アグルーカの行方

北極探検記。19世紀半ば英海軍フランクリン隊は北西航路の探索に赴いたが、全員死亡という悲惨な結果に。最後は飢えに苦しみカニバリズムが伝えられる。謎の多いこの探検路に作者が挑む。100日、1000Km以上結氷を橇を曳き踏破。前半は乱氷、後半は雪解け水の渡河が大きな障害となる。常に飢餓感との戦いでもある。時代を隔てた冒険が同時に進行する構成。装備や機器が発達した現代でも命がけの冒険。実利や名誉でなく極地に魅入られた人々の物語。中盤で食料のため麝香牛の親子を殺してしまうシーンが衝撃的。記述は丁寧だが大作で読破には力を要した。