若沖

奇想の画家若沖。その創作の謎を追う小説。商家の跡取りでありながら人付き合いが下手で、結果として若妻を自死に追い込む過去。ますます画業に逃げ込むが、恨みを持つ義弟が贋作者となり彼との相克が主題。代表作が次々と登場しその背景を画家の心情にあわせて描く。周囲には池大雅や谷文晃といった画人を配し、一段とその世界を際だたせる。なかなかの力作かつ秀作。終盤は一気に読ませる。甘めのAかな。

若冲

若冲