幸せの条件

農業小説。中小化学機器メーカーの女性社員が社長の発明したバイオエタノール製造設備の原料確保のため、農村に出される。立ちはだかるコストの壁。ひょんなことから農業法人出向することに。除雪から始めて稲刈りまで農家の生活を体験する。3月に起こった大震災が彼女の意識を変える。何も出来ないが必死さと誠意を持った対応はやがて周囲の人々を動かしていく。農家に密着取材。機械化の進んで近代農業の実像。農繁期がいかに重労働であるかがよく描かれる。安心して読める一作。秀作だがAには少し足らずというところか。

幸せの条件 (中公文庫)

幸せの条件 (中公文庫)