

水ビジネスに挑む

俄かに脚光をあびている水ビジネス。その実像と問題点、日本の産業界がチャンスを活かすためのキーポイントを対談でつまびらかにする。東大生産技研の助手と元エハラのエンジニア。なるほどとうなずける点が多い。勉強のつもりで一日で読破した。日本人が知…

国産エコ技術の突破力

日本発のエコ技術の開発を取材し紹介。世界が注目する日本企業の成功事例8例。いずれも一流企業の一流エンジニアの手によるものであるが、そこに共通するのは技術者の情熱と執念。企業というより技術に対するあくなき探求心がブレークスルーを産む。ポジテ…

林原

カンブリア宮殿に社長が出演。48年間研究一本で独自経営。 科学と技術は違う。分けるべき 目的の欄を書いた基礎研究はダメ。