2018-01-01から1年間の記事一覧

23区大逆転

直近の人口動向を国勢調査等の統計データをベースに分析する。特徴的なのは都心への回帰と、西から東への移動。街の活性化にはある程度の新陳代謝が必要となる。後半は区ごとの寸評をまとめるが、ここはややステレオタイプ。つなぎの1冊としては十分の内容…

慈雨

題材は群馬県の幼女殺人事件。20年前の逮捕は冤罪であった可能性が高い。DNA鑑定が決め手となったが当時は精度に問題があった。警察内部では一部気づかれていたが組織防衛のために不問に。定年後悩みぬいた刑事は贖罪のためにお遍路に出る。新たな事件…

世にも奇妙なニッポンのお笑い

著者のお笑い論。オーストラリア出身で日本のお笑いに魅せられ、NSCに入校。ぼんちおさむの弟子となる。巧みな日本語で漫才からピンまで多彩な芸をこなす。翻訳家として日本の映画を海外に紹介。笑いのセンスを活かす。日本のお笑いのレベルの高さを実感して…

秘録島原の乱

秀頼は大阪城を脱出。島津に匿われ、天草四郎となる。家光は家康と春日の局の実施。この二人の覇権争いが実は島原の乱の実相であるという魅力的な設定。このあたりは作者ならでは。それがいかに史実に漸近していくかが物語の読ませどころ。後半登場人物が多…

明治維新という過ち

井伊家臣の末裔が、明治維新の実像に迫る。現在の我々の常識は勝利した官軍が作り上げた史観による。維新という言葉時代が昭和初期からの造語で、昭和維新さらには大戦に結びついていった。長州は下級武士のテロリストで品格に乏しいとばっさり。腰の据わら…

水力発電が日本を救う

日本が唯一世界に誇れる水力エネルギー。豊富な降水量と急峻な地形を生かして、再生エネルギーの柱とする。発案は元河川局長の竹村氏。既存のダムの効率化と嵩上げにより、現状の倍近い発電量が見込める。バラ色の話だが現実はさまざまな障壁。まず河川法の…

エイジノミクスで日本は甦る

待ったない高齢化社会を迎える日本。経済学者がこれをチャンスととらえ課題を整理する。技術面と規制面から考察。高齢者は消費者であると同時に健康な人は貴重な労働力でもある。すでに先端事例は進んでおり、実証されれば展開を急ぐ必要がある。共著のため…

無脊椎水族館

日本各地の水族館を中年男性二人組で回り、不思議な軟体動物を愛でる紀行。陰気で暗い水槽の中に、鮮やかな生物たちが待っている。代表格はウミウシやイカ。まったく造物主は気まぐれで、進化の方向は予測がつかない。海の底は謎に満ちている。自ら撮影した…

黙ってられるか

80歳を超えた著者がこれまでの人生を振り返る。サッカー人としてもサラリーマンとしても上を恐れず、言いたいことは主張してきた矜持がある。私の履歴書のような構成。日本代表監督の交代劇については内幕を暴露。他の教会の旧態依然とした体質にも物申し…

世界まちかど地政学

著者による弾丸海外旅行記。日本人にはなじみのない場所をおとずれ、地理と歴史をひもとく。繰り返されるのはハードパワーの時代は終わり、ソフトパワー(経済力)による地政学が重要。要は市場の確保が命題。直近の軍事的に騒がしい地政学の流行に警鐘を鳴…

ダントツ企業

一般にはあまり知られていないが、圧倒的な収益力を誇る7社を取り上げそのビジネスモデルを解析する。セブン銀行、ネスレ、アイリスオーヤマ、中央タクシー、ウエザーニュース、ディスコ、ARM興味深いのはセブン銀行とARM。旧来の経営モデルをはみ出…

おとなの青春旅行

シニア向け海外旅行ガイド本。時間に余裕ができたら長期の一人旅を推奨。当然ツアーではなく自作。テーマを持った旅行が良いとの事。地域ごとに寄稿された構成。それぞれコンパクトで良くまとまっている。個人的に行ってみたいのは中央アジア、カザフスタン…

大延長

甲子園の決勝で東京の常連私学と新潟の公立進学校が激突。監督同士、主砲とエースはそれぞれ同級生で因縁をもつ。0−0で引き分けた翌日の再試合は点の取り合いに。あまりの好ゲームに監督、選手ともそれぞれの事情を乗り越え、野球のすばらしさに目覚める。…

世界一清潔な空港の清掃人

著者は中国帰国子女。両国でいじめにあい、また貧しい家庭環境で育つ。羽田で清掃会社のリーダーとして指揮を取る。基本は徹底したユーザー視線。正しいと思ったことは上下を気にせず強く主張する。下から見れば頼もしいだろう。サーバントリーリーダーシッ…

極端のすすめ

著者のキャリア論。明治学院卒の著者は非エリートを自覚し、特技を伸ばすことでキャリア形成をめざす。オール5ではなく一芸に秀でること。選んだのは英語と会計。MCJの上場に携わり、その後MBAを取得。コンサルを経てプロの経営者となる。ともかく熱くアグ…

