2016-01-01から1年間の記事一覧

ほとんどの社員が17時に帰る10年連続右肩上がりの会社

著者はブラック企業の広告代理店から独立、化粧品の通販会社を立ち上げ急成長。タイトル通り働く女性にとって最高の職場を提供してきた。実質はかなりのワンマン経営で社員の気持ちは離れて行き危機に直面する。初心に帰り「挑戦」を理念に掲げ、全社一体と…

吉田基準

著者は創業80年を迎えるカバンメーカーの2代目。あくまで日本製で高品質を追求する創業者の遺志を忠実に守る。変革するべきところは大胆で、デザインはつねに最新のものを採用。異業種とのコラボも積極的。先代からだが社内に企画部門を置き、材料、製造…

泣くのはいやだ笑っちゃおう

著者はNHKで伝説となった番組のディレクター。当時の制作秘話を記録として残す。新進気鋭の脚本家であった井上ひさし、山元護久両氏とのタッグで革新的な人形劇となった。子供向け番組でありながら、家父長的な教育制度への批判も折り込み、哲学の明確な構成…

ホセムヒカ日本人へ贈る言葉

世界一貧乏な大統領として有名になったムヒカの言葉を再編。来日時のスピーチや著書から紹介する。日本は物質的に豊かになったが、欧米を追うあまり本来の美徳を忘れてないかと疑問を呈する。政治家というより理想を追う思想家。若い時代に反政府ゲリラとし…

吹部

タイトルはすいぶと読ませる。都立高校の吹奏楽部が舞台。廃部寸前の部活に、特異なキャラの教師が顧問に赴任し、全国コンクールを目指すまでになる。軽めの青春ものであるが、最後は予定調和で結構感動してしまった。盛りだくさんの設定がすべてハッピーエ…

笑うハーレキン

ホームレス家具職人が主人公。かってはその腕を生かし有名なショップの経営者であったが、息子を事故で無くし、離婚、倒産と不幸が続く。軽トラの助手席に巣くう疫病神はさまざまな仮面を持つが、要は自分自身の弱さの象徴。それを断ち切った時に新たな人生…

スゴイ社長の金言

カンブリア宮殿放送10年を記念して出版。48人の社長インタビューからエッセンスを抜粋。一人あたり3頁なので簡潔であるがやや物足りないとも言える。初期を除いてほとんど観ていると思う。共通しているのは皆さんよく日頃努力勉強されているということ…

日本会議の研究

安部政権のバックボーンである日本会議の正体に迫るルポ。多くの国会議員を賛同者とし、改憲を主とする政策提言を行う。その原形は大学紛争の時代の右派民青系。さらに言えば「生長の家」。表には出てこないフィクサーは少し宗教ががるがカリスマ性充分。最…

大統領の演説

歴代アメリカの大統領の名スピーチを取り上げ、その主張と手法を取り上げる。パドス、エトス、ロゴスが3要素。いかに聞き手の共感を呼ぶか。ユーモアのセンスも重要。名手としてケネディ、レーガン、オバマをあげる。参考にしたいテクニックは多数ある。言…

帰郷

短編集。終戦直後の日本を舞台に過酷な運命に翻弄された帰還兵たちの姿を描く。多少の救いは用意されるものの、いずれも戦争の悲惨さ、空しさを読者に思い起こさせる。重いテーマの中で文章の美しさは流石。期待通りの秀作である。帰郷作者: 浅田次郎出版社/…

言ってはいけない

原題は残酷すぎる真実。最近の遺伝子学の発見から社会的なタブーにあえて挑む。人種による遺伝子の優劣。すなわちアジア系>白人>黒人の順となる。これは統計的に明らか。親が教育で子供の本性を帰ることは出来ず、可能なのは環境を整えることのみ等、衝撃…

最高のリーダーは何もしない。

著者による最新のリーダー論。キャスターとして数多くの経営者にインタビューを重ねた経験から、時代にマッチしたリーダー像を論じる。最大の責務はビジョンを繰り返し語ること。言葉を厳選し、仲間を増やして組織への浸透を図る。後は現場の自律的な動きを…

昭和からの伝言

作家の自伝。昭和5年生まれ。早稲田中学在学中に終戦を迎え、多感な時期に価値観の大転換を経験する。苦学の末に東大で政治学を学び、金融の世界へ。官庁の天下り族の挾間にありながらプロパーとして頭角を現す。地位に未練無く独立、コンサルを経て作家の…

ビジネスで活かす電通鬼十則

電通の第4代社長が定めた十則。企業人としての心構えが熱い言葉で語られる。業界を越えてすべての人に適用可能。作者はそれを実践し、自分なりの解釈で次世代に伝える。若い時は上昇志向が強かったが、年齢を重ねるにつれ言葉の奥に隠された深い意味に気づ…

パリピ経済

新たな若者文化、マーケットを創造するパーティーピープルに関するルポ。ハーロウィンが代表例。マーケット学的にはアーリーアダプターに該当する。上位者であるイノベーター(フィクサー)から得たネタをSNSを駆使して発信する。ある意味享楽的ではあるが…

