震度0

阪神大震災の発生した当日、N県警の警務課長が失踪する。県警トップは情報範囲を限定しを必死に行方を追うが、それぞれが個人の思惑とセクショナリズムに阻まれ進展しない。キャリアとノンキャリアの対立、元婦警の奥方たちの暗闘。閉ざされた社会の中で正義と程遠いリアルな世界が描かれる。結局課長は自殺であり、それを隠蔽しようとする動きに対してさすがに一部の幹部から最後の良心が示されることを暗示して物語は終わる。未曾有の天災を背景にしながら官僚組織にありがちな野心と保身を痛烈に批判する。わずか二日の時間軸の中でパワーゲームを描いたエンタメとして秀逸。800

震度0 (朝日文庫 よ 15-1)

震度0 (朝日文庫 よ 15-1)