2017-01-01から1年間の記事一覧

コスパ飯

食に関する楽しいエッセイ。著者はかなりの食通であるだけでなく、自ら厨房で腕を振るい、外食で食べた美味しいレシピを再現する。決して材料に凝るわけでなく、簡単に入手できるモノにこだわる。弁当や甘物など食べ歩き自己ベストを探すあたりが面白い。出…

クルーズ万歳

日本を代表するクルーズライターがこれまでの雑誌投稿をまとめた1冊。娘時代から豪華客船に乗り続けて45年。マツコでブレーク。今日のブームの立役者となった。大半が海外のラグジュアリー船の紹介で直接の縁は無いがだが、まあこんな世界もあるなと楽し…

トモダチ作戦

東日本大震災の折に、気仙沼大島の救助に入ったアメリカ海兵隊。機動性と献身的な作業で3週間の任務を全うする。そこから住民との本当の交流が始まる。沖縄でのホームスティや軍楽隊によるメモリアルコンサートなど、絆を深めていく。決して好意的に受け入…

日本の大正解

著者は自らを数量分析家と称する。公の統計データからのロジカルな分析で政治から経済に至るまで日本の問題点を一刀両断。マスメディアは官庁や日銀の御用放送に過ぎないと手厳しい。アベノミクスは失業率を順調に下げているので一定の評価。年金問題は人口…

ぼくらはその日まで

男2人と女1人の中学生トリオ。成長段階にあり初恋も司式する。夏休みの合宿と称して祖父母の家での体験。謎の女子高校生は母親の再婚話を自らに納得させるために訪れており、三人組と不思議な絡みによりトリオの先導役を務める。幼少のころの出来事が巧み…

検索禁止

著者が長らく携わった禁忌事項=タブーをまとめる。猟奇事件や都市伝説が大半で、三面記事の羅列の色合いが強い。これを知りたがるのもある意味人間の性なのだろう。後半は自己PRが強くなりより興味が削がれた。久々のC判定。 検索禁止 (新潮新書)作者: 長江…

政と源

墨田区の下町に住む幼馴染の物語。御年73歳。政は元銀行員の堅物で妻とは別居中。源は現役のつまみ簪職人で妻とは死別。源の弟子であるヤンキー上がりが巻き起こす騒動に振り回せれながらも愉しみ、そして自分の人生を振り返る。冷え切った夫婦間はハッピ…

おもちゃ絵芳藤

主人公は歌川国芳門下の売れない浮世絵師。なかなか世に出れず子供相手のおもちゃ絵で糊口をしのぐ。師匠の遺志を継ぎ、画塾を継承するが、私生活では女房に先立たれ、不器用な生き方で師匠の愛娘の想いにも応えられない。時代は明治維新。浮世絵自体の存続…

忍びの国

天正伊賀の乱を題材にした歴史エンタメ。金で動く伊賀忍者たちが、織田信雄ひきいる北畠軍団の伊賀進行に対して真っ向から戦う。侵攻自体が伊賀側の謀略で、織田に勝ったことで自らの名を上げようする上忍の企み。下人たちはさっさと逃げるが、主人公の名器…

やりたいことがある人は未来食堂に来てください。

著者は理系女子。IT系のエンジニアから転身し、一品のみの定食屋を立ち上げる。「まかない」や「あつらえ」と新システムを導入し、時代を代表する女性となる。本書は3冊目でその根底となる人生哲学を披露。合理的な分類、解析から徹底した研究で本質をつき…

ストロベリーライフ

経営に苦しむ弱所広告代理店の社長が主人公。静岡の父親が倒れ、代打で農園を引き継ぐことに。都会育ちの妻は反対、姉3人はそれぞれの事情を抱え複雑系。父親の精魂込めたイチゴのうまさに感動し、何とかビジネスにしたいと奮闘する。登場人物はみないい人…

知れば知るほど面白い聖書の名画

タイトル通りの内容。旧約の神話部分と新約のキリストの生涯を描いた名画を紹介。その見方を解説する。女性の弟子を聞き役に仕立て、ギャラリートークでユーモアたっぷりに話を広げる。特に新約では知ってる内容が多いが、復習を兼ねて楽しみました。画像も…

仕事が変わる魔法の言葉

経営者の至言をそれぞれの地域著作から集める。全73篇。読みやすい構成。盛田昭夫から最近では楽天の三木谷氏まで。まったく時代は感じない。経営者の役割は会社のミッションを明確にし、それを伝えて行くか。社員が働きやすい環境を整え、モチベーション…

警察手帳

30万人の人員を誇る警察組織の成り立ちを解説する入門書。警察庁と都道府県警察の関係、県警本部と警察署の関係が民間企業や軍隊をモデルに分かりやすく記述。刑事部や公安部に代表される専門をギルドと称し、縦横の力関係はある意味普遍的な組織の問題。…

感じる経済学

若者向けに書かれた経済学の入門書。身近な事例をネタに経済の動きを解説していく。日本を長期停滞から救うのはイノベーションしかない。大企業や官庁の待ちの姿勢では解決せず、個人が小さくても動きマインドを変える必要がある。GDPは消費+投資+政府…