脳が壊れた

著者はフリーライター。脳出血により後遺症が残る。本書は半年に渡るリハビリの記録である。左側の視界が焼失したり、急激な眠気に襲われる障害は経験者でかつ筆力のある人間でないと表現できない貴重なもの。同じハンディを有する妻とのコラボで危機を乗り…

ゆけおりょう

歴史物。坂本龍馬の妻おりょうに焦点をあてる。酒飲みで豪放、男勝りのおりょうが、龍馬を叱責し、困らせながらも維新を成し遂げさせる。我が儘だがきっぷの良さが魅力。惚れたのは龍馬が最初で、おりょうは徐々にその大きさに気づく。晩年は身をやつしたが…

ブラバン甲子園

高校野球のブラスバンドに焦点をあてる。著書自身がマニア。六大学の模倣から、アニソン、オリジナルと時代により変遷してきた。さっそくY-tubeで楽曲を聞く。TV中継中に流れる有名曲が多い。内容は濃くはないが楽しめた一冊。高校野球を100倍楽しむ ブラバ…

ミケランジェロの暗号

大作。システィーナ礼拝堂の天井画と障壁画を詳細に分析。天才が密かにこめたメッセージを探る。ユダヤ教への造詣が深かった彼は、堕落したローマ法王庁と法王への痛烈な批判を込めた。彫刻から引き離され厳しい環境下での製作を強いられた中での反逆。権力…

1秒24コマの美

日本映画界の3人の巨匠、黒澤、小津、溝口を取り上げる美術紀行。作品制作の過程で携わった人々や関連美術も丹念に取り上げる。今と違いCGはなくすべてセットでのホンモノを撮る。裏話が興味部会。3人3様だが、小津や溝口はフィルム写真を見ておらず、…

幕末維新消された歴史

現在の史観は勝者の記述によるものだとし、幕末の歴史を敗者の側から見直す。一次資料を丹念に読み直し真実を明らかにする。薩長同盟は軍事同盟ではなく倒幕を目的としていない。薩摩の討幕派は藩内でも少数で極めて厳しい状況を乗り切った。また一橋慶喜は…

著者が商売道を説く一冊。近江商人の教えを守り、清く、正しく、美しくを大商社の社是とする。人間には動物の血が流れていることを前提に、心で本能をコントロールすることが重要。そのためには教育が重要で、読書と人との邂逅が実践的。一次情報の重要性も…

関西人の正体

京都生まれの学者である著者が、関西について語る。方言からはじまり生活様式や産業まで、かっての中心地から一地方への没落を嘆く。一つにはステレオタイプのマスコミの功罪もある。関西人としてはうなづける部分は多い。初出は1993年と古い。近刊のヒ…

日本全国津々うりゃうりゃ

脱力系旅行エッセイ。バックパッカーの著者が女性編集者と全国各地を歩き回る。目的地はマイナーなところがほとんど。果ては自宅の庭。新たな発見と巧みな文章ににやりとさせらる。イラストも巧み。かくしテーマは海の軟体動物と石拾い。楽しい一冊でした。…

シニアの品格

失意のエリートが古井戸相談室を主催する不思議な老人と出会い、人生について考える。二人の会話で構成される。59歳は一日の時間で換算すると午後6時。残りの時間を如何に有効に使うか。シニアとしての生き方が議論される。まずは人の話を聞くこと。相手…

図書館で暮らしたい

エッセイ集。日経夕刊への連載と直木賞受賞後の記念エッセイで構成。一人の文学少女が作家を目指し成長。結婚、出産を経て思いを達するまでの日常がが淡々と描かれる。さすがに文章はうまいし、読者の共感に訴えるものがある。同時に収録された広島地方を描…

ロケットササキ

戦後シャープの技術陣を率いたドクター佐々木の波乱万丈の人生を描く。戦中はドイツへ渡り小型のUボートで帰国したという。戦後は京大教授が内定していたが、創業者の早川氏にくどかれてシャープへ。圧倒的な人脈と即断で自社のみでなく、世界の電子産業を牽…

主婦のトモロー

勤めていた出版社が倒産した主人公が、結婚し主夫となる。その後キャリアウーマンの妻が出産し、子育てに追われる日々に。家事はこなすが最大の問題はママ友問題。まだまだ日本では少数派の父親は肩身が狭い。後半はテーマを広げ、友達の問題や自身の出生に…

ニッポンのアホを叱る

著者の社会時評。辛口に政治、経済問題を論評する。年金問題にページを割く。一部マスコミのまやかしには手厳しい。キャラクターからか分かりやすい解説には安定感がある。少しコミカルに過ぎる面は否定できない。週刊誌FLASHへの連載でこれが3冊目?。まあ…

リボルバーリリー

関東大震災後の東京が舞台。陸軍の裏工作を担当した父親が横領、家族は組織に惨殺されるが、生き残った少年兄弟の逃走とそれを助ける女スパイの活躍を描く。スパイものだが大部分がアクション活劇。ほとんど無敵のヒロインは傷つきながらゴールである海軍省…