軌道

2005年のJR福知山線事故で妻と妹を失った淺野氏。地域コンサルタントとしての経験を活かし、遺族を代表してJR西日本との交渉にあたる。常に求めたのは原因の解明と安全体制の確立。不条理に奪われた貴重な命の代弁者である。巨大な官僚組織も人によっては人間としての話が通じた。遺族も参加する委員会形式で山を動かす。JR側の事情にも切り込む。分割民営化から天皇と呼ばれた井手氏のカリスマ性が功罪両面で大きく影響した。著者は元神戸新聞の記者。バランスの取れたノンフィクションとなっている。