おもちゃ絵芳藤

主人公は歌川国芳門下の売れない浮世絵師。なかなか世に出れず子供相手のおもちゃ絵で糊口をしのぐ。師匠の遺志を継ぎ、画塾を継承するが、私生活では女房に先立たれ、不器用な生き方で師匠の愛娘の想いにも応えられない。時代は明治維新。浮世絵自体の存続が危ぶまれ、兄弟弟子はそれぞれの生き方を模索する。その中で自分を曲げず、もどかしいが最後まで絵筆を持つことにこだわった男の矜持が本作の主題。ハッピーエンドではないが読後感は悪くない。

おもちゃ絵芳藤

おもちゃ絵芳藤