大田舎

気鋭の社会学者はバスマニア。雑誌の連載企画で都バス100路線を乗車踏破する。少し高い視線から東京の街並みを展望する。大都会の姿を見せるのは都心の一部だけで、周辺部はマンションとロード沿いのチェーン店で画一された風景となる。コンビニの駐車場…

社会が選ぶ企業

最新の財務報告書は単なる決算報告ではなく企業のストーリーが求められる。本書は4つのキーワードを解説したうえで、その意義、対応を解説する。全編で強調されるのは企業の社会的責任。いかに社会に貢献するかが問われる時代になる。成功例としてはユニリ…

新しい消費者

大前塾の講義集。今回は小売業がテーマ。ECビジネスの拡大。AIの活用。インバウンドへの対応。取り上げる企業は4社。ヤオコー、良品計画、からAIベンチャーまで幅広い。共通するのはネットの活用と顧客嗜好への対応。特にベンチャー系はスピード感が…

教養としてのテクノロジー

最新のエッセイ集。タイトル通り進化の著しいテクノロジーの流れを一般人として知っておくべき教養に落とし込む。著者の関心は技術の動向が社会に与えるインパクト。共著の形で最新の教育問題にふれる。アメリカではアンスクーリングが一つの流れになってい…

強くて優しい会社

著者は人事コンサルタント。パラダイムシフトが進行中の人事問題に対し、現場の人事を提唱する。要は7つのフェーズで政策システムを明確にすること。キーワードは人間教育と達成感。評価され必要とされていることを伝えることが重要。トップの役割は経営理…

蕎麦食べて行け

流行りの地方再生小説。群馬の鄙びた温泉街。女子高校生と信金マンが主人公。親同士が因縁のある二人だが、蕎麦と祭りで活性化を目指す。クラウドファンディングやメガバンクの貸しはがしなど金融ネタは著者のお得意なところ。予定調和のハッピーエンドだが…

日本サッカー辛航起

ベテランサッカージャーナリストの著者が日本代表を中心に日本サッカーの歴史をつづる。メキシコ五輪の青銅時代から、暗黒期が続きやがてJリーグの発足を経て、今日の充実期に至る。特にメディア関係について記述が深い。協会の体制にも批判を忘れない。自分…

プロがすすめるベストセラー経営書

タイトル通りの内容。8人のコンサルタントや経済学者がお勧めの経済書を紹介する。内容を要約し実例をあげてケーススタディを披露。平易に解説してはいるが、よく知られた内容でもありエッセンスとしては目新しいものが無く、もうひとつのめり込めない。実…

歴史と戦争

著者の80冊以上の著作から厳選された珠言集。明治維新から戦後まで日本の近代史を網羅する。共通するのは責任をあいまいにし、反省しない日本人と組織。一億火の玉が総懺悔になっても実質何も変わらない。自身は小市民として育つが、東京大空襲で死線をさ…

優しい死神の飼い方

主人公は死神と呼ばれる霊的存在。左遷によりゴールデンの姿にされ地縛霊の救済にあたる。拾われたのは町はずれの洋館を改造したホスピス。戦前からの悲劇と謎を入院患者の魂を救うことで解決していく。読みどころは犬とヒロインの会話。ユーモアが効いてく…

軌道

2005年のJR福知山線事故で妻と妹を失った淺野氏。地域コンサルタントとしての経験を活かし、遺族を代表してJR西日本との交渉にあたる。常に求めたのは原因の解明と安全体制の確立。不条理に奪われた貴重な命の代弁者である。巨大な官僚組織も人によっては…

戦略をデザインする

経営学の代表的戦略モデルを解説。会計雑誌への連載を単行本化。16章立で理論とその実践モデルを紹介。日本の代表的な企業がならぶ。内容は平易で良く知られているケーススタディでやや食い足りない。MEPとしては基本戦略は差別化、成長戦略は国際化という…

さらばGG資本主義

GGとはじじいすなわち老害のこと。現在の日本企業はサラリーマン上がりの経営陣がことなかれ主義に陥り、成長を阻害している。この巨大なライオンに立ち向かうには、社員が虎リーマンとなり顧客第一主義により社内から経済を活性化させることが必要とあお…

リーダーシップは誰でも身に付けられる

海自式リーダー論。基本はアメリカ海軍を範とする民主化組織。旧海軍の伝統も取り込む。フォロワーシップを重視し、重層な組織を志向する。軍隊組織だけあって考え方は極めてロジカル。これはすべての組織に適用できる。著者は潜水艦艦長、船体司令からやが…

西洋美術史

欧米のエリートが必ずみにつけるべき教養としての美術史。宗教や政治にも深くかかわる。本書はその入門書として古代ギリシャ美術の発生から、印象派までを駆け足で解説する。内容はコンパクトで平易。やや食い足りない部分もあるが、趣旨としては十分であろ…