八月の路上に捨てる

清涼飲料を自動販売機に配達する二人組。離婚を決めた男と、離婚歴があり再婚のため今日が最後となる女。車中や仕事中の会話からそれぞれの事情が語られる。若いカップルの不安定さ。少しの行き違いが修羅場となり破局を迎える。一貫して男言葉で語られているが、この心情描写は女性ならでは。文章は繊細で美しい。なんとなく繋ぎに選んだ一冊が芥川賞受賞作というのもうなづける。記憶の断片にタイトルがひっかかっていたか。短編の「貝からみる風景」も良い。

八月の路上に捨てる

八月の路上に捨てる