疾風ガール

弱小芸能プロの冴えないスカウトが発掘した天才ロック少女。不幸な境遇にもめげず天真爛漫、多感な感性の持ち主。自らの想いに正直なところが魅力的。本人は気づいていないが恵まれすぎた才能は周囲のそうでない人々を傷つけている。彼女が焦がれる所属バンドのボーカルもその一人だが、突然謎の自殺を遂げる。少女とスカウトはボーカルの過去を訪ね、その背負った想い過去に向き合うことになる。最終的に彼女は苦悩を乗り越え再起の道を歩むのだが、そこに至るまでの本人の葛藤と使命感と周囲の人々の理解と励ましが主題。ミステリーというよりは鮮烈な青春小説。二人の語りが交互に織りなす構成の噛み合わないながらも愉快なテンポがいい。快作です。


疾風ガール (光文社文庫)

疾風ガール (光文社文庫)