リーダーは半歩前を歩け

迷える時代のリーダー論。副題にあるように理想とするモデルは著者が尊敬してやまない金大中元大統領。いくたびの死線を乗り越え、民衆の半歩前を歩くことで混迷する時代アジアを代表する指導者となった。3度熟考して決断する基本思想は「歴史と勝負する」。終章の対談がこの著書の根幹でありまた動機である。中盤は日本の戦後政治家を評価する。これは政治学者の面目躍如。予想通り小泉には手厳しい。論理明快。重いテーマのはずだがさわやかな読後感。

  • 混迷の時代、人々は自由からの逃走を図り強いリーダーシップを求めている。
  • リーダーはすげかえ可能なスケープゴート
  • 情報化が進み「個人」が成熟すると、人々は企業や国家に対して共同幻想を描きにくくなる。
  • リーダーは熱しやすく冷めやすい世論の温度計ではなく温度調節器となる必要がある。
  • アマは和して勝つ、プロは勝って和す。(三原脩
  • 日本はアメリカによって安全保障の青銅のオムツをはめられ、そこへ自民党がぴったりはまりこんだ。


リーダーは半歩前を歩け ――金大中というヒント (集英社新書)

リーダーは半歩前を歩け ――金大中というヒント (集英社新書)