赤めだか

17才で立川談志に入門。天才にありがちな揺らぐ師匠の下で修業にはげみ見事真打になるまで自らの半生を描く。大部分が談志師匠の奔放な生き方と独特な弟子の教育方針に費やされる。年功序列の協会と異なり、50作の古典を身につけること等、明確な二つ目への昇進規定を定めた立川流だが、その厳しさに数多くの入門者たちが夢破れ廃業していく。作者自身も修業のために築地で半年修業するなど右往左往ぶりが面白く語られるが、基本的に出てくる登場人物はいずれも温かく人情豊かな下町の気風を残す。終章で自らの真打昇進のしかけとして故小さんと談志の師弟関係の修復を図ろうとし、それを超越した二人の情愛を感じるくだりは秀逸。面白うてやがてほろりとさせられる人情噺のよう。

赤めだか

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