見果てぬ王道

中国の革命の父孫文とそれを支えた日本人実業家梅屋庄吉の交流を描く歴史小説。梅屋の方は正直あまり知られていない。長崎出身だが若い時から海外雄飛。写真館と映画興行で財をなす。欧米に虐げられるアジアの人民を救うべく、物心両面の援助を生涯続ける。まさに波乱万丈の人生。孫文は何度も革命に失敗。ようやくなった辛亥革命も時代の奔流に飲み込まれるが、国父と慕われるぶれない理想と人間的魅力。響きあう男たちとそれを支える女たち。佳作である。