日本海軍400時間の証言

戦後に海軍のエリートたちが密かに開いた海軍反省会。その録音テープが発見され、NHKスペシャルとなった。本書はその取材制作記。丹念に記録を読み込み、遺族の証言を取る。番組は3部作で構成。歴史を振り返るだけでなく、現代日本社会にも通じる日本型組織…

疾風ロンド

研究所から盗み出された生物兵器。ところが犯人は交通事故で死亡。密かに取り返そうとする研究員は息子を連れてスキー場に。漁夫の利を得ようとする悪役とのバトルが始まる。展開は早いがどこかコミカルなタッチ。反抗期の中学生が解決のカギを握る。エンタ…

中だるみ社員の罠

昇進や異動が遅れ、デモチした社員の問題を統計やインタビュー等をベースに分析する。社員、経営の両面から解決策を模索する。誰でも同じ仕事に3年従事するとマンネリ化し、停滞感が生じる。対策としては権限委譲と新しい分野での仕事を与えること。時代の…

ドン

都知事選で話題になった内田議員に代表される政界のドンがテーマ。世間的には悪役とされるが、リーダーの下で調整役に徹し、政策をスムースに立法化する。著者は基本的に肯定的。自民党政権ではこれがうまく機能し、官僚組織を道具として使うことが可能であ…

私の男

謎の父娘を描く。年の離れないアウトローの養父は影のように娘を見守る。娘の結婚から時間を逆流して過去をさかのぼる。二つの殺人事件と奥尻島の震災。二人は実の親子であり、男女の関係にもある。天涯孤独の二人が一線を越えるのは自然のなりゆき。重い内…

白い恋人奇跡の復活物語

北海道の石屋製菓。著者は3代目の現社長。賞味期限偽装を巡る不祥事で経営危機を迎えたが、それをバネに経営を近代化し、中小企業からの脱皮に成功。操業停止は数ヶ月と意外と短い。実害を出したわけではないからな。成功要因は内部留保と銀行に代表される地…

ナチスと隕石仏像

大戦前チベットで発見されたとする隕石仏像。造形的にはチベット仏からはかけ離れており、ナチスがアーリア人の優位性を示すために作ったプロパガンダである可能性が高い。後半はナチスの持つ人種主義。その中心にいたヒムラーに主題が移る。ここはやや冗漫…

半島へ

北朝鮮崩壊の前夜、天然痘ウィルスの奪取を目指して自衛隊の特殊部隊が潜入。研究所を急襲しあわせて拉致被害者の救出も同時に狙う。自衛隊は万能だが、政府とマスコミが足を引っ張る形。結果はハッピーエンドだが、こんなにうまくいくのはフィクションだけ…

富士フィルムの変える力

写真フィルムから見事な転換に成功した富士フィルムのドキュメント。成功の要因は古森氏のリーダーシップと風通しの良い風土。技術の棚卸により蓄積したフィルム化の基礎技術を転用した。陰にはかなり大胆なリストラも。決断すればスピード感を持って実行す…

昭和の犬

一人の女性の一生を犬たちとの関りを通して描く。シベリア帰りの父親と愛情の薄い職業婦人の母親との間に生まれた主人公。後から思えばいずれも精神に異常をきたしていたようだ。滋賀の田舎から大学進学を機に上京し一人暮らし。時代を感じさせる貸間だが、…

盗聴二二六事件

NHKスペシャルの書籍化。放送博物館に残されていた録音盤を再生し、事件前後の生々しいやりとりに光を当てる。聞かれる側も盗聴は意識しており、なかなかわかりずらいが謎は解明されていく。陸軍は叛乱を予想しており、対応策を策定していたこと。この機に乗…

鍵のない夢を見る

連作集。女性の目から見た犯罪心理を描く。小学生から母親まで、各編で主人公は歪んだ犯罪者と極めて近い関係にあり、ある意味で動機の一端となる。女性ならではのある時は冷徹で、ある時は情念的な心理。まあ楽しめました。直木賞絡むか。鍵のない夢を見る …

バラ色の未来

現在議論されているIRを題材としたフィクション。地方活性の起爆剤となるカジノ招聘だが、利権と不正の温床となり数々の悲劇を生む。利益誘導の政府と不正を暴こうとする新聞記者たちの激しい戦いを描く。推進派のキーマンであった青森の一町長がストーリー…

陸王

埼玉の零細足袋製造業者が舞台。100年続いた老舗だが業績は下降気味。社長はスポーツシューズの製造に光明を見出す。画期的なソール材を発掘したことで技術的には目途が立つが、新規事業は簡単でなく様々な障害に出会う。銀行からの資金繰り、大手の妨害、社…

君の名は

監督自ら映画のノベライズ。実際は同時進行だったとのこと。あたりまえだが内容はほぼ同一。テンポよくストーリーが展開し思わず引き込まれる。コミカルな導入から二人の純愛にもっていくあたりはさすが。休日に一気に読破。映画もう一度観よう。小説 君の